見てみい、新しいやないか

スーパーの鮮魚コーナーで、めかじきや銀ダラの切り身のパックをじーっと眺めて品定めしているとき、 ふと、こんなことを思いました。

新鮮てのは、「死にたて」ってことなんだなあ…

なんだか正反対のコトバのようで、じつは似たり寄ったりなんですね。

そこで今回のコトバは、「池田の猪買い」(いけだのししかい)から持ってまいりました。

寒い冬に精のつくものを食べようと、池田の猟師の所へ猪の肉を買いにいく男の話です。

あっちこっち迷ったあげくに、やっと男は池田の猟師の「六太夫」さんの家につきました。
さっそく新鮮な猪の肉を手に入れるため、六太夫さんと男は、雪深い山に入ります。

あーだこーだ注文をつける男に手を焼きながらも、六太夫さんが鉄砲を猪に向けて打つと、大きな猪がどーんと倒れました。

さっそく倒れた猪の所に二人が降りて行くと、男が変なことを言います。 

「これ、新しいか?」

新しいもなにも、今鉄砲で打ったばかりです。 
でも男は信じません。男はあくまでも、死にたての一番新しいものが欲しいのです。

困った六太夫さんは、鉄砲の先で、バシバシと猪を叩くと…
じつは鉄砲の玉がかすっただけで、気絶していた猪が、トコトコと歩き出したではありませんか。

そこで六太夫さんその猪を指さして、「見てみい、新しいやないか」

なるほど、「死にたて」より新しいのは、「生きてる」ものですね。

肉でも魚でも、新鮮を追求するなら、生きているままをガブリと…ああ、アブナイ、アブナイ




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