どうやらまた、流されそうな

質屋蔵(しちやぐら)から、今回はもってきました。
「質屋」と聞いて、このコトバですから、みなさんピンときたかもしれませんね。

ところが、このコトバの意味は、もっと奥が深いのです。

ある質屋の三番蔵(さんばんぐら)で、夜になると、幽霊が出るとうわさがたちます。

この質屋の三番蔵に納められている品々というのが、人々の恨みつらみのこもった、非常にいわくのあるものなのです。

そこで、蔵の前で、寝ずの番をして、幽霊の正体をあばこうということになります。

ここで、助っ人として登場するのが、「てったいの熊はん」です。
「てったい」とは、大阪弁で、「手伝い」のことです。今でいうなら、便利屋さんというところでしょうか。
上方落語では、「熊はん」という人物が非常によく出てきます。ちなみにmomosanの同居人もkumasan(くまさん)です。別に上方落語から出てきた人ではありません。(笑)

さて、夜になり、質屋の蔵の中で突然明かりがともります。のぞいて見ると、中で質草の帯や羽織が相撲をとっているのです。

てったいの熊はんは、とっくに腰が抜けています。(笑)

すると、一本の掛け軸が箱からするすると出てきて壁にかかります。

この掛け軸は、「菅原道真」(すがわらのみちざね)の絵像の掛け軸です。

突然ですが、ここで「菅原道真」の話をしましょう。
平安時代の公卿で、子供の頃から、非常に学問に長けた人でした。
彼が祭られている天神様は、今でも受験の合格祈願で人気がありますよね。
醍醐天皇の補佐役として、右大臣に任ぜられましたが、左大臣「藤原時平」たちの謀略により、太宰権師に左遷されてしまいました。
そこで、悲運の一生を閉じます。

道真公は、質屋の主人に向かって、こう、言います。

「質置きし主に、とく利上げせよと、伝えかし、どうやらまた、流されそうな…」


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