三方原基線測量絵図


三方原基線は明治16年に測量が行われた。
この絵図は陸地測量士の館潔彦が下絵を描き、画家が浄写して天皇に献上されたもの。
国立科学博物館所蔵
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【三方原基線測量絵図 詞書】
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このやぐら柱は
遠江國みかたが原なる
大三角線路の南のはて
神が谷村の測點にたつ
櫓のうへに回光儀をおき
定夫ひとりこれをもて
日光を線路の北のはて
みやこ田村の櫓に反射せしむ
その定夫はよく心をつけ候事
めぐりゆく日あしに
したがひ
回光儀を轉じ
きたのやぐらにて
常にみあての光を
うしなはぬやうに
するなり
















臺線を計りたむる手つづきは
まづ測量手ひとり
線路のうちの一點に
五インチの経緯儀をたつ
この一點といふは
北の櫓より南の櫓までの線路
大約二里二十七町二十四間を
十等分にわり各其しるしの
點をもうけたる
うちのひとつを
いうなり

定夫ふたり
はがねにてつくりし
巻尺もて
一組のながさをはかる
ひとくみとは
測竿六本をいう
さて其うちのひとり
ながき鉄針を
巻尺の両のはしにたつ
このとき
測量手経緯儀より
・・・・・・・








定夫ふたり測竿を更に
複器
を臺の
うへごとにおく

この器には測竿を
上下すに埋施左のいすにねぢ
とぢかたむにねぢ
又とぢかためし刃に接合せの時
すこし竿を動かしうる
ねぢをつけたり

定夫ふたり測竿をになひきて
複器のうへにおくこの測竿は
イギリスのロンドンに於て名だかき
器械社のつくりし精密を
きはめるはがねの竿なり

ながさは三メートルありわが
かねざしの九尺九寸にあたる
これをもて線路の町並を
くはしくはかりたむるなり

測量手ふたり測竿のあとさきよりたち
複器のあげさげのねぢにて測竿を
上そりにならかしめ めじるしをさす
このとき経緯儀をつかさどる測量手
めじるしをみとめ旗もてありひだりの
かたはりをさししめせばそれにしたがひ
ねぢにて測竿をただし また
旗をたてにふれば直線なるをしりて
竿と臺とをとぢかたむ

測竿接あはせのところはきりくみにして
かみあひの量を変へていれ又毛よりも
ほそき程すぢをひきたり測量手ひとり
顕微鏡もて
其はかりをただす
又測量手ふたり
くはしくこれを
みとめ測竿の
当緯と竿に係たる
寒暖計の数
野帖に表にし互に
みくらべて
これをただす

(以下 下に別記)
下段左端の上 下段左端の下
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直線上に
ただしければ
竿と器
へりの方位

測量の
さはり
なければ
なり
地面の方位
盤をかさね
をなり
うるかぎりに
あらぬときは
おもりつたけたる
はしをさげ竿
のあひくちを
はかる

変体仮名とくずし字を、一通り解読しました。
意味が通らない箇所は、間違えているのだと思います。
特に、絵図下段の左端部分は、不鮮明なため、その可能性大です。
赤字の部分は自分でも間違えている可能性が高いと感じています。
誤りを修正して、正確なものにしたいので、ご指摘ください。
下に現代語訳を載せましたが、こちらも誤りがあればお知らせください。

2018.2.26 訂正 上段14行 「当てにみあての光を」→「常にみあての光を」

低山(mail woodpecker35jp@yahoo.co.jp)


【三方原基線測量絵図 詞書現代語訳と解説】
上段 中段 下段
このやぐらは、遠江国三方原の基線路の南端、神ヶ谷村の測 点に建っている。

やぐらの上には回光儀が置いてあり、測夫がひとり、この器械で都田村のやぐらに向けて日光を反射させている。

その測夫が心得なければいけないのは、めぐってゆく太陽に従って回光儀を動かし、北(都田村)のやぐらで、常に目標の光を見失わないようにすることだ。
基線測量の手順として、まづ測量手ひとりが、基線路にある一点に五インチの経緯儀を設置する。この一点というのは北の測標から南の測標までの線路、約二里二十七町二十四間(10.8キロ)を十等分した節点のひとつのことをいう。

測夫二人ではがねの巻尺で、一組の長さを測る。一組とは、基線尺六本のことをいう。測夫の一人が、長い鉄の棒を巻尺の両端に立てる。このとき、測量手は経緯儀より・・・
【 「複器」はくずし字をそう読んだが、違っているのかもしれない。その複器と臺を、次のように仮定して読んでみる。複器は臺の上の基線尺を止める装置ということで固定器、臺は絵図にある三脚の部分で三脚。 】

測夫二人、基線尺を三脚の上の固定器の上に置く。 この固定器にはネジがついていて、基線尺の上下と基線尺左右の接ぎ合わせに使う。  ( 意訳すると、こういうことだと思う。基線尺の片側の端は刃形になっていることから「刃」云々の記述があるのだと考える。五行目からを直訳風にすれば「この器には基線尺を上下するのに埋め施こした、左のいす( 不明 )に捩り、閉じ固めるために捩り、又、閉じ固めた刃に接ぎ合わせる時、少し棹を動かせるための、ネジをつける」となる。「埋施」は「螺旋」にも似ているが、くずし方から判断すると「埋施」だと思う。 )

測夫二人で担い、固定器の上に置くこの基線尺はイギリスのロンドンにある有名な会社製の精密な鋼の竿である。

長さは三メートルで、わが国の九尺九寸にあたる。これで線路を精しく測るのである。

測量士二人、基線尺の前後に立って固定器のネジで基線尺を上に傾けて目印をたてる。経緯儀担当の測量手が(経緯儀の望遠鏡で)その目印を見て旗を振る。左に旗を振ったら、その方向にネジで基線尺を調整し、縦に旗をふれば直線であるとして、基線尺と三脚を固定する。

基線尺の接ぎ合わせ部分は切組みにしてあって、かみ合いの量を変えていれる。また細線をまっすぐ伸ばし、測量手ひとりが顕微鏡で、そのハカリ( 基線尺の指標線と細線の乖離の程度か? )を調べる。また測量手二人が詳しく見て確かめ当緯( 不明、その場所の緯度のことか? )と基線尺に架かる寒暖計の数値をノートに記入し、表にして互いに見比べて、これを調べる。【 基線尺はただの伸縮の少ない金属の定尺の棒ではなく、両端には細工がしてある。その構造と接ぎ合わせの仕方の説明がないので、この段落の記述だけからは、何を言ってるのか理解するのは無理であろう。】
下段左端の上 下段左端の下
其れは(何をさすか不明)、直線上に合っていれば棹と器(基線尺と固定器か?)の縁の向きは、測量にさしつかえることがないからである。 地面の方位が、盤を重ねても並ばない時は、基線尺の端に重りをつけて、合口を測る。( 絵図には、基線尺が段違いになっていて、高くなっているほうの端に重りを描いている部分がある )