健康食品、民間療法の副作用に関する学会報告、論文(00.7.7)



健康食品の副作用について医学雑誌に掲載されたものをリストアップします。医学雑誌に掲載されたということは、症状の原因としてその際にとった健康食品、そのときに行った民間療法が極めて疑わしいということです。
掲載された論文の題名と雑氏名をあげてあります。あるものについては、解説を付け加えました。クロレラプロポリスについては副作用の報告が多いので、別にリストアップしました。ここには主要なものだけをあげてあります。

健康食品

1) 健康食品でアトピー性皮膚炎が悪化した1乳児例
雑誌:アレルギーの臨床、16巻834頁1996年
解説:原文を読んでいないのでどんな健康食品であるか不明です。

2)健康食品プロポリスによって起こった肝不全の関係するアレルギー反応と汎発性血管内凝固症候群(DIC)
雑誌:InternalMedicine、34巻1207頁1995年 (これは英文の論文です)
解説:この論文では、プロポリスの摂取によりアレルギー反応を起こし、汎発性血管内凝固症候群(DIC)、発疹、肝障害をきたした女性を報告しています。DICは、白血病や癌、敗血症などに合併する重篤な副作用で、原因となる病気により体中の血管の中で血液が固まりだし、そこで凝固因子や血小板が消費されるために出血傾向が現われる病気です。放っておけば死に至る病です。この例は、プロポリスを摂取した結果、一度発疹と肝障害をきたして入院。治癒後、再度プロポリスを摂取したがために、DICまでになってしまいました。その後、プロポリスのエキスにてパッチテストを行った結果、そのアレルギーが証明されました。食べたものでDICにまで陥るケースは極めて稀で、とんでもないことです。この論文では、今後いろいろな健康食品が広まるにつれて、このような重篤な副作用が増える可能性があると警鐘をならしています。

3)ワルファリン療法と健康食品クロレラ
雑誌:臨床神経学、35巻806頁
解説:ワルファリンは血栓が形成されることを予防する薬で、脳血栓を起しやすい人や心臓の手術をした人が服用します。この薬の効果はビタミンKを摂取することによって減弱するため、ビタミンKを多く含む納豆やプロッコリーを食べないように指導されます。この論文はクロレラもこのワルファリンの効果を減弱させる可能性があることをしてきしています。実は、クロレラにはある程度、ビタミンKが含まれているようです。したがって、ワルファリンを服用している方はクロレラを摂取しない方が良いと思います。

4)パーラ茶、雲南中国茶、赤まむし粉末の染色体異常誘発性
雑誌:埼玉県衛生研究所報28号31頁1995年
解説:この論文では、題に示した中国茶や赤まむし粉末が染色体の異常を誘発するかについて研究しています。染色体の異常を誘発することは癌を発生させることにつながりかねません。このなかでは、パーラ茶が染色体異常を誘発したと報告しています。この研究グループは、以前にパーラ茶、雲南中国茶、赤まむし粉末の三者のメタノール抽出物について突然変異原性があることを報告しています。

5)健康食品スッポン粉末摂取中の透析患者にみられた高Ca血症
雑誌:Clinical Calcium、5巻、79頁、1994年
解説:男性の透析患者さんが、スッポンの粉末を摂取していたところ血液中のカルシウムが高値となってしまったという報告です。その摂取をやめたところカルシウムが正常化したことから、スッポンの粉末にはカルシウムを上昇させる成分が含まれていることが推測されます。

6)健康食品「ローヤルゼリー」が原因と思われる好酸球性胃腸炎の1例
雑誌:日本消化器病学会雑誌、91巻、1447頁、1994年

7)市販健康茶の変異原性について(第2報)ハス茶の変異原性
雑誌:埼玉県衛生研究所報、30巻21頁1997年
解説:エームス試験を用いて検討した結果、ハスの葉を原料とする茶の製品は変異原性を示した。

8)健康食品の飲食が原因と思われる食道潰瘍の2例
雑誌:Gastroenterological Endoscopy、39巻618頁1997年
解説:原文を読んでいないのでどんな健康食品であるか不明です。

9)クマ笹エキス服用が原因と考えられたpseudomelanosiscoliの一例
雑誌:Gastroenterological endoscopy、39巻626頁1997年
解説:原文を読んでいないので詳細は不明です。

10)マコモ製品により著しい増悪をきたしたアトピー性皮膚炎女児例
雑誌:皮膚臨床、40巻6号1998年
解説:マコモとはイネ科の多年草で健康食品として出回っているそうです。この例は、アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬を中止し、マコモの内服療法を開始しました。内服2〜3日後より顔面、下肢の腫張がみられたため、内服を中止、マコモ入浴剤と軟膏、リンスの外用を続けたところアトピー性皮膚炎が悪化してしまいました。マコモは刺激性が強く、皮膚の弱いアトピー性皮膚炎に使用することはきわめて問題があると著者は指摘しています。

11)Ginkgobilobaによりおこったクモ膜下出血
雑誌:Lancet Vol. 352, July 4, 1998
解説:別のところで述べましたが、Ginkgobiloba(イチョウ葉エキス)は欧米で利用されている健康食品の一つですが、痴呆の進行を抑制すると報告されています。61歳の男の人が、6ヶ月以上Ginkgobilobaを服用したところ、クモ膜下出血をおこしてしまったということです。この理由として、このGinkgobilobaは血小板凝集抑制作用があり、このため出血傾向が現れたためではないかと、著者は考察しています。
12)プロポリスによる接触性皮膚炎
雑誌:治療 81巻、130頁、1999年
解説:プロポリスは健康食品として広く知られていますが、Hausenという人は薬200例のプロポリスによるアレルギー性接触性皮膚炎報告例を集積検討し、きわめて皮膚のアレルギーを来しやすいことを報告しています。日本でもプロポリスの刺激性が強いとの報告があります。しかし、1995年には化粧品、歯磨き、入浴剤でもプロポリスを使用することが認可され、96年から販売されているとのことです。その後プロポリスによる接触性皮膚炎が増加しているとのことですので注意が必要です。

民間療法

1)小児アトピー性皮膚炎患者における白内障
雑誌:皮膚科紀要、91巻、25頁、1996年
解説:この論文では、小児のアトピー性皮膚炎の患者さん143例を調べたところ、22例に白内障がみられたと報告しています。そのうち5例は白内障が進行し、視力障害を来していました。この5例では、ステロイド治療を嫌い、漢方や民間療法に頼っていたとのことです。ステロイドが万能とはいいませんが、しっかりした医師の管理のもとに治療を受けることの重要性を示しています。

2)糖尿病性腎症にScleromyxedeme(硬化性粘液水腫)を伴い、血液透析に至った症例
雑誌:糖尿病、39巻、363頁、1996年
解説:高血糖、目の合併症をもった女性の糖尿病患者さんについての症例報告です。インスリン療法を途中で中止してしまい、民間療法に頼ったがために、3年後に再度病院を受診したときには血液透析をせざるを得ない状態になってしまいました。医師のアドバイスにしたがって、ちゃんとインスリン療法を行っていればこれほど急に腎臓が悪化することはなかったでしょう。

3)民間療法の落し穴 頼りすぎてアトピー性皮膚炎悪化の症例
雑誌:アレルギーの領域、3巻、905頁、1996年

4)民間療法として体表に使用したニンニクによる刺激性接触皮膚炎の3症例
雑誌:Environmental Dermatology、2巻、114頁、1995年
解説:民間療法では痛みなどを和らげるため、ニンニクを塗ったりするようです。しかし、ニンニクは結構刺激性が強く、それによって皮膚炎を起してしまいます。

5)民間療法による不適切な食物制限のためKwashiorkorを来したアトピー性皮膚炎の乳児
雑誌:日本小児科学会雑誌、100巻、375頁

6)アトピー性白内障 最近の発生状況と白内障誘発因子について
雑誌:皮膚科の臨床、38巻、61頁、1996年

7)民間療法および頚椎牽引療法による脊髄障害例について
雑誌:日本脊椎外科学会雑誌、6巻、35頁、1995年

8)インスリン療法から民間療法へ切り替えた後、不可逆的な視力障害に陥った症例
雑誌:Diabetes Frontier、4巻、456頁、1993年
解説:これは、糖尿病の治療を中断してしまい、民間療法に頼ってしまったがために、急激に眼の合併症が進行し、視力の低下してしまった男性患者の報告です。糖尿病の治療を自ら中断してしまうこと、民間療法に頼ってしまうことの恐ろしさについて警鐘を鳴らしています。
9)漢方及び民間療法により紅皮症状態が長期持続したアトピー性皮膚炎の3例
雑誌:アレルギー、43巻、344頁、1994年

10)ジャガイモ民間療法によるソラニン中毒の危険性とソラニン産生条件の検討
雑誌:法医学の実際と研究、36巻、91頁、1993年

11)ある民間療法施術中の急死例
雑誌:日本法医学雑誌、51巻179頁1997年
解説:吸引療法(皮膚を吸引して悪血を除いて病気を治すという民間療法)を受けている最中に死亡した60歳の女性についての報告です。腰痛と股関節痛を治すため、身体の各部位を吸引し、最後に首の所を吸引しているときに意識がなくなり、病院に運ばれたときにはすでに死亡していたということです。頸部の吸引したときに迷走神経反射が起こり、心停止を来したものと考えられました。

12)民間療法中に著しい全身衰弱、肺化膿症とケトアシドーシスを合併したNIDDMの一例
雑誌:糖尿病、40巻428頁1997年
解説:糖尿病を持つ51歳の男性が、病院の通院を中止し、Mg療法(どのような民間療法かは不明)を受けました。その結果、半年後には栄養状態、糖尿病が悪化し、糖尿病性ケトアシドーシス、肺化膿症を発症し、緊急入院となりました。そのときにはすでに、糖尿病性網膜症、腎症、神経症が進行してしまっていたということです。

13)民間療法中により椎体骨折を発生し観血的治療を施行した一例
雑誌:北海道整形災害外科学会雑誌、39巻48頁1997年
解説:原文を読んでいないのでどんな民間療法であるか不明です。

14)水療法にこだわり透析導入を拒否し、Cre46.3 mg/dlを呈した一例
雑誌:日本透析医学会誌、30巻798頁1997年
解説:原文を読んでいないのでどのようにしてなったのか不明です。

15)エステティックによる民間療法施行中に重症感染症を合併したアトピー性皮膚炎の一例
雑誌:皮膚科の臨床、39巻615頁1997年
解説:子供の頃よりアトピー性皮膚炎のある若い女性が、3ヶ月間連日エステティックサロンで皮膚マッサージなどを受けていた結果、皮膚がただれ、発熱などがみられたため、病院にかかりました。膿疱が出現し、意識障害を来たし、その後いろいろな合併症を発症したため、集中治療室での治療を要するまでとなりました。無事に全身状態は改善しましたが、皮膚や精神的に大きな後遺症が残りました。

16)鍼治療後に発症した劇症型溶連菌感染症
雑誌:感染症学会誌、71巻10号1997年
解説:80歳の男性が、左下肢痛のため鍼治療に通っていたが、ある日鍼治療を受けた翌日より左下肢痛が出現し、その後腫張、疼痛が悪くなったため、病院に入院しました。その後ショック状態に陥り、調べたところ下肢に広範な壊死を認めたため、切断し、助かりました。通常、劇症型A群溶連菌感染症の原因としては、上気道炎やけがなどですが、この例では上気道炎などの症状はなく、鍼治療が原因として考えられました。

17)温泉療法により悪化し、横紋筋融解症および急性尿細管壊死を伴うカポジ水痘様発疹症の合併をみたアトピー性皮膚炎成年男子例
雑誌:皮膚臨床、40巻6号1998年
解説:21歳の男性がアトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬を自己中断し、温泉療法に依存した結果、アトピー性皮膚炎が悪化、重篤な合併症を来してしまいました。これらの合併症は重症化すれば生命への危険も伴いますし、一生透析をすることになる場合もあります。

18)長期に超酸化水治療を継続し、著しい悪化をみたアトピー性皮膚炎成人女子例
雑誌:皮膚臨床、40巻6号1998年
解説:子供の頃からアトピーがあり、24歳の時に超酸化水治療を施行している内科へ通院。徐々にアトピー性皮膚炎が悪化していくにもかかわらず、その治療を続けました。かなり重症化した後に、皮膚科に受診し、ステロイド外用薬にて改善した例です。この場合、アトピー性皮膚炎の知識に乏しい内科医による超酸化水治療という保険外診療によって重症化してしまいました。たとえ医師であっても保険外診療である場合、それは民間療法の一つとしてとらえる必要があると思います。

19)民間療法により修飾された糖尿病壊疽の1例
雑誌:プラクティス 16巻、189頁、1999年
解説:ここでは、糖尿病と診断されたあと、医療機関での治療を受けずに民間療法に頼ったために、合併症が悪化した例が報告されています。ここでの民間療法では、塩化マグネシウム入りの牛乳を3.6 l毎日飲むという方法です。糖尿病の合併症である下肢の壊疽(皮膚が壊死などをおこして潰瘍が形成される。ひどい場合は下肢の切断などが必要になる。)をおこしてもなお、その部分に塩化マグネシウム末を塗っていました。その後民間療法の主催者が薬事法違反で摘発されて初めて医療機関に受診しました。塩化マグネシウム入りの牛乳を飲ませるなんて、いろいろな民間療法があるものですね。

20)市販薬剤「金鵄丸」による肝障害
雑誌:medicina、32巻590頁1995年

解説:最近は漢方薬の副作用もいくつか報告されていますが、市販の漢方薬でも、改源、正露丸、恵命我神散などで肝障害が報告されているそうです。中でも金鵄丸による肝障害はすでに11例も報告されているそうです。服用開始後、1ヶ月半から8ヶ月の間に黄疸、食欲不振、全身倦怠感などが生じ、血液検査により肝障害が発見されます。多くは服用を中断することで1〜3ヶ月で肝障害は回復しますが、死亡例もあるとのことですので注意が必要です。

21)通信販売で購入した漢方薬治療により増悪し、重篤な伝染性膿痂疹の合併をみたアトピー性皮膚炎女児例
雑誌:皮膚臨床、40巻6号1998年
解説:アトピー性皮膚炎に対し、ステロイド外用薬を使用していたが、知人にイオン化粧品を勧められ、これを使用したところ皮疹が悪化。その後、通信販売で購入した漢方薬を内服したところ、足と体が広範にただれ、発熱とかゆみが生じました。これは、皮膚炎が悪化し、感染を起こしたためです。しかし、このとき母親が漢方薬局に問い合わせたところ、「ステロイド外用薬のリバウンド」と説明され、医療機関への受診が遅れ、重症化してしまいました。しばしば、民間療法によりアトピー性皮膚炎が悪化した場合、「過去に使用したステロイド外用薬のため」とされてしまい、重症化する例があると、著者は警告しています。

22)インスリン非依存型糖尿病に発症した漢方薬(珍ぎ降糖)による鉛中毒
雑誌:糖尿病 41巻、933頁、1998年
解説:ここでは中国から個人輸入された漢方薬で鉛中毒を起こした2例が報告されています。二人とも腹痛のため医療機関を受診し、その原因が鉛中毒であることが判明しました。二人が飲んでいた漢方薬を調べたところ鉛が検出され、鉛中毒はこの漢方薬であると考えられました。海外でも漢方薬による鉛中毒が報告されています。また、アメリカでの調査では輸入漢方薬の中には鉛ばかりでなく、砒素や水銀が検出されたということですので、漢方薬の個人輸入や輸入漢方薬を利用すべきではないと思います。

23)漢方薬による肝障害にて死亡した例
雑誌:Am.J.Med 106;267-8
解説:米国では漢方薬は健康食品の一つで、医薬品のような効果や安全性のチェックは必要なく、製造者がその成分の内容や量が性格であるかを保証する必要もありません。(日本の場合、一部は医薬品として扱われています。)すでに、この報告の前に漢方薬で肝障害をきたした例が4例報告されていまが、この報告ではこれらはほんの氷山の一角であるといっています。また、この報告では今回漢方薬で引き起こされた肝障害の原因は、漢方薬に混入していた毒性のある植物であるとしています。米国での調査では輸入漢方薬にはいろいろなものが混入していると報告されています。日本で認可されたもの意外は使用すべきでないと思います。

24)輸入漢方薬中の不純物調査
雑誌:N.Engl.J.Med 339;847,1998
解説:すでに輸入漢方薬には、表示されているかいないかにかかわらず、認可されていない成分が含まれているほか、砒素や水銀などの有毒な成分や重金属が混入していることがすでに報告されています。このことから、カリフォルニアの保健局(Department Health Service)では輸入漢方薬の混入不純物を調査しました。260銘柄を調べた結果は以下の通りです。
医薬品を含んでいる表示があった 14銘柄
表示されていない医薬品が含まれていた 17銘柄
(主なものはフェナセチン、クロロフェニラミン、メチルテストステロン、フェナセチンなど)
以下の毒物が混入していた。
10 ppm以上の鉛 24銘柄、砒素 36銘柄、水銀 35銘柄
260銘柄のうち表示されていない医薬品や重金属の検出されたものは83銘柄(32%)にものぼりました。
輸入漢方薬には十分注意が必要です。


 

その他

 

 [ 「健康食品は本当に安全か?」へもどる ]