本当に気功は病気に効くのだろうか?

あらかじめ、言っておきますが私は気功を完全に否定しているわけではありません。しかし、いんちき気功も広まっていることも事実ですし、本当に気功の効果であるかどうか疑問な部分もあります。そこで、手元にある資料より、私なりに気功について考察して見ました。

3月に某週刊誌では、何回かにわたって「気功」を取り上げていました。(この場合、一般的な気功ではなく、外気功です。)しかし、その記事の書き方は、一般の健康食品の宣伝にみられる、「治療した」、「良くなった」、だから「効いた」、という論法でかかれています。本当に外気功が効くか効かないかは、外気功を受けた場合と受けない場合との比較検討、すなわち二重盲検法による証明が必要です。私の知る限りでは、二重盲検法により「外気功」の効果が証明された例を知りません。(あったら教えてください。)したがって、外気功の効果は科学的に証明されたとはいえません。

1995年には放射線医学総合研究所の山本幹男氏の「多様同時計測による生体機能解析法の研究」という研究テーマに対して、5年間で総額1億円の研究費が下りたそうです。難しい題名ですが、要するにこれは「外気功」についての研究なのだそうです。(メディカル朝日1996年6月号)これによって、気功の効果が科学的に証明されるかどうか興味のあるところです。

しかし、すでに気功についてはいくつか研究していたところがあります。群馬大学医学部では、すでに外気功の実験がなされています。(モダンメディシン1992年11月号)このときの実験では、偽の外気功師でも本物の外気功師と同じ様な効果が見られたそうです。つまりこのときの「外気功」はプラシーボ効果であった可能性があります。

その内容をちょっと紹介してみましょう。
実験は群馬大学の丸山悠司教授、田所作太郎名誉教授(現群馬県立医療短大学長)らにより行われました。
本当の気功師が、椅子に座っている被験者に手をかざして外気功を発してしばらくたつと、被検者は前に倒れ、椅子から床に寝転がってしまいました。そして痛みを与えても、感じなくなってしまいました。それに対して、外気功の経験のない人が、外気功の様子をビデオで見て、気功師がやったことと同じように被検者に対して「気功(?)」を発しました。すると、何人かの被験者に対して、本物の気功師がしたことと同様の現象を起こすことができたのです。このことは、気功師が手から何らかの気を発することによりこのような現象が引き起こされるのではなくて、被験者の心理的作用によりこれらの現象が引き起こされることを示しています。これは、同時に行われた実験にて、気功師が、人間ではなく、子犬やラット、大腸菌に気功を当てても、何の変化もおきなかったことからも裏付けられます。後日談として、にせ気功師を演じたある人は、本当に被検者に対して外気功がかかってしまって、本当に自分に超能力があるのではないかと思い、外気功にのめり込みそうになったということです。

その他、1995年のメディカル朝日10月号11月号の2回にわたって、張 洪林氏(中国中医研究員針灸研究所気功研究室主任)の「気功 その真偽を探る」と題した論文が掲載されています。その要点は、以下のとおりです。

1)外気功の治療効果は、心理的な暗示の効果によるものである。

2)中国で行われた外気の物理学的な実験の信憑性はきわめて怪しい。(この実験は、清華大学の名義で87年に発表された、外気によって物質の分子構造を変化させたというものや、中国の雑誌に掲載された外気から赤外線や電磁波などを検出したという記事、その後一度も再現されていない。)

3)現在「外気功」と称されているものの歴史はたかだか数十年の歴史しかない。

4)4000年もの歴史のある本来の気功は、現在日本に広まっている「外気功」とは異なるものである。

5)本来の気功とは自己暗示により意識を自己催眠(いわゆる入静)状態に入らせ、心理的な調節機能を利用して体内各システムの生理機能を強調させ、さらには組織的な病変をも修復できる、病気の予防と治療を達成しうる一種の自己鍛練方法である。



このようにしてみると、本来の気功とはプラシーボ効果を究極まで高めたものといえるかもしれませんね。なんだか今はやりの「プラス思考」とダブって見えてきます。確かに、うまく使えば医療にも十分用いられる可能性があります。しかし、あくまでも補助的なものであり、その使用は限定されるでしょう。あまり過信はできないと思います。

以前にある週刊誌では気功についての特集を組んでいましたが、その内容はあまりにお粗末でした。こちらに解説を載せています。(1)(2)

 

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