ふんしのええめんた

ちょっと、大阪のヤクザさんが使いそうな、ドスのきいたコトバです。
きっと、派手な縦縞のダブルのサイドベンツのスーツに、これまた「いったいどこで買ったの?」と、聞きたくなるようなカラーシャツとネクタイ締めたお兄さんが、「ふんしのエエめんた」と、言いそうですねえ。

ところがこのコトバの語源がとてもおもしろいので、取り上げました。
「宿屋仇」(やどやがたき)から持ってまいりました。

伊勢参りの帰りに、大阪日本橋の宿屋に泊まった兵庫の3人組が引き起こす、どたばた話です。

源兵衛、精八、喜六の3人組が、宿屋に入りました。とにかくにぎやかな3人なので、さっそく番頭に、酒や肴を注文して、今夜一晩、騒ぎまくろうという魂胆です。

そのとき、酒や肴と一緒に番頭に注文するのが、これなのです。

「ふんしのええめんたがいたら、3匹ほど生け捕って持ってこい」

「ふんしのええめんた」の意味が、最初は番頭さんにはわかりません。
頭をかしげていると、「芸者のことや」と、3人組が言います。

なるほど、「ふんしのええめんた」とは、器量のいい女、つまり芸者のことかと、momosanも感心したのでありました。

ところが、このコトバには、もっと深い意味があったのです。
なぜ、3人が、「生け捕ってこい」と、言ったのか?

冗談で言ったと思うだけでは、どうも納得できません。

「ふんしのええめんた」とは、「扮姿の良い女」の意味ではないのか?

そこで、「大阪ことば事典」で、調べてみると…

「糞仕」(ふんし)というコトバがありました。仔猫などのトイレのしつけのことです。

「ふんしのええめんた」とは、「糞仕のええ雌(めんた)」のこと、つまり、しつけの良い仔猫のことなのです。

なるほど、これなら3人が生け捕ってこいと言った意味がわかります。

ドスのきいたコトバではなく、じつはなかなかしゃれたコトバなんだなって感じました。




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