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12cmF5-BINO(自作)(2010年6月12日)


  
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SE120F5双眼望遠鏡完成
by ヤマネコ

北海道に住むヤマネコと申します。2年ほど前に8cmセミアポ双眼望遠鏡を作成し、愛用していました。今回、12cmにステップアップしましたので、ご報告いたします。

1.はじめは・・・

 8cmセミアポは機動力の良さと広視界で、双眼の良さを堪能していましたが、少々物足りなくなってしまいました。また、私は星を眺める以上に望遠鏡を使いやすくするにはどうしたらよいかを考えるのが好きで、現状のEMSを利用しつつ、何とかバージョンアップできないかと思っていました。
 せっかくですので、15cmアクロか10cmアポでということで、松本さんに相談しました。手持ちのEMS−Lを流用しての15cmアクロ双眼は、改造する部分が多くておすすめできないということでした。何度かメールでやりとりをさせていただき、その都度丁寧に回答していただきました。
 その際、EMSに対して十分理解していない自分にも気づき、改めて勉強することができました。本来、ディープスカイを目的であることで大口径をとも考えましたが、予算と機動性を考え12cmアクロに決定しました。その際少しでも良像をということで、長焦点の方のSE120Lということでお願いしましたが、松本さんにF5の方を勧められ、そちらにすることにしました。

2.EMSのバージョンアップと12cm鏡筒を依頼

 EMS−Lを12cm用に改造していただくのと12cm鏡筒もお願いし、鏡筒の短縮と接眼筒の改造も依頼しました。多くのバックオーダーを抱えているにもかかわらず、素早い対応をしていただき、驚きました。
   しかし、松本さんにEMSを見ていただいて、自分が調節ねじを必要以上に動かしていることを知らされ、反省することとなりました。これまでは、EMSの調節ねじは左右の視軸のずれを調整するもので、2本の鏡筒がおおよそ平行であれば、調節ねじで対応すればよいと考えていました。しかし、松本さんのお話を聞いて、EMSを装着していない状態で2本の鏡筒の視軸をきちんとあわせないと、せっかくの性能を引き出すことができないと教えられ、驚くと同時に猛省していたところです。
 その後、EMSの調整と部品の交換を終え、鏡筒と同時にEMSが到着しました。

3.架台製作開始

 前回もそうだったんですが、なめらかなフリーストップと微動、導入支援というのがよくばりな私のニーズです。架台については、以前から構想がありました。今回は、以前から愛用していたTG経緯台に部品を買いたし、10〜15mm厚のアルミ合金の板材と丸棒で両持ちフォークを作成しました。特徴は次の通りです。

(1)水平、垂直ともTG経緯台のパーツを使用したので、非常になめらかでフリーストップ、微動ともスムーズなうごきとなりました。

(2)フォーク部分を長く垂直にし、両持ちにしているので、仰角を変えてもバランスが変わらず、非常に安定しています。また、天頂まで無理なく見ることができます。

(3)取り外し可能なカウンターウエイト兼ハンドルを取り付けたため、操作が非常に楽になりました。  また今回学習したことをふまえ、EMSを取り付ける前に2本の鏡筒の視軸をできるだけあわせることに留意して、組み立てました。

4.使用してみて

 12cmとはいえ、くみ上げるとかなりの重さです。非力な私がなんとか移動できる限界だと思います。普段は三脚、架台、鏡筒を分解して運んでいるので、非常に楽に運搬することができます。今回はフォーク部分を垂直にして正解でした。非常に安定してなめらかに操作することができます。
 TGのパーツを使用しているのですが、ほとんど微動は使わなくてもいいかんじです。それでも、エンコーダの表示を見ながら、微調整するには微動はありがたいです。これからさらに使いやすく手をいれていきたいなと思っています。ちなみにこの架台は、手持ちのC11も載せることができます。

5.見え味は・・・

 8cmセミアポから12cmということで、過度な期待はしないようにと思いながら、ファーストライトに臨みました。空が明るい状態では、8cmセミアポとそれほど変わりません。それでも、空の十分に暗い場所では、8→12cmの口径の大きさは偉大です。M8、M13、M17、M27、M57などのメジャーな夏の星雲・星団を眺めましたが、どれも明るく迫力ある姿を見せてくれました。高倍率にしなければ、短焦点アクロマートを感じさせない見え味でした。操作性を考えると長焦点のものにしなくて正解でした。

 常用アイピースは、EWV32とバーダーのズームアイピース(8〜24mm)ですが、必要に応じて、XW20、XL14、XW10に取り替えます。中でも、EWV32での夏の銀河巡りは時の経つのも忘れそうです。

6.これからは

 前回の双眼望遠鏡以来、すっかり双眼病につかれてしまいました。また、この双眼望遠鏡でしばらく楽しめそうです。松本さんに相談させていただく中で、EMSのポテンシャルを引き出すにはそれなりのコツと少々の手間が、必要なことがわかりました。それでも、私の性分から全てをお願いするより、いろいろと考えながら自分なりの望遠鏡を創っていく楽しさも味わっていこうと思います。
 これからも松本さんには迷惑をかけると思いますが、ご容赦いただきたいと思います。



 ヤマネコ
 






管理者のコメント;

 ヤマネコさんより、2008年2月のNERIUS80-BINOに続き、2回目のご投稿をいただきました。  前回と比較して、架台等がデザインも機能も飛躍的に進化していることが分かります。

 フォークが垂直であることは、BINO本体の重心が常に水平回転軸と一致していることを 意味しますので、水平回転の円滑さに大きく寄与します。  また、バランス調整が鏡筒前後方向だけでなく、天地方向もアリガタ固定位置で調整できる構造になっているので、 フルストロークでの完全バランスを常にキープすることが出来ます。 ヤマネコさんが日頃よく観測され、 重要な要件をよく理解されていることが分かります。 観測を通じて得られた改善目標を好きなように具現 してみられる、というのが自作の醍醐味ですね。

 海外の方のほとんどは、EMSだけ求められての自作なのですが、国内では特に最近は自作される方が少なく なったように感じます。 その点、今回のヤマネコさんの記事が隠れた自作マニアの刺激になれば良いと思います。

 EMSの光軸調整についても触れてくださいました。 1年ほど前より、EMSのX-Y調整ネジの頭に、原点復帰用の矢印シールを貼っていますので、以前のように原点を失って光軸の迷宮に入り込む心配がなくなりました。 この点につきましては、 私自身も(1年前に)大いに反省して改善した次第です。

 この場を借りて、一般的な傾向を申しますと、多くのマニアの方は、望遠鏡等に設置されている、手で回せるローレットネジについては、常に全く無防備にしかも盛大に回されることが多いと感じます。 しかし、調整に関するネジは、大抵はセットビス(イモネジ:頭の無いネジ)になっていますので、手回しネジをいかにいじくり回しても、調整には全く関与しないどころか、 状況を悪化させるばかりのことが多いのです。

  具体例を2つ挙げてみます。 まずは、伝統的なラックピニオン式の繰り出し装置です。 この手の装置には、必ずと 言ってよいほど、外筒の天部にローレットネジが付いています。 ただ、これはドローチューブを固定するのが目的なので、 ガタが生じたドローチューブのガタ取りや、摺動フリクションの調整のために該当ネジを半利きに締めるなどは、もっての他なのです。

  ガタが生じたドローチューブは、まずラックとピニオンの噛み合いを緩めるか解除(分解)してから、摺動調整があるタイプの場合はそこを適当な摺動フリクションが得られるまで、締めないといけません。 それは普通、小さいセットビスを締めることになります。 また、ギヤの噛み合いの 調整はそれとは全く別で、そこも、ドローチューブの回転ガタが最小になり、しかも操作感がゴロゴロとぎこちなくならない妥協点を 見つけて調整する必要があります。 機種により構造や調整の方法はまちまちなので、一度 分解してみれば、構造がよく理解できると思います。

 もう一つの例は、最近増えて来たクレイフォード式の調整です。 これは、ドローチューブの下のドライブシャフトの真下に 配置されたセットビス(イモネジ)がフリクション調整ネジであり、近接して隣に配置されているローレットネジは、 ドローチューブを完全に固定するためのクランプネジなのです。 この点を誤解している方が大半ではないかと推察しています。 つまりこの場合、ローレットネジは眼視では不要なネジなのです。  やや脱線しましたが、EMSの調整とも通じる部分が多いので、コメントさせていただきました。 EMSの場合も、像回転の調整では小さいセットビスを緩めて調整しないといけません。手で回るからと言って、X-Yノブをやみくもに回したのでは、台無しです。 ヤマネコさんの場合には、このような指摘には該当しませんが、一般的にローレットネジの操作は、 その役目をよく理解して行って欲しいという意味で、この場を借りて警鐘を鳴らさせていただきました。

 最後になりましたが、ヤマネコさん、久しぶりの自作記事をご投稿くださいまして、誠にありがとうございました。 作ることは、理解することへの最短の近道ですので、いずれ、より大きな収穫を得られることを確信しています。 次の、さらに進化した作品を見せていただくのを楽しみにしております。




1990

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