台所で勉強する理科

@アルミニウムとステンレスの熱伝導性の違い

 少し前までは、お鍋はアルミニウム製が普通でした。でも、最近は、ステンレス製のお鍋が多くなってきています。これは、現在はほぼ否定されていますが、アルミニウムがアルツハイマーという痴呆症の原因物質ではないかという説がでたからです。

お鍋にとって、アルミニウム製とステンレス製、どちらが適しているのか科学的に少し考察してみましょう。

 もし、アルミニウム製のお鍋(やかんでもよい)とステンレス製のお鍋が家庭にあれば、2つのお鍋を比べてみて下さい。たぶん、使いこなしたステンレス製のお鍋には、表面が黒く焦げているのに気付くと思います。

 ステンレス製のお鍋に、水を半分ほど入れてお湯を沸かしてみてください。

沸騰したら、お湯をコップに注ぎましょう。鍋を傾けたとき、ジュジュジュッと音が鳴って、注いだ最初のお湯は鍋の上壁で跳ねるでしょう。もし、ステンレス製のやかんが有ればそれで試した方が分かりやすいかもしれません。

 アルミ製の鍋ややかんがあれば、同じようにしてようすを比べると違いが良く分かりますが、このようなことは起こりません。

 では、どうして違いが生じるのでしょうか。それは、ステンレスとアルミニウムでは熱の伝導性が大きく異なり、アルミニウムの方がステンレスよりも15倍も良く熱を伝えるからです。

 お鍋でお湯を沸かすとき、水は沸騰しても100度以上にはなりません。

アルミニウムでできたお鍋では、熱がよく伝わるのでお湯に接していない上の部分もお湯の温度と比べてそんなにも温度が変わりません。ところが、熱伝導性の悪いステンレスだと、お湯に接していない上部は、ガスコンロの熱気で温められてかなり高温になっています。だから、お湯を注ぐときにその高温部にふれて、ジュジュジュッと鳴ってお湯が跳ねたり、壁面に焦げができたりするのです。また、お鍋の底でも、直接炎が当たっている部分の温度が極端に高くなるためお焦げができやすいというわけです。

 このように、煮炊きをするためには、アルミニウムのお鍋はステンレスより優れているといえるでしょう。

 では、アルミニウムのお鍋には欠点は無いのでしょうか、そうではありません。融点が660度と金属としては低いこと、軟らかいことが欠点です。また、アルミニウムはアルマイトという薄い酸化皮膜で表面処理をしてあるので安定なのですが、アルミニウムそのものは、酸やアルカリに侵され化学的に反応しやすいという弱点を持っています。

 だから、しゃもじで頻繁にかき混ぜてお鍋に傷がつくような料理には向いていません。アルミニウムでできたフライパンはないですね。

 逆に、ステンレスは、融点も高く、硬くて丈夫、錆びにくい特性を持っています。

 最近では、アルミニウムの熱の良導性とステンレスの強度というお互いの特性を生かすために、アルミニウム中にしてステンレスを外に合わせた、多層構造からなるお鍋も作られています。

 

◆ 熱伝導率は100℃で、アルミニウム240Wm−1K−1、ステンレスが16.5Wm−1K−1

◆ステンレスは、硬いので成型加工には高度な技術を必要とします

◆ ステンレスの熱伝導性の悪さを利用したものに、ステンレス製魔法瓶があります。

 

 

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