15cmF8双眼望遠鏡の使い方 


  未来のユーザーの方へのお願い



 完成した15cm双眼望遠鏡は、ご事情が許す限り当方でお受け取りください。
その際、調整方法や操作方法を具体的にご指導いたします。
  出来ましたら、製作中にも一度ご見学いただくことをお勧めします。
 各所の設計意図をご説明し、オプションのご相談をさせていただきます。
   ご事情でどうしても来られない方は、当ホームページ、及び関連リンク
 をご精読いただき、研鑽を深めていただきますようお願いいたします。

  (上記は、左右の鏡筒を頻繁に着脱する15cmF8タイプについて記しており、
   鏡筒を分解しない予定の12cmや15cmF5タイプにつきましては、上記ほどの
   ご準備は要らないかと存じます。)(3月11日)

  最初にしていただく事



 まず昼間明るい所で組み立ててください。手順は以下の通りです。
はやるお気持ちは分かりますが、最初から暗がりで試すことはお避けください。
 まずは昼間の遠景で組立方法、調整方法、操作方法を十分にご確認いただき、
ご理解いただいた上で夜空に繰り出してください。
  具体的には、昼間、地上の遠景で、以下の事をご確認ください。

1.眼幅調整を操作しても光軸が狂わない。

2.高倍率で片方のフレームだけに手をかけて操作すると、一時的に光軸
  が狂うが手を離すと復元する。
  (この事から、操作ハンドル以外を持って操作することは禁止です。)

3.高倍率でフレーム等を叩いてみてください。
   盛大に振動するはずです。ただし、ハンドルを握ると
 速やかに安定するはずです。
   総重量50kg程度で、運搬用に設計していますので、風が強い日は
倍率を上げない等、使用環境に合った使い方をしてください。

4.別項(補足説明)でも詳細をご説明しておりますが、左右の像が合致していることと、
左右の光軸が正しく平行に調整されていることは、必ずしも同値ではありません。
 眼に癖のある方の調整では、大抵寄り眼調整になっているので、わずかなズレが
加わると、簡単に復視(像がだぶる)を起こします。
  光軸が狂いやすい、船酔いを感じる、という方は、元々の調整が完璧に出来て
いない疑いが強いです。さらに問題を難しくするのは、観察者の快適位置が完璧 
位置と合致しない場合もあることです。これは、初心者は元より、自作経験者も
例外ではありません。
  双眼望遠鏡の調整には、年季と光学的センスが要るのです。
 光学メーカーの製品の中には、光軸をユーザーアジャストにした双眼鏡は
皆無です。 これは、光学メーカーが一般ユーザーの調整技量を全く信頼
していないからです。 これはある意味では正解です。
 ただし、私たちは、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」の例えのように、素晴らしい世界を
覗くために、敢えて困難に挑戦しているのです。
     

  鏡筒の取り付け方(外し方)




  経緯台の仰角を天頂に向けて上下クランプを締め、目幅(鏡筒間隔)
を最大にし、目幅クランプも締めておきます。
  鏡筒を垂直に持ち、アリガタを上からフレーム(アリミゾ)に
添うようにゆっくりと下ろして行きます。最終的には、アリガタ
末端(緑の矢印)が耳軸固定ネジの頭(赤い矢印)に当たるまで下ろしますが、
この時、全加重をネジの頭に預けると、アリガタの裏の溝にネジの頭が
はまり、アリガタがアリミゾから逸脱する恐れがありますので
少し当たった段階でクランプを締めるようにします。  

耳軸固定ネジに、頭と同径の厚み約5mmの座をかませることで、上記
 問題を改善しました。
  ただし、大きな鏡筒を、アリガタ横位置で固定しますので、取り付け時
には、アリガタがアリミゾ下部に完全に密着することを確認してください。 (2月25日)
     





  クランプネジの引きが足りないと、アリガタが押さえに引っかかって
しまいますので、十分緩めておきましょう。(緩め過ぎも良くありません。
経験によって最適な緩め具合がお分かりになるでしょう。)    

  







  アリガタが押さえをくぐったら、上の手がアリガタとフレーム
 を同時に挟むようにして(赤い矢印)、フレームと密着させながらスライドさせて
徐々に鏡筒を下げて行きます。
 
  鏡筒セット後に、前後バランスの調整の必要が生じた場合は、
(滅多にないでしょうが)アリガタのセット位置を変えるのではなく、
鏡筒を一旦水平に向けてから鏡筒バンドを緩めて鏡筒を移動させてください。
 アリガタは常に奥まで入った状態で固定してください。   
  また、何らかの原因で(これも滅多にないはずですが)左のアリミゾ
下部の角度調整の必要が生じた場合、鏡筒がセットされたままですと、
装置がほとんど働きませんので、ご面倒でも、傾向を掴みながら、鏡筒
を外してから調整し、もう一度鏡筒を戻す操作を繰り返してください。

  耳軸ネジ部の改良後、鏡筒を載せたまま上記調整
    が出来るようになりました。   
  ユーザーサイドで鏡筒の平行調整をされる場合は、明るい屋内で、
定規等を用いながら、外見の平行度を可能な限り追い込んでください。
外見上の平行ずれが見分けられないレベルになれば、光軸調整は、十分
EMSの調整ストロークの範囲内に入っているはずです。
  横方向の平行ずれは、左右の鏡筒の間に四角い(平行面を持つ物なら
何でも結構です。)物を挟んで、前開きか手前開きかを判断してください。
上下方向のねじれは、鏡筒を水平に向け、2本の定規(何でも良い)を鏡筒の
前後に置いて、どちらが下(上)を向いてるかを判断してください。 (3月8日)


  接眼部の調整、目幅調整等






  組立が正常に行きますと、左右のアイピーススリーブが平行に
なっているはずです。ミラーユニットに異常がなくて緑の線が平行
でない場合は、鏡筒バンドを緩めて鏡筒を回転させるか、下の写真
の赤の矢印のセットビスを緩めてミラーユニット全体を回転させて
調整します。(ミラーユニットがズレてしまった場合は、それ自体の
調整が必要です。(追ってUPします))    

  目幅調整は、赤の双方向矢印の方向にリニアブッシュをスライド
させることで、左の鏡筒を平行移動させることで行います。
  左のネジが目幅クランプです。   

 振り回しには、操作ハンドルのプラスチックカバー(濃いグレーの部分)
を持って操作してください。 左右のフレーム、特に左のフレームだけ
を持って操作すると、ねじれの力が加わって一時的に光軸が狂います。





  ミラーのメンテ等で接眼部を撤去したい場合は、赤い矢印の
 セットビスを緩めても可能ですが、緑の矢印のローレットネジを
緩めて外しますと、位置の復元が楽です。 ただし、抜く時と挿入
する時は、噛みつかせないように、正確に平行に、しかも回転させ
ながら慎重に行ってください。 

  







  各所の調整方法をご説明していますが、通常の使用状況での
 調整は、右のEMSの第1ミラーユニットに配置してあるイメージ
シフターのみです。赤い矢印の方が上下調整ノブ、緑の方が水平調整ノブ
でそれぞれが独立的にイメージを縦と横に移動させます。
  ただし、この機構は左右の鏡筒の平行度が事前に確保されていること
を前提としており、平行度の異常や観察眼の極端な癖を補償するために
盛大に操作するのは、製作者の意図に反します。
  この機構を極端に操作しないと合像しない場合は、他の原因を調べてみて
ください。
  このX-Y機構は、微分的に成り立つものであって、盛大に操作しますと、
像が弧を描いて移動することが分かります。

  警鐘に怯えられたかも分かりませんが、この機構が極めて有効で便利な
ものであることは確かです。この機構を正しく使って、双眼視の楽しさを
満喫してください。

             ・・・・・・続く  

  EMSの接続アングルの調整(2月25日更新)





 (写真はSCHWARZ-150用のEMSではありません。)     

  直角面定規(机面と壁面等が代用できます)にEMSを載せます。
 この写真では、接眼側の端面が垂直面に密着していません。
  第2ミラー(接眼側)の3ヶ所のセットビス(青い矢印)を緩め、
両端面がそれぞれ水平面と垂直面に密着するようにします。  

  







  上の調整後、両端面が定規に密着した状態です。
 この時、両端面が直交し、同時に2つのミラーケース底面、即ち2枚のミラー面
も直交しています。
  この調整によって、左右の像の相対的な倒れの調整がほぼ完璧になります。
 万一、この調整後に像の倒れが多少残る場合は、仰角の微調整で完璧まで
 追い込むことが出来ます。
  これは、EMSの特筆すべき特徴の一つです。

  この調整は、ユーザーの方にはほとんど不要ですが、
   EMSの原理を理解していただく意味でご説明しました。




  上記調整で調整原点に復帰することが出来ます。
万一、調整原点に復帰しても、左右の像の相対的な倒れが完全に解消
しない場合は、左の図から仰角の調整と左右の像の回転の関係を学習
していただいた上で仰角を微調整してください。
  画像は90度対空から直視までの変化を示していますが、90度を越え
る方向に仰角を増やして行けば、像が逆方向に回転することは、容易に
予想できるでしょう。
  左右の像の相対的な倒れが、左右の像の天が開いたV字傾向なのか、
その逆の八字傾向なのかを見極めてから、その逆方向に補正するのです。
 左右の像の片方だけが余計に倒れているように見えても、あくまで左右の
アイピースの平行が保たれるようにして、視野の相対的なずれを補正すること
に徹してください。





  鏡筒の平行調整の方法


 左右鏡筒の平行度が狂った可能性が疑われる場合は、まずは外見をチェックし、
外見上の平行度を極力完璧に近付けてください。それだけで、実用上問題ない
レベルになりますので、初心のうちは、光学的な調整をされる必要はないと思います。
  横方向の平行度は、架台の調整の所で説明していますように、何か鏡筒の間に物を挟んで
チェックしてください。上下の誤差は、鏡筒を水平に向けてから、2本の角棒を左右鏡筒の上、
手前と対物付近に渡し、対物側から2本の角棒を透かしてみて、そのねじれをチェックして
ください。

 

  架台の調整方法

 

 架台は、軽く作るため、鏡筒の加重による各所のたわみをある程度
受け入れた上で、最終的にバランスが取れるように設計しています。
 完成品の左右フォークの外幅について、最下部を測定していただくと
560mmくらい、最上部で565mmくらいになっているはずです。(左図A)
  これは、左右フォークを完全に平行にすると、鏡筒を天頂に向けた時に、
左図Bのように、左右鏡筒が自重によって内寄りに傾斜する傾向があるのを
打ち消すためです。

         左右フォークは、それぞれ3本の8mmのキャップボルト(引きネジ)と4本の
       6mmのホローセットビス(芋ネジ;押しネジ)によって開き具合が微調整できますので、
       調整を追い込む必要が生じた場合は、横に渡ったステンレスの補強丸棒を緩めてから
       調整してください。
          この調整は、鏡筒をセットしたまま、明るい屋内で左右の鏡筒の間に四角い物
         (平行面を持つ物なら何でも可)を挿入しながら、鏡筒の先と手前の間隔をチェックし、
          仰角を変えても鏡筒の平行度が変化しなくなるまで追い込んでください。

        万一、高度角によって左右の鏡筒が上下にずれる傾向が生じた場合は、左図Cの
       ように、フォークを真横から見たねじれを調整することで解消できます。
       (架台のねじれ調整は、鏡筒を下ろしてから行ってください。)
         このねじれ調整については、前記の開き調整より難しいので、その必要が
         生じましたら、個別にご相談ください。

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