短歌 オレンヂ

 

 

関野 昌子(奈良)

孫達は「さるかにがっせん」の聞き上手初めての様に目を輝かす

洞川から見上げる山の頂きに男等登るはロマンか「行」か

茶をいれる老尼の手許清げなる喉許通る温き時をも

もてなしの心溢れて長崎は我等五人を知己の様にして

 

 

 

 

 

 

西川 絹子(奈良)

真夏日の続く長月涼もとめ蔭くらき庭に散水の音

「満開の桜を見せむ」と誘われて黄昏の中 玉台寺を訪う

古稀すぎて林住期へと落ち着きし二人の暮しに風立ちさわぐ

草の穂のつんつん立ちて秋暮れぬ山のもみじ葉舞い散る季に

 

 

 

 

 

 

 

森本 良子(奈良)

処暑も過ぎ長月に入りても熱帯夜されど夜更けてかそけき虫の音

とにかくにシャトルバスにて行ってみる平城遷都千三百年祭

芽吹き待つ小枝にひかるつぶ置きて如月の雨霧となりたり

粛粛と鐘後見の鐘釣りて妖しくはじまる能・道成寺

 

 

 

 

 

山嵜 絹代(奈良)

歌詠むこと女性の生き方子の未来 教え給いし師の声今も

病んでいても明日に希望(のぞみ)のある人は “健やかなる人”と老医師の言う

戦いは人の歴史に無くならず旧址(きゅうし)歩めぱ若菜萌え出ず

「乾物屋何のお店?」と娘(こ)に問われ「スルメ カンピョウ ノリ シイタケ」と

      

 

 

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