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Okadaさんのエジプト日食遠征記です。(2006年4月3日)

  


Total Solar Eclipse with Sky90-BINO in Egypt

≪パッキング≫

 昨年のオーストラリア遠征の経験を踏まえ、鏡筒2本とP.S.T.は機内持ち込み可能 なサイズの40Lザックを出来るだけ小さく見えるように縛り、その他のマウント部、 三脚部をスーツケースに入れるように致しました。

 前回三脚を三脚ケースに入れ、別荷物としていましたが、2つになるため荷物受け取 りにえらく時間がかかったためです。また、1つにまとめることにより、三脚ケース の重さが不要になるというメリットもあります。

 脚が入るスーツケースとなると大型になるにもかかわらず、マウント部など重い 部品が入るため、すぐに20kgとなり空間が空いてしまいます。そこには100円ショッ プで売られているプラスチックケースと衣類で隙間が無いように並べました。旅行さ れた方はご存じかと思われますが、スーツケースは放り投げられたりされますので、 中で荷崩れが起こらないようにするのが破損防止になります。また、クランプネジの ような出っ張り部も全て外すようにします。これらも衝撃で曲がってしまい、機能な くなったと言うお話を聞いたことがあったからです。

≪観望≫

 CAIRO空港に着くなり、年に数回しか降らないという珍しい大雨に遭遇し、先行きに 不安を感じました。翌日も晴れてはいますが、いわゆる気象学的に『晴れ』という内 容で、ますます日食当日の快晴を祈るばかりでした。

 当日、宿泊ホテルから250km離れているため、リビア国境近くの軍事施設近くのため、 ムバラク大統領が観に来るという様々な理由が重なり朝3:00出発というスケジュール でした。また緯度的には沖縄と同程度で、エジプト=熱いという印象ですが、早朝は 10℃程度と上着がないと寒い場所が観測地となりました。

 10時近くまでガスに覆われ、皆の顔は若干覚悟をするというような表情でしたが、祈 りが通じたのかそれ以降は一気に快晴になりました。また、一昨日の雨のおかげで砂 が舞い上がるということもない、最高の観望条件になりました。

 私のSky90双眼は、クイックシューにより鏡筒を容易に着脱することが可能です。その ため、日食前、部分日食中は、添付写真のように一方の鏡筒を太陽望遠鏡のP.S.T.に 付け替えてプロミネンスの様子を見ていました。さすがに、日本と違って大気は安定 しており、たった40mmの口径でも粒状班の様子や黒点を取り囲むプラージュなどが良 く見えました。たまたま側を通りかかった国立天文台の渡部潤一先生や、周りのオラ ンダ人達は喜んでいました。

 食が90%以上進むと、気温が明らかに下がってくるのがわかり、そして空が徐々に暗 くなってくるのです。低空は夕方のようになっており、満月の夜程度の暗さでしょう か。ふと西の空を見ると、いつの間にやら金星が力強く輝き、ダイヤモンドリングに なると周りから大歓声が響くのでした。

 見上げると、見たこともない太陽がそこにはあるのです。真ん中がすっぽりと輝きを 無くした太陽は、漆黒をバックに左右に長く、上下に短く光り輝く妖艶な白い髪の毛 をなびかせているのです。それは、普段の太陽を手で隠して見える、フレアのような 光芒とは全く違うものです。

 たとえがなかなか見あたらないのですが、秋の繊細な絹雲が光り輝き、放射状に伸び ているような感じでしょうか。見たことがある方なら、うんうん言わんとすることは わかる。でも違うんだよな〜と言うような。そう、申し訳ございません、あまりぴっ たりなたとえが無い、それは非常に繊細で、見た者のみが共有できる優艶なる美しさ なのです。

 P.S.T.を装着してたマウントは、すでにSky90双眼に装着に直され、主砲を仰角62°に 向けるのです。

黒い太陽を撃て!

かつての皆既日食時の雑誌に記載されていたタイトル。皆既日食を観に行けるだろう かと、昔思っていたが、まさしくEMS双眼でその瞬間がやってきたのです。低倍率、80° オーバーの見掛け視界で見られる双眼は、今のところEMSでしかあり得ないのです。

 コロナは全てが輝く繊細なる線となり、ピンクサファイヤのように光り輝くプロミネ ンスは、肉眼でのイメージをさらに凌駕するのです。P.S.T.での短波長のプロミネン スは赤色ですが、ここでのプロミネンスはピンクなのです!80°オーバーでもってし ても左右にはみ出て広がるコロナは、スーッと闇に消えていきます。

 なぜこのような線になるのか、地球型惑星としては大きすぎる月、この大きさが今 と異なっていたら、月、太陽との距離関係が少しでも違っていたら、、、全ての偶然 が生んだ奇跡をこのEMSで見とれていると、さらなる最後の奇跡、ダイヤモンドリング が始まったのです。

 かき消されてゆくコロナと、光り輝くダイヤモンドリングを数秒見届けた後には、拍 手と歓声、恵みなる太陽の輝きを受けながら、3年後のことを考えている自分がいた のでした。


Okada






管理者のコメント;

 前回、オーストラリアに遠征されたOkadaさんが、今回はエジプト日食遠征記を投稿して くださいました。

 私が最初にして最後?に皆既日食を目撃したのは1983年のインドネシア日食でしたので、四半世紀も昔のことに なりましたが、このたびのOkadaさんのリアルなリポートで、その時の感動を思い出しました。

 しかし、その時私が見たのは、肉眼と手持ちの双眼鏡やカメラのファインダーでしたから、実際にEMS-BINOで見た本当の感動はOkadaさんとお友達と、周りにいたオランダの グループしか分からないでしょう。その意味で、この度は本当に貴重なリポートをいただきました。

 Okadaさん、EMS-BINOを日食に連れて行ってくださって、またその感動をお分けくださって、本当にありがとうございました。




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