必ずしも基礎実験の結果が人には当てはまらない。(99.3.20)

時々テレビや新聞チラシの広告などで、ある食品や健康食品などの有効性を裏付けるために、動物実験などの基礎実験のデータを示している場合があります。それだけ見れば、いかにも科学的であるかのように思えます。
あるテレビ番組では、カカオマスポリフェノールにはピロリ菌の増殖を抑制する作用があることから、胃潰瘍にチョコレートやココアが効くかのような報道をしていました。ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の一つの原因とされており、この菌が胃の中にいる場合は除菌することで胃潰瘍や十二指腸潰瘍が治癒する場合があります。)をカカオマスフェノール(チョコレートだっけ?)を含んだ培地で培養すると、その増殖が抑えられるという実験結果を紹介し、カカオマスフェノールを含むチョコレートやココアをとれば、胃潰瘍が治るという論法です。
確かに、この話の流れから言えばそうであるかのように思えます。しかし、なかなか考え通りにいかないのが医学の世界です。すでに、ある雑誌の取材に答えて私がコメントしましたが、「チョコレートで胃潰瘍が治るかどうか」このことを証明するためには、実際に人間で試すほかには方法はありません。この時点ではあくまでも一つの仮説にすぎないのです。
動物実験の場合も同様です。動物実験ではしばしばラットやマウスが使われますが、やはり単純にラットやマウスの実験結果を人間にそのまま当てはめることはできません。特に肥満の研究の場合、これらの動物は褐色脂肪細胞の量が人間に比べて格段に多く、褐色脂肪細胞の活動を高めるような薬で容易に体重を減らすことが可能です。しかし、人間でためしてみるとほとんど効果がない、といったことはよくあることです。

 

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