十万八千両の金儲け

「はてなの茶碗」(はてなのちゃわん)という落語は、聞いていてスカーとして、ちょっと涙も出てくるいい話しです。

京都の清水寺のそばの茶屋で、油の行商をしている男がひと休みしていると、そこへ日本一の茶道具屋の金兵衛がやってきてお茶を飲んでいました。
すると金兵衛さん、ふと自分のもっていた茶碗を持ち上げて、底をのぞき、「はてな?」

油屋も金兵衛の顔は知っていましたから、あの茶碗は、きっとたいした値打ちがあるに違いないと、 お茶屋の主人から全財産の三両をはたいて買ってしまいます。

そして、金兵衛さんのところへその茶碗を持っていくのですが・・・じつは金兵衛さんがその茶碗を持ち上げて「はてな?」と言ったのは、底からお茶がぽとぽと漏れたからだったのです。

油屋さんは大恥をかいてしまい、茶碗も金兵衛さんに預けてどこかへ行ってしまいます。

が・・・

金兵衛さんが、その茶碗を手にした瞬間、その水漏れする安い茶碗が、すごい価値になったのです。
金兵衛さんが行く先々で、ぽたぽた漏れるおもしろい茶碗の話しをするたびに、みんなが「見たい」と言ってきます。
そして、最後には「お天子さま」まで見たいと言い、茶碗の箱にすらすらと箱書きまでしてくれちゃったのです。

「お天子さま」の箱書きつき茶碗は、結局、日本一の大金持ち「鴻池善右衛門」が千両を積んで、金兵衛さんから借り受けました。

ただの水漏れ茶碗が千両に化けてしまったのです。

金兵衛さんはやっと油屋を探しだし、その話しをして、千両の半分の五百両をわたします。
油屋の男は、ただ金兵衛さんの話しを信じられないって顔で聞きながら、「お天子さん」のくだりになると・・「お天子さん・・」と、つぶやいたりしています。

momosanの大好きな話しです。
前にも書きましたが、「どうだ、まいったかー」と叫んでみたい気分になります。

しかも、ここでほろりとさせて終わらないのが、上方落語のいいところです。

だいたいmomosanは、日本の映画やドラマで、だらだらとヒロインがエンディングで涙流すシーンや、ストーリーと関係なくやたら法要・・あ、間違えた、抱擁を繰り返すシーンがとても気に入りません。
「ぱっ」「はいっ」で終わってほしいものです。

さて、「はてなの茶碗」のエンディングはといいますと・・
油屋がみこし行列を引き連れて、どんちゃんさわぎをしながら、金兵衛さんの所へやってきます。
みこしには、大きな「水つぼ」が乗っています。
そして「十万八千両の金儲けだーい」と叫んでいます。
最後に金兵衛さんにひとこと

「水漏れのする水つぼを見つけてきた」


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