ダンバシゴのシタ

「お光っちゃん、ちょっとこっち寄りなはれ、大事な話があるの。

いやそっちじゃなくて、こっち、 段ばしごの下

うちは代々大事な話は段ばしごの下ですることになってるの」

てな具合で、植木屋の一人娘、「お光」を段ばしごの下に呼びつけたのは、母親のおかみさんです。

というのも、大事な大事な、ナイショの話をしたかったからなんです。

人間って不思議ですよね、ナイショの話をするのに、なぜかへんな場所を選びます。

たとえば、「階段の踊り場」、当事者以外、だーれもいないヒミツの場所に思えるかもしれませんが、 上と下の階にけっこう筒抜けなんですよね。

とくに駅の階段の踊り場で、別れ話をやっているカップル。

そんなに聞いてほしいのかいって思って、momosanなんか立ち止まって耳をダンボにして聞いてあげます。

さて、おかみさんと、お光さんのナイショの話というのは、他でもない、お光さんが妊娠しているのです!

その父親がだれかということを問いただそうというわけです。

実は、お光さんには、お寺の小姓の「伝吉」さんという好きな人がいるのです。

そこで植木屋の旦那とおかみさんもなんとか伝吉さんを婿にむかえようと、お寺に頼んだのですが、 断られてしまっているのです。

そこで、二人に既成事実を作らせて、なんとか一緒にしてしまおうと画策したのですが、すべて失敗。

ところがしばらくして、お光さんが妊娠していることがわかったのです。

この話をダンバシゴのシタでするのはもう一つ理由があります。

植木屋の旦那が二階で耳をすませて聞いているからです。

おかみさんはお光さんから父親の名前を聞いたら、二階の旦那に聞こえるように復唱する約束になっています。

さあ、肝心のお光さんのお腹の子の父親は・・・なんと、伝吉さんだったのです。

おかみさんは嬉しくて、はやくこれを旦那に知らせてやろうと、声を張り上げて・・・

「ほたらなにかいな、あんたのお腹を大きしてやったのは、あの・・お寺のー・・ でんっ・・・・」

おかみさん、ここで悶絶しました。

「植木屋」(うえきや)のおハナシでした。




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