15cm双眼望遠鏡製作状況速報(2001年)

 



   2000年の秋に募集いたしました、15cmF8双眼望遠鏡の 初期仕様の最後の1台の発送を終えました。
  新仕様への移行と同時に、より使い易い構造を目指し、  かつ納期の短縮に努力してまいりますので、今後とも、なにとぞ よろしくお願いいたします。(2001年6月23日)
  



12cmF5鏡筒(SCHWARZ120S)が入荷しました。 


F5となると非常にコンパクトです。このF値と口径にもかかわらず、
      非常にシャープな像を結びます。 15cmF5も大いに期待できそうです。
 

     


15cmF5鏡筒(SCHWARZ150S)が入荷しました。
 


仰天の性能でした。
実際に地上風景を観察してみて、口径のアップによる
色収差の増加は全く感じず、120Sと変わらず非常に
シャープな像を結びます。
 

     


    標準ファインダーの正立像化加工(オプション)

  初期導入用ファインダーは直視タイプの方が便利であることが判明 しましたので、45度の正立化の改造は中止し、今後は直視の正立化に移行する ことにいたしました。
  BORGの直視正立プリズムを使用し、良い結果が得られました。    アイピースの取り付けが31.7規格の差込になりましたので、市販の アイピースを使用することも出来ます。
  正立プリズムの有効窓径の制約から、長焦点超広角アイピースは 使用できず、口径も少しけられますが、正立ファインダーとは信じられないほど シャープでハイコントラストな像を結びます。(高級アイピースを 使用すれば、さらに良い結果が得られます。) (2001年6月12日)  
 

標準アイピース付 アイピースを外した状態 PL26mmを装着 31.7スリーブを付けた標準E.P.
左が加工前
見口も削りアイレリーフを延長



 

    15cmF5双眼、ファーストライトの印象

  2001年6月2日夕方から3日朝にかけまして、私共の地元の天文研究会の月の例会を兼ねて、 佐治アストロパークに宿泊し、内輪の観望会を実行しました。
  滑り込みで間に合った15cmF5双眼をそこに持ち込んだのですが、いずれ劣らぬ鋭眼で口ウルサイ仲間達の お墨付きを得ることが出来ました。また、夜露にも見舞われず、機材一式汚さずに撤収できたことも、 幸せな結果でした。
  佐治アストロパークの主砲の103cmの貸し切り(もちろん研究員のガイド付)観望会も計画していましたので、 時間的な制約もありましたが、最初のテストとしては、十分に納得行くまで見ることが出来ました。   月が出ていましたので、星雲星団の観望には辛い条件ではありましたが、そのコントラストの高い 見え味に、仲間達は異口同音に驚嘆の声を発していました。
  高倍率性能としては、110倍で琴座のεを楽勝で分解していましたので、F5としては十分に 合格だと理解しました。 同倍での月面観望では、会長のM氏が「凄い、凄い!」と連呼しながら なかなかハンドルから手を離しませんでした。(M氏は、アストロフィジックスの18cm3枚玉アポクロマート のオウナーで、光学系には妥協を知らない、超目の肥えたマニアであることを付け加えておきます。)
  確かに、110倍で、しかも月面のような明るい対象になると、色収差ははっきり見えて来ますが、 ピントの芯がしっかりしているので、十分に実用になることが確認できました。
  研究員の方も月面を見て、「ウチの***cmよりもずっと良く見える!」と言われ、 アクロマート短焦点とは信じがたい鋭像に舌を巻いていました。
(大口径反射と小口径屈折とは、使用目的や存在意義が全く異なります。大口径は大気の影響が 強いですが、佐治の主砲は非常に優れた光学性能を有していますので、誤解のないようにお願いします。103cmでは、 ガッサンディの内側斜面の皺が、シーイングのゆらぎの合間に見え、好条件下の見え味の片鱗が伺えました。)

  もっとも、F5の目的、その存在意義としましては、100倍前後まで使用できれば十分であると私は理解しています。 (そうでなければ、F8仕様の存在意義が無くなりますね。)

   翌朝の山の景色やバードウォッチングでは、昨晩の星野観望に劣らない感動がありました。  木の葉の細部が目に突き刺さるような木の梢に止まった、名前の知らない小鳥が、朝日を受けて際立つコントラストの素晴らしさは、私は 元より、仲間たちの脳裏に一生刻まれたことでしょう。(Wide Vue32mm使用) あの凄まじいまでの立体感と空気の透明感は 地上風景ならではのもので、天体望遠鏡は夜星を見るためだけの道具だと思っている方々に ぜひお見せしたいものだと思いました。
  最後に、笠井トレーディングのWide Vue32mmの優秀さが仲間の絶賛を浴びて いたことと、国際光器のスーパーナビゲーターの便利さが特筆物であったことを 付け加えさせていただきます。(両方とも当店でも扱っています。)
 Wide Vueシリーズはいわゆるケーニッヒタイプで、レンズ構成が比較的単純で 非常にコントラストが高く、20mm以上では、アイレリーフも十分の長さを持っています。   注意して見ると、視野周辺ぎりぎりまで完璧にピンポイントの星像という訳ではありませんが、 あの抜群の抜けの良さと、大きなアイレンズで非常に覗きやすい構造のメリットが、そいいう些細なことを払拭しています。  今後の推奨アイピースに認定した次第です。

   スーパーナビゲーターは、事前にガイドブックを斜め読みしただけで、今回現場で初めて 使ってみたのですが、使い方は直ぐにマスターでき、その便利さにすっかり虜になって しまいました。当ナビゲーターは、12000個以上の登録天体数を持ちますが、そんな事よりも、 操作性と機能性がもの凄く優れているのです。電源は、内蔵の9Vの乾電池1個で忘れるほど長持ちし、 余分な外部バッテリーを繋ぐ必要がありません。セッティングは、鏡筒を水平(または垂直)に向けて ENTERボタン、基準星を2個ほど選んでそれぞれ導入した後に決定ボタンを押すだけです。   後は、カタログで選んだ天体がすいすい導入できる訳です。
  これは、電子的な導入アシストに敢えて頼りたくない方であっても、使用するメリットは大いにあります。    それは、視野に入った未知の天体の検索機能や、赤経、赤緯の表示機能等、あらゆる使い方が可能だからです。    自宅や近所の観測サイトで自力ですいすい導入できる一般的な天体であっても、一度遠征して満点の星に出会うと、 結構導入に手間取るものです。まして、人を待たせていたりすれば、なおさらです。スーパーナビゲーターがあれば、 極めて効率良く多くの天体を観望することが出来るのです。 (2001年6月3日)
     

    なぜしない、マツモト製品の精度表記

  「ねえ、これって、何倍の天体望遠鏡?」というのが、時にはニュートン式反射望遠鏡を 主鏡の底から覗きながら、門外漢が判で突いたように必ず最初にする質問です。
  望遠鏡の耳学問を少し学び始めますと、それが、「これ何分のラムダの精度?」に変わります。
   私は、両者のレベルに大差を感じていません。数字の大小は、一次元的な理解ですから、 素人に訴求するのには非常に好都合なものです。”驚異の*百倍50mm双眼鏡”というのが悪質な通販の 広告に良く見られるのは、よくご承知の通りです。
 精度表記の場合は、全てが根拠が無い訳ではなく、意味があるものももちろんありますが、裏付けが 曖昧なままの、具体的な数値の表記は避けたい、というのが現在の私の考えです。
  信頼性の高い測定装置を完備し、全品の数値的な検査の体勢が整った段階で、具体的な精度 表記を責任を持って始めようと思っております。
  また、ご理解いただきたいのは、EMSの成功は、原理構造の勝利であって、構成ミラーに特別に 高精度な物を選んだからではありません。
  今回の観望会でも、「F社の15cm双眼よりも確実に良く見えますね。」とか、「M社のフローライト双眼 とどちらが良く見えるか比べて見たい。」とかいう声が聞こえたのですが、 EMSの開発の意図や原理構造をご理解いただければ、それらのコメントが視点がずれていることに お気付きになるはずです。EMSは、もともと、天体望遠鏡の像を実用上全く劣化させることなく 正立90度対空を達成するものですから、天体望遠鏡を2本使用して双眼望遠鏡を作れば、 双眼の天体望遠鏡が出来上がるのであって、それが他のジャンルの双眼鏡には、同じ土俵にすら 上らせないほどの圧倒的な優位にあることがご理解いただけると思います。
  もちろん、素材になる天体望遠鏡の性能に似合った結果が得られる訳ですが、 他の手段では到底達成できないほど、素材望遠鏡のポテンシャルを最大限に引き出す のがEMSの役目であると考えています。 

(2001年6月3日-2)



 

    F5シリーズの各口径が揃いました。
(一部ファインダーの取り付けが残っていますが)

 これから佐治アストロパークで15cm双眼を地元の仲間に初披露しに行きますので、 詳細は明日以降にUPさせていただきます。
 まずは取り急ぎのワンカットです。(2001年6月2日)
(左から、12cm, 15cm, 10cm)


 

    12cmF5双眼が完成しました。
(ファインダーの取り付けが残っていますが)

(2001年6月2日-2)



 15cmF5双眼が完成しました。
  操作ハンドル兼カウンターバランスを仕上げましたら、日付が5月31日に 変わってしまいました。 取り急ぎストロボ撮影しましたが、また改めて最後の 仕上げの後に、良い照明下で多数撮影して掲載させていただきます。   今回は、取り急ぎ2カットを掲載します。
   

 HF経緯台(改造)に余裕で乗っています。完成と同時に、あらゆる心配が 杞憂であったことが判明しました。
  写真の状態で、天頂までフルストローク完全バランスを保っています。  脚付きのままでフルセットを比較的軽々とかかえて移動できる軽便さは、 12cmの時とさほど変わりませんでした。
  完成仕立ての15cmF5双眼をじっと眺めていますと、12cm双眼に見えてくる ほどのコンパクトさです。
  12cm同様、特別な工夫によって、鏡筒バイプの切断をしていません。 ドローチューブ等の改造により、ケラレの対策は施してあります。

  追って、詳細をUPさせていただきます。(5月31日未明) 
 


  12cmF5双眼の本体部分が完成しましたので、取り急ぎ掲載させていただきます。  12cm双眼がVIXENのHF経緯台に楽に納まっていることにご注目ください。(これからカウンターバランスを 兼ねた操作ハンドルを設け、鏡筒全体をもう少し前に出します。)

  経緯台は、フォークの傾斜角を60度に改造(originalの状態では45度と垂直しか選べません。)しただけで、 フォーク幅は広げていません。(最小眼幅60mm(customizingで58mm)から、最大眼幅74mmまで対応します。) (フォークの傾斜角を45度から60度にすることの効果は絶大で、天頂までの仰角を確保しながら安定性を飛躍的に 増します。安直に巨大な架台を準備するよりもずっと合理的であると言えます。)

  所要バックフォーカスは、鏡筒を切断することなく、繰り出し装置の改造で確保できました。

   計量はまだしていませんが、別項に掲載しています10cm-bino同様、フォーク&脚ごと全体を持って 軽々と移動できます。
  まだ地上風景しか見ていませんが、先日見学に見えた方がフローライトを凌駕し そうなくらいだと絶賛していた10cm-binoを凌駕する見え味に、製作者自ら身震いしています。

    今回のF5タイプの設計方針は、徹底したコンパクト化と軽量化を計ったもので、そのことが全て 良い方向に貢献しました。

  12cm双眼がHF経緯台に載ることに驚かれるのはまだ早く、実は、数日後に掲載します 15cmF5双眼も、HF経緯台に楽に載るのです。もちろん、この場合はフォーク幅を広げています。

  ただし、全く意表を付くアイデアで改造していますので、延長部が全く外見からは見えず、さらに強度のアップも 兼ねさせています。

  ということで、F5タイプにつきましては、10cmから15cmまで、全く同じ軽便さで 使えることになりました。

  今日は、取り急ぎ簡単に紹介させていただきますが、追って詳細をUPさせていただきます。 (5月24日)
  
 


 完成した1号機です。若干の寸法調整をした他は、試作品と同じです。
 設計に誤りが無かった事をさらに確信いたしました。

  





 
SCHWARZ-150鏡筒附属の50mmファインダーを45度正立に改造してみました。
    取り付け位置は、フレーム天部(quick-finderを取り付けている面、左右共)
写真は、オリジナルのアイピース部を挿入して撮影していますが、市販の31.7サイズ
    アイピースが使用できます。
   当改造はオプションで、改造を希望されない場合は、オリジナルのファインダー
   をそのまま設置します。






製品第1号の架台が完成しました。
(1月24日)(写真6枚)




 大型のnavigator4000が上下クランプにも取っ手にも干渉
することなく取り付きました。











  試作品よりもポール長が30mm、フレーム上部が30mm短くなり、合計60mm
鏡筒着脱時の挙上高が低くなり、分解組立がより楽になりました。
  フォーク幅も10mm短縮し、全体的にも少しコンパクトになりました。























  


ファインダーはフレームトップの30mm間隔のネジ穴を利用して固定します。







 樹脂製の最小目幅リミッター兼ハンドルカバーは、
ユーザーの好みの位置に設定できます。
(たとえば、自分の目幅に設定するとか・・・)




  










  

試作品が完成しました。(12月6日)
  (12月7日、写真2枚追加)


 
   まずは全体像をご覧ください。


       各部の計量をしてみました。(鏡筒は1本約8kg)
             フォークのみ=14kg
          ポール部 = 3 kg
             脚部  = 13kg
           フレーム部 = 10.5kg


         ただし、フォークとフレームは通常分解しないので、
          フォーク+フレーム部の合計=24.5kg で、
          この部分だけは少々重くなりました。フレーム部はカウンター
          ウェイトを兼ねますので、重くなるのもやむを得ません。





  手前から見た所。 リニアシャフト兼ハンドルに、樹脂製の
 グリップ兼目幅調整のリミッターを取り付けました。




  


  アイピースを真上から見た所。
 ロッドが下に下がった時にEMSの延長チューブと干渉しない
ように、パイジョンとロッドを天位置から少し傾斜させる必要
がありました。
 
   写真のアイピースは笠井トレーディングのケーニッヒ40mm。
   今日初めて夕暮れから暮れるまでの近景を見ましたが、抜群
  の抜けの良さに興奮しました。
    ワイドスキャン40mmが在庫切れだったために選んだのですが
   その覗き易さと言い、大正解でした。
     このシステムで同アイピースがケラレなく使用できることも確認しました。
    (上記テストは、標準ミラー装備の15cmF8双眼を使用、
     巨大第1ミラー仕様であればさらに良い結果が期待できる。)


 

                

右の耳軸、軸板、クランプ周り。

  フォークのハンドルは、脚のキャスターを利用して移動させる
 際にも、非常に便利であることが分かりました。

  




  ロッド式focuser。 片方をストローク一杯に伸ばした所。
  下に見えるローレット付きネジがクランプ。
  アイピース無しでクランプを緩めるとスリーブが素早く落ちるが、
  アイピースを挿入した状態では、エアークッション効果と、モーメント加重
 の助けで、ゆっくりと落ちるか、仰角が高い場合は中間で止まる。
   31.7アイピースには、low-profileのアダプターを上にセットします
  が、ご予算が許せばオプションの直進ヘリコイドをお勧めします。





 対物側から見た所ですが、写真では意図した迫力が伝わらない
のが残念です。






  片方のfocuserを外してみました。 フィルターの交換はもとより、
 focuserの交換等、高い自由度を持ちます。


  






  リニアブッシュの外径と同じ40mm径の樹脂パイプを取り付け、
  リミッターを兼ねながら、目幅調整の操作性も向上しました。
  

  
 






  オプション(左右セットで\20,000)の31.7アイピース専用の
直進ヘリコイド式focuserです。


  




  クイックファインダーを取り付けました。










  クイイクファインダーは、ベース部(台座)を残したまま、
 本体だけをワンタッチで着脱することが出来ます。
   台座は予備が1個附属しており、2台の望遠鏡で
   共用することも可能です。





 最初のロット(F8=6台、F5=1台)の製作に入りました。
   加工中のフォークの写真を掲載します。(デジカメにて)
    (試作品のアルマイト加工が遅れていて、申し訳ありません。)
出来上がり次第、完璧に仕上がった写真をUPいたします。(11月30日)







  15cmF8用の6台分のフォークの四角パイプ部の加工が完了しました。









  耳軸用の40φの穴です。 軸受けは四角パイプの中に固定され、パイプの強化を兼ねます。

(四角パイプの断面サイズは、150x50x3です。)







  フォーク下部の基板との連結部です。 大きい方の3つの穴は取り付け用
小さい4つの穴は調整ネジ用の穴です。 下部も上部同様、無垢の四角棒を挿入し
強化対策とします。




 以下、試作品の架台が仕上がりましたので掲載いたします。
  いろいろと検討しました結果、架台の仕上げにつきましては、
  外注のアルマイト加工の結果が芳しくなく、
  当方で梨地仕上げを施すことにいたしました。 (12月4日)

   




  仕上がったフォーク部分です。
   本体の接続パーツのアルマイト加工も上がって来ましたので、
  一両日中に本体の写真も掲載できるはずです。





 





  フォーク部は、ご覧のように、簡単に外せてベタ置きが可能です。
 左右の取っ手を貫通するように配置した補強バーは、10mmφのステン棒
ですが、これによって、フォーク全体の剛性が飛躍的にアップしました。









  フォークトップのカバーですが、無垢の厚手のアルミ板をフライス加工
しました。この部分の加工だけで延べ2日以上を費やしています。
 左の耳軸受けのリニアブッシュの内部が見えています。
ボールの条列が見えていますが、6条の条列が転がりながら地下に潜り
エンドレスに循環するような構造になっています。
  大きな鏡筒の画期的な平行移動を約束する所以の一端が
 ご理解いただけると思います。
 









  取っ手のアップです。
   左右の合計6本の貫通軸のアライメントが完璧でないと、ステンの補強棒
  が貫通しません。
   フォークの着脱運搬用の取っ手が補強を兼ねている理由がお分かりになっ
  たと思います。











  上下クランプレバーと取っ手のアップです。












  取っ手にステン製の補強バーが貫通している所です。







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