手かざし療法の嘘を9歳の女の子が証明(98.8.4)




JAMA(米国医師会雑誌、世界的にも有名な医学雑誌の一つ)の4月1日号に興味ある論文が掲載されました。興味ある点は2つあります。一つは、欧米で広まっている民間療法の一つであるTherapeutic Touch(手かざし療法)を科学的に検証したこと。もう一つは、この実験をプランし、実際行ったのが9歳の女の子であったことです。この論文は、二つの一流の医学雑誌、ランセット(The Lancet, Vol 351, 1998)、英国医学雑誌(British Medical Journal, Vol 316, 1998)にも取り上げられました。

実験は、手かざし療法の根本的な理論が正しいかどうかを検証したものです。即ち、手かざし療法の理論は次のようなものです。「人の中にはenergy fieldなるエネルギーの流れが存在し、病気の場合この流れが妨げられるために起こる。施術者はこのhuman energy fieldを感知し、これをコントロールすることにより病気を治す。」一見して分かるとおり、日本で言う外気功と類似点が多い。実際この論文の中でも、気功をはじめとした東洋医学との関連を指摘しています。
この実験では、果たして日頃手かざし療法を行っている施術者が、human energy fieldを感知できるかどうかを試したものです。感知できなければ、この治療法はその根本理論から否定されたことになります。
9歳の女の子が考えた実験は次の通りです。施術者の前に向こう側が見えないようについたてを置き、下の隙間より施術者が両手を手のひらを上に向けて出す。ついたての反対側に女の子がいて、施術者の手の上に手をかざす。もし、施術者がhuman energy fieldを感知することができれば、女の子が施術者の右手か左手のどちらの手の上に手をかざしたかが分かるはずである。原理はきわめて単純です。21人の施術者に対して実験が行われました。
その結果、手をかざした方を言い当てられた確率は44%でしたた。でたらめに答えても、右か左しかないわけですから、確率は50%です。したがって、統計学的にはでたらめに答えた場合と何ら差はなかったということになってしまいました。つまり、施術者はhuman energy fieldなるものを感知することはできなかったのです。 この民間療法は9歳の女の子によって、科学的には何ら根拠のないものであることが実証されてしまいました。

この実験は「手かざし療法は治療効果がない。」と証明したわけではありません。少なくともプラシーボ効果ぐらいはあると思います。この論文によれば、手かざし療法は世界の100以上の大学で教えられ、10万人の施術者がいると言われています。その内4万3千人は医療関係者なのです。
医学雑誌ランセットのインタビューに答えて、手かざし療法の創始者は、その論文が掲載されたのがJAMAの4月1日号であることを指摘し、「I hope it is an April Fool's day joke. 」と答えています。

この論文の内容については、Quack watch home pageのTherapeutic Touchの項に絵入りで説明されています。

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