ダイエットピルの副作用 (00.12.28)


ダイエットに用いられる錠剤などを米国ではダイエットピルと呼んでいるそうです。米国では肥満は重大な問題であり、オレススタット(脂肪の消化酵素阻害剤)、シブトラミン(食欲抑制剤+代謝促進剤)などは医薬品として使用されています。しかし、その他にも数多くのダイエットピルが流通しているようです。古今東西、どこでも共通しているのが若い女性のダイエット願望です。それ程太っていないのに、モデルなみに痩せたいと願望し、ダイエットピルを飲むということは米国でもよくあるようです。しかし、米国では危険なダイエットピルも流通しているのも事実です。以前は「fen-phen」と呼ばれる食欲抑制剤が肥満治療に用いられていたことがありました。その副作用としてまれに肺高血圧症があります。これにより若い女性の死亡例があるのです。その後、かなりの頻度で心臓の弁膜異常をきたすことが明らかになり、この薬剤は製造中止になりました。しかし、その後も危険なダイエットピルはまだまだあります。ここでは最近広告されたダイエットピルの副作用報告を紹介します。これらは日本では医薬品に分類されますので、恐らく販売はされていないでしょう。しかし、最近は、インターネットを通じて個人輸入や輸入代行により米国のダイエットピルを手に入れることができます。私たちはダイエットピルの危険性について十分知っておく必要があると思います。


Phenylpropanolamine and the Risk of Hemorrhagic Stroke(フェニルプロパノールアミンと脳出血の危険性)
雑誌N.Engl.J.Med. 343: December 21、2000年
解説:「10代後半から20代前半の女性。ダイエットピルを飲み始めて少し体重が減った、あるいは数ヶ月中断したあと再び飲み始めたある日、頭痛があったがそのまま就寝した。目がさめたときには脳出血をおこしていた。」
健康に何の問題もなかった若い女性が、フェニルプロパノールアミン(PPA)を含むダイエットピルにより脳卒中をおこす、上記がその典型例です。 PPAはエフェドリン・アルカロイドの一つであり、米国では1983年より食欲を抑制するOTC薬として出回っています。この論文では、18歳から49歳までの脳出血(くも膜下出血あるいは脳内出血)をおこした702例と性別、年齢などをそろえた対照群1376例と比較しています。ダイエット目的でPPAを服用した女性での脳出血のリスクは対象に比べて16.58倍という高さです。これを受けて米国FDAはPPAを含む薬剤の全面回収を指示したということです。

Adverse  Cardiovascular and Central Nervous System Events Associated with Dietary Supplements Containing Ephedra Alkaloids(エフェドラ(麻黄)アルカロイドを含むサプリメントに伴う心血管系及び中枢神経系の副作用)
雑誌N.Engl.J.Med. 343: December 21、2000年
解説:これは麻黄の副作用についての総説です。麻黄は英名ではEphedraと呼ばれ、日本では生薬の一つとして漢方薬に利用されています。やはりこれも米国ではダイエットピルとして流通しています。この論文ではFDAによせられた麻黄の副作用報告140件を分析し、そのうち87例は麻黄に関連した副作用であるとしています。その48%が高血圧などの心血管系の副作用、18%が脳卒中や痙攣などの中枢神経系の副作用だそうです。しかも、その内10例は死亡しており、13例は後遺症を残しているのです。他の報告にこのEphedraを含むダイエットピルが紹介されていましたので、リストアップしておきます。
Thermojetics(Herebalife International), Ripped Fuel, Nature's Nutrition Formula One, Power Trim, ShapeFast, Super Diet Max, Blast and Burn, Therma Slim, Thermo Slim, Trim Easy, Victory Pump

上記2つの論文に登場するPPAもEphedraもにたような作用があります。これらを重複して服用したり、カフェインとともに服用したりするとさらに危険です。

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