あの柔らかな、色つやのええ、ふっくらとした

まだ、残暑がきびしいですが、季節は確実に秋に向かっていますね。
先日もススキの穂が出ているのをみかけました。
ススキ=十五夜=月見だんごという連想が、一瞬、momosanの脳裏をかけめぐって、どこかに行ってしまいました。

スーパーの青果売場では、もう、「みかん」があります。
現代では、一年を通して、手に入らない果物なんてないのかもしれませんね。

今回は、そんな現代を離れて、昔の話をします。「千両みかん」(せんりょうみかん)からもってまいりました。

大阪の船場(せんば)の大店(おおだな)の若旦那が、病気になりました。
しかも、原因不明で、生きるか、死ぬかの重症です。
大阪一の名医が診察したところ、「なにか心に思い詰めていることがあるので、それをかなえてあげれば、病気は治る」と、言いました。

そこで、番頭はんが、それを聞き出すことになりました。

さて、番頭はんが若旦那にその思い詰めていることを聞き出そうとしますが、なかなか言ってくれません。
言っても絶対かなわない望みだと言うのです。
それをやっとの思いで説得して、若旦那が重い口を開き、こう、言いました。

「あの柔らかな、色つやのええ、ふっくらとした・・」

いやー若旦那も、なかなかやるなー、隅におけないなー、結局、恋の病なんだなーと、番頭はんが思っていると…

「みかんがたべたい」

なんだ、みかんが食べたくて病気になんかなったんかいな…なんて思わないでくださいね。
これは江戸時代の話です。しかも、季節は土用のまっただ中、暑さギンギンの真夏でした。

「みかん」なんて、どこを探しても、ありっこない時期でした。

しかし、そこは大阪一の大店の主人です。金に糸目はつけないからなんとか「みかん」を探してくれと、番頭はんにたのみます。

そして、天満のみかん問屋に保存されていたみかんの中に、ひとつだけ、腐らずに残っていたみかんを探し出したのです。

それをいくらで買ったと思います?たった一個のみかんを?

タイトルにもなっているとおり、千両で買ったんです。

まあ、今でいうと、一億円くらいですか。

安いでしょ?




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