シュワルツBino150Sユーザーのトラです。この松本式EMSビノを携えての海外遠征も、今度のオーストラリアのクー
ナバラブラン村で4回を数えました。
今回は、OkadaさんのタカハシSKY90双胴、村山さんのビクセンED115双胴も一緒です。並べて覘いた感想は次のよう
なものです。
SKY90双胴
とにかく全体がコンパクト。重さも、三脚付きセットでささっと移動できて羨ましかったです。こだわりにこだわっ
た使いやすいメカは必見。手前に縦に伸びた2本のハンドルはバイクのハンドルを握っているような操作感です。
三脚が木製である上に、先端には防振パッドを当てているため、高倍率でも振動が直ぐに止まり、目に快適です。
手持ち双眼鏡に迫る広い実視野にフローライトの星像が広がるのは圧巻。シーイングが良いときには、これって9cm?
と思えるほど木星のフェストゥーンが見えました。
ED115双胴
サイズ的にはシュワルツBino150Sに近く大型、でもかなり軽量です。アイピースについては、アイピース選択の幅が
シュワルツBino150Sよりも広いようで、ペンタックスXL40やワイドスキャンシリーズのアイピースもかなり実用になっ
ていました。また、この位の口径のEDになると、シーイングが良いときには、木星もかなりの迫力とコントラストで
見ることができました。惑星も含めたオールラウンダーとして、一台だけ遠征に持って行く場合には、質量とのバラン
スからも、ED115は理想に近いと思います。
シュワルツ150S双胴
国内でED115とシュワルツ150Sとを見比べると、口径の差ほどは星の明るさや数の違いを感じないのですが、今回のよう
な空では、計算上の集光力の差がダイレクトに目に見え、15cmがいわゆるリッチェスト・フィールド機であることを
実感しました。天の川付近に向けた場合に、視野に見える星の数を口径別に机上で計算すると、口径15cmがピークにな
るという、いくつかの記事を昔読んだように記憶しています。シュワルツ150Sの星像は、フローライトやEDのそれと較
べると、低倍率においても、良くも悪くも「ハデ」な印象です。惑星は11cm程度に絞らないと実用にならないです。
ハード面では、真鍮製のウェイト兼ハンドルは、手になじみますし、観望中に手を休めるのに丁度よいです。私もOkada
さんと同じく、三脚先端に防振パッドを使用してます。総質量はもちろんシュワルツ150Sが一番大きいです。
それから、ドブソニアンも一緒に持ち込みました。松本さんのホームページに加藤さんがレポートされている表現をお借
りすると、「広視界と濃さ」のシュワルツ150S双胴では銀河散策、「分解能と集光力」のドブソニアンではオメガや
NGC104球状星団、エータカリーナやタランチュラ星雲等々のアップと、使い分けました。また、惑星については、
シーイングが極めて安定している今回のような場所では、ドブソニアンが、フェストゥーンの先端のねじれとか、
大赤斑内部の模様とか、圧倒的にカラフルで詳細な木星像を見せてくれました。8秒チョッとの火星も、巨大な南極冠
をはじめ大きな模様を楽しめました。同行の友人は、普段、星雲星団について用いる「口径の暴力」という表現を、
今回は惑星についても用いてました。
その他、銀河のバルジという面的な対象を、裸眼と瞳径7mmの双眼鏡・双眼望遠鏡とで見比べると、ほぼ同じ明るさ
に見えるという、当たり前のことを実感できました。空、暗順応した瞳のサイズ、機材の総合透過率という条件がそろ
ったのだと思います。
それにしても、光害のない空は、肉眼で、銀河系や太陽系を実感させてくれます。いわゆる「星明り」があるのですが、
惑星による星明りではなく(これらはくっきりとした影ができる)、あきらかに銀河のバルジを中心とする星明りが、
バルジと反対方向にできるぼんやりとした影で確認できます。薄明前の巨大な舌状の黄道光は、星雲星団をかき消し、
細い黄道帯となって対日照に到っているのがわかります。黄道光は天の川に較べてやや暖色系に感じます。大小マゼラ
ンは白い雲のように、大気の雲は銀河の暗黒帯にように見えます。
最後に、自動車だけでなく飛行機で遠征する観点からEMS双胴望遠鏡の構造に関して、ど素人ながら、2点コメント
させてください。
鏡筒固定方法
目幅調整について、「鏡筒平行移動式」と、「左右鏡筒固定式」=接眼部移動式(ヘリコイドやピント補償次世代EMS)
とがあり、さらに左右鏡筒固定式の中でも、左右の鏡筒リング同士を直接連結させ且つ耳軸をリングの外側に取り付ける
「左右鏡筒直結固定式」と、ベースプレートに左右鏡筒リングと耳軸を固定する「左右鏡筒プレート固定式」とがありま
すね。
飛行機で遠征する場合、総質量を軽減する必要に加えて、どうしても架台からの鏡筒一本一本の分離・組立という
作業を迅速に行う必要が出てきます。質量の観点からは左右鏡筒直結固定式が最も有利なのですが、鏡筒の分離・組立の
観点からは取扱にくいと思います。
遠征先のホテルで落ち着いて組立した上で観測場所に移動できない場合には、組立作
台がない観測場所で三脚から順番に組み立てて、フォークの上で左右鏡筒を組み合わる必要があるからです。
その点、耳軸のついたプレートに鏡筒をセットできる左右鏡筒プレート固定式が有利なのですが、ベースプレートと
耳軸をオフセットする部分の質量が加わってしまい、悩ましいところです。そこで、例えば、左右鏡筒を同時に挟み
込む幅広のW型(下側)とM型(上側)の鏡筒固定枠を作成し、下側のW型枠の両端に耳軸を固定すると便利かも、
と思いました(「メガネ型枠上下挟み込み式」?)。
もちろん下側のW型枠の強度の設定如何で、左右鏡筒プレート
固定式と大して変わらない質量になってしまう可能性もあります。強度確保と質量軽減のバランスについては、
敢えて下側のW型枠の強度は低く抑えて上下枠を組み合わせた段階で強度が出るようにするという考え方と、
下側のW型枠の強度を充分に高くして上側のM型枠の機能を鏡筒の固定だけに限定して軽くするという考え方とが、
あるかもしれません。
鏡筒分解
パッキングについて、接眼部(合焦・目幅調整機構とEMS)込み鏡筒全長がネックになることがあります。これには、
対物レンズ側での対処と接眼部側での対処が考えられます。対物レンズ側での対処については、光軸再現性を保ちつつ
対物レンズ部が鏡筒から分離できるトミーボーグが有利ですが、125mmと150mmとは新規生産を行っていないようです。
ビクセンも対物レンズ部を分離できるようですが、これは分離してしますと保証が利かなくなってしまいそうです
(まあ、鏡筒を切断短縮してしまうのであれば、保証の点はそもそも関係なくなりますが)。接眼部については、
今後、合焦・目幅調整機構とEMSが一体化した次世代EMSもオプションになると思いますが、接眼部全体が鏡筒から
簡単に分離でき、光軸を維持した形で再組立できるよう、ご配慮いただけると、運搬にかかる負担が軽減されると
思います。