
治療について|
治療の基本は、治療する人が治療を受ける人の心の在り方を理解し、そのことを通じて心の成長を共に体験してゆくことと考えています。病気の症状が強いと、病気の人は不安が強くまた現実的な判断が弱くなったり混乱します。病気の症状をありのままに受け止めてあげ、症状の示す心の世界の意味を理解するように努めてゆきます。その中から病気の人は治療する人に安心感と信頼を持つことができ、不安な気持ちは軽減します。このことが治療を始めるに当たり一番重要なことです。治療する人と受ける人の間に信頼関係ができたとき心の回復は進みます。診察の中でいろいろな心の中にある苦しい問題について共に考えてゆくとき、社会の中で実現できなかった自己の姿や、押さえ込んできた自己の苦悩が思い出され、その振り返りの中から新しい自己の姿を見いだしてゆくことが治療の目標です。 文責 M.Nakano
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1対1の診察の中で治療者は治療を受けている人の心の世界に接近します。病気の人は、憂鬱な気分、不安な感情、幻覚や妄想など病気によって違いはありますが、症状に圧倒されたった一人で病気の世界の中に孤立しています。治療者は病気の人に対し、気持ちを受け入れながら病気の人の心の中を理解してゆきます。症状の苦しさ、病気に伴う様々な判断の混乱と当惑などがあります。治療を受ける人は自分の心が理解され受け止められたと感じたとき治療者への信頼感が持てそれが安心へと繋がります。症状が軽くなれば、精神的な病気になっていった過程を治療者と治療を受ける人が、その人自身の性格と、生きてきた環境、価値観などから一緒に考えてゆきます。また、現実の悩み、未解決な問題に対しても共に考えることが必要です。
主に心理療法士といわれる専門家が行います。1対1の面接を中心にして、その中で、箱庭療法、絵画療法、粘土療法、夢療法などの特別な技法を使用することもあります。人の心の中には、意識できない部分として無意識と言われる部分があります。このことは普段気づくことは難しいのですが、その中には思いがけない心の力が眠っています。このことに気づき、治療を通して様々な体験をすることにより生きてゆくことが豊かなものになることを目指します。
この治療法は1対1の治療とは違い数人の治療を受ける人と数人の治療者とがグループになって治療を行うものです。グループが持つダイナミックな心の力を治療に生かすものです。 これには様々な種類のものがありますが次に代表的なものを紹介します。ビオンという人が初めに試みたもので、集団の中での人々の関係が人の心に大きな働きをすることを示しました。
病気になるに至った悩みをグループで話し合い、振り返ります。幼い頃から現在までの家族との関係や家の在り方、他人との関係の取り方などが振り返りのポイントになります。自己の内面を見つめ、他者の内面を知る。また様々な情緒を共有する。このようなグループでの体験が、今まで気づかなかった自己の一面に気付く契機になります。また、現在の悩みや今後の生き方についても話し合います。
日常生活は果てしないドラマであり、私達はこの中でいくつかの役柄を演じています。心理劇は、日常の役柄から離れ、自己の新しい可能性を演じてみる試みです。昔話や、お話の主人公になって演技を行います。モレノという人が始めた治療法で、自発性と創造性をのばすものです。
生き生きした感情表現が困難なとき、対人関係は硬直したものになります。影絵という手法を用い、病気の回復のために昔話やお話の主人公のイメージを通して新しい感情表現の獲得を目指します。影絵の中での表現は心の柔軟な関係を表現する場となります。
日常の規則的な生活から離れ、自由で生き生きした情緒を体験するものとしてレクレーションが必要です。人は様々な遊びを工夫しそれを体験することで心の想像力を磨いてきました。また人と人との遊びの関係の中で強く結びつく情緒的な体験がなされます。
退院後に通院している人を援助するために行われています。私達は社会や家庭の中で様々な悩みを抱きながら生活を送っています。しかし、その悩みについて話し合える機会を得ることは難しくゆとりのない日々を過ごしているのが現状です。デイケアーでは病気の人とスタッフが心の問題を共に考えてゆこうとするところです。その中で、メンバーが社会の中で自己実現してゆく助けとなることを目指しています。
病気によって使用する薬物はもちろん違います。精神安定剤といっても神経症に使うものと精神分裂病に使うものとは違います。また鬱病には感情調整剤を使いますが、躁病には使いません。薬は病気により使う種類が違うこと、また過量な投与は避けできるだけ状態に応じた量を使用することが大事です。副作用の多くは過量な投与によるものと言えます。戦後に発見された精神科の薬も少しづつ進歩しています。副作用はありますがそれも改善されつつあります。適切に使えば副作用よりも効果のほうが充分大きいと言って良いと思います。薬によって精神が変わってしまうのではないかと心配されるのも無理はないですが、精神安定剤は気持ちを落ち着かせるのが主な作用ですし、感情調整剤は気分を和らげるのが主な作用です。
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