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"Spiritual health"って何? 
(新しい健康の定義)

2001年秋

 皆さんは「健康って何?」と問われてどう答えるでしょうか。「健康とは単に病気でない、虚弱でないというのみならず、身体的、精神的そして社会的に完全に良好な状態を指す」というのが、現在のところ模範解答です。この定義は1946年にWHO(世界保健機構)が提唱しました。

 その後、この健康をさらに増強するという意味で「健康増進」という考え方が提唱され、1978年のアルマアタ宣言(医療の重点を高度医療中心から予防を含む1次医療に移すというプライマリ・ヘルス・ケア重視宣言)、1986年のオタワ宣言(地域全体の環境を健康増進に寄与するように改善する健康都市重視宣言)と展開されてきました。

 これらに沿う形で、私たち静岡県も「ふじさん運動」「しずおか健康創造21」と健康づくり運動を展開しているわけです。

 一方で、「健康」自体についての研究や議論も進められています。WHO内部では1980年代から、非物質的なものがいかに健康に影響するかについて、世界各国の宗教や精神保健の専門家とともに研究してきました。

 そして、1998年に審議委員会決議として新しい健康の定義を「身体的(physical)、心理的(psychological)、霊性的(spiritual)、社会的(social)良好状態というダイナミックな状態であり、単に疾病や損傷がないということではない。」と変更することを決め、1999年の総会に諮られることとなりました。

 「健康」を固定的な完全状態と考えることに限界があるのは明らかでしょう。これを、ダイナミックに捉え、年齢・社会的状態に応じた最良の状態と考えることは素直に受け入れられることと思います。しかし、健康の良好状態や生活の質(クオリティオブライフ:QOL)を客観的に測ったり比較したりすることはかなり困難です。

 これは、個人や文化によって判断基準が大きく異なるからです。WHOでは、様々な患者・健常者について文化圏で使用できるQOL調査票(WHOQOL-100)の開発を進め、世界各国で検証中です。

 では、"Spirit"とは何でしょう。辞書によれば「精神、霊魂、霊体、聖霊、生気、元気、気分、気風」などと訳されます。同様に"spiritual"は「霊的な、精神の、神聖な、宗教の」と訳されるわけです。しかし、どうも解りにくい感じがしますね。この分野の専門家である東京理科大学の田崎美弥子先生は、"spiritual"を「霊性、宗教性、個人的信念」と説明されました。

 すこしは解る気がするでしょうか。絶対的な神様を信じている方には当然の事でしょう。しかし、仏教では絶対的な神様は存在しないため、仏教徒には解りにくいと思います。しかし、もし自分が絶対に助からない病気だと宣告されたとしたらどうするでしょう。こういう時こそ、"spiritual"な価値判断が求められます。

 現在のところ、日本人においては、「過去の辛い出来事や失った人や物に執着をもたないことが心の平安を保つために重要である」こと、「信じる宗教により霊性の概念が著しく異なっていること」が解っているそうです。
 「自分の基本的価値基準に忠実であること。」これが、私の"spiritual health"に対する解釈です。

              (2001年静岡県職員時報より一部改変)

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