ユーザーリポート




小川茂樹さんのISS(国際宇宙ステーション)観望記 (2007年11月9日)


  
15cmF8-BINO(左)


 

 2001年に一度ユーザーレポートを掲載して頂いた小川です。 当時はニューヨーク州のMonroeという町に住んでおりましたが、 メガネのマツモトさんに15cm双眼望遠鏡初期型(f8)を発注し米国まで送って頂きました。 その頃の感動を観望記として綴った のが当時発表させて頂いたユーザーレポートでした。

 それ以来、この双眼望遠鏡は私が所有する複数の望遠鏡の中で最も稼働率の 良い機材として2005年3月に帰国するまでの約3年半に225夜の観望夜数を記録しました。

 帰国後の勤務地は東京都八王子市、夜空に関して全く期待はしていなかったのですが案の定、晴れても夜空には殆ど星が見え ない有様で望遠鏡は梱包も解かれず完全に休眠状態でした。 私は所謂団塊の世代に属していますので、この頃から定年を現実の ものとして意識し始めました。

 何時の頃からかリタイアしたら空を見て過ごすと決めていましたので、観望条件の良い土地を求めて山梨県などに物件を探し始め ましたが、結局生まれ故郷に近い兵庫県小野市に終の棲家を定めました。
 昼間は南に広がる国宝浄土寺とその杜の景観もあって 「大きな空が見える理想的な環境ですね」と訪問された方には言って頂けますが、残念ながら夜空はあまり暗くありません。  天頂付近で5等星が見える程度でしょうか。 神戸の中心部まで1時間ちょっとで行けるロケーションですからこれも仕方ないと ころでしょう。

 ところで最近ISS(国際宇宙ステーション)を15cm双眼望遠鏡で追跡観望しましたので報告したいと思います。 きっかけはNASAの サイトにISSの通過予報を発見したことです。
http://spaceflight.nasa.gov/realdata/sightings/index.html
日本国内では16ヶ所の通過データが選べますが都市の選び方が少しヘンなのがご愛嬌です。

 その通過予想に従ってある夜に55倍(アイピースはN4/22mm)で捉えてみますと点像ではなく面積体で突起があることが分かりました が、眩しく輝いておりそれ以上の詳細は分かりませんでした。 100倍位なら何とか詳細が分かるかもしれないと思いつつ永らく実 行しておりませんでしたが今回100倍のアイピースを装着した状態で上下バランスを良く取って再度挑戦することにしました。  アイピースは見掛け視野82度のN4/12mmを使用しました (ユーザーレポートでISS観望の報告をされた岡本さんと偶然同じアイピ ースです。 またファインダーも岡本さんと同じ発想の90度正立タイプを本機のアイピースと並べて配置してあり、本機で見失った 時の再導入が容易です)

 去る10月6日(土)の夕方6時26分に西北西に出現して北北東に抜けるISSを追いました。 西空低いアークツールスの近くに現れた 移動する明るい光点をファインダーに導入、本機のアイピースに眼を移すと同時にISSのH形が明確に分かりました。

 倍率が高くなって単位面積当たりの光量が落ちたからでしょうか、55倍とは全然違って細部が思っていた以上に窺えました。  手動で追うせわしない状況の中で何とか詳細を見ようと努力して、中央部が白色で太陽パネル部が金色であることは分かり ました。

 高速で移動する為、恒星が線になって飛び去る視野の中を光り輝くISSがすっ飛んで行くさまは何か神々しく人類の 技術の偉大さを象徴しているようです。 またこの光景は過去に見た何か別のイメージに似ていました。 そうだ幼い頃、神戸みなとまつりの夜に目の前を電飾 で光り輝きながら通り過ぎた花電車の姿だ、と何故か私の遠い感動とISSが重なりました。

 結局、具合の良い架台に助けられてISS が北の倉庫の屋根に消えるまで、視野を外さず追うことが出来ました。 通過時間は2分くらいだったと思います。 後に資料でISS の外観を確認すると本体が白色で、太陽パネルが金色だったのは印象どおりでした。

 次回には片方の鏡筒にビデオカメラを付けて 追尾撮影を試みたいと思っています。 まともなイメージを得るには相当数の通過回数が必要かもしれませんが・・・。

私の15cm双眼望遠鏡は購入当時と殆ど同じですが僅かに変えた部分は以下のとおりです。

@ 合焦部をスライド式(微動なし)のオリジナルからBORGのヘリコイド(#7757)と2インチホルダー(#7505・7506・7508・ 7509)に変更しました。 外径67mmのヘリコイドを使用したため、私の眼幅63mmに合わせる必要からヘリコイド部分が左右で互い 違いになるよう異なった長さの2インチホルダーを組み合わせたところがミソです。

A ファインダーは90度正立タイプに変更し本鏡の接眼部と並べて配置しました。 90度正立ファインダーでは目標導入が難し いという意見もありますが、私には使いやすく重宝しています。

B アイピース(特に2インチ)を変えた時の前後バランスに対応するため、鏡筒フレームの前後に必要に応じてマジックテー プで取り外し可能なウエイトを追加しました。

 購入以来6年半を経過したこの15cm双眼望遠鏡ですが、これからもずっと現役であり続けるのは間違いありません。 隣接地に建設 予定の「観測棟」では屋上のフリー観望スペースに置かれて天体をはじめ鳥、航空機などあらゆる対象を私に楽しませてくれること でしょう。



小川茂樹
〒675-1318兵庫県小野市北丘町258
e-mail






管理者のコメント;

 小川茂樹さんより、久しぶりのリポートをいただきました。 小川さんは、初期の15cmF8-BINOのユーザーで、2001年にいただいた渾身のリポートは、6年が経過した現在でも異彩を放って います。ぜひとも前回のリポートと合わせてお読みくださることをお勧めします。

 最初のリポートをいただいた当時、小川さんは某光学メーカーの海外駐在員として、ニューヨーク近郊に住んでおられました。 氏の卓越した観察眼と光学的、機械的なセンスで、今から思いますと、改善すべき点を多く残した15cm BINOを、その能力以上に 長所を引き出して使いこなしてくださったと思っています。

 去年はわざわざ当方をご訪問くださり、感激の対面をさせていただきました。

 この度写真を添付していただいた15cmF8-BINOは、小川さんの的を射た見事なカスタマイズで、その操作性がさらにアップして います。左右のアイピース根元のヘリコイドは、スペーサーをうまく利用して互いの干渉をうまく回避しておられます。

 15cmF8-BINOが、これからも末永く小川さんの観測の友としてお役に立てることを願っています。 また、次にお手伝いする機会 に備えて、松本もさらに精進を重ねていく決意を新たにいたしました。

   




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