わたいの嫁はんは、あんたの隣にすわっている

帰りの通勤電車の中で、よく思うことがあります。

酔っぱらって上向いてぐーぐー寝ていて、で、起きてみると、窓ガラスにべったり頭の跡がついているおっさん

スポーツ新聞のエッチな欄を丁寧に手で切り取って、折り畳んで手帳にはさみこむおっさん

小さな携帯用ラジオのイヤホンで、プロ野球中継を聞いているのか、たまにラジオの感度が悪くなると、 人の迷惑かえりみず、あっちこっちにラジオを向けるおっさん、

車両間の自動ドアのセンサーがたまたま感度悪かったのか、ドアが開かなかったとき、さっそく近くにいたおっさんがやってきて、「こういうときは、てどうで開ければ」って、「てどう」 ってなんだよう?もしかして、「手動(しゅどう)」のことですか?

こういうおっさんたちにも、ちゃんと家に帰れば、嫁はんがいるのだろうな?と、思うのであります。

「船弁慶」(ふなべんけい)にでてくる、「カミナリのお松」さんていうものすごいおカミさんの話は何度かしていますね。

その中のエピソードでひとつ、紹介しましょう。 

お松さんのあわれな旦那さん、「喜六」さんの浄瑠璃の会での話です。

この喜六さんの浄瑠璃というのが、また、ひどいもんなんです。

でも、一度くらいは聞いてやろうかと、お松さんが浄瑠璃の会に出掛けたところ・・・

相変わらず、ひどい浄瑠璃でだーれも真剣に聞いてくれる人はいません。

それどころか、なぜか爆笑されてしまいます。

客のなかの誰かが、「おい、あんたみたいなもんでも、嫁はんなるものがおまんのか?」
と、壇上の喜六さんに聞いたのであります。

すると、喜六さん、浄瑠璃よりも上手く、こう語ったのであります。

「わたいの嫁はんはー、あんたの隣にすわっていーるー」


戻りまっか?(演題別索引に)

戻りまっか?(落語のコトバに)