テレビ番組のなかでの実験をそのまま鵜呑みにしてはいけない(99.3.20)

最近のテレビ番組での健康関連の情報は、積極的に専門家に取材することにより、確かに情報の正確さが増しているようです。その中で、しばしば説得力を増すために番組の中で実際に実験をしてみせることが多くなりました。しかしながら、その実験デザインは杜撰なものが多く、とってつけたような結果を出して満足しているのが実情ではないでしょうか。それよりは、その情報の根拠となる科学者の実験を説明する方がよっぽど信頼性があるのではないかと思うのですが。

いくつか番組内の実験デザインで問題と思われる例を挙げてみました。

1)サンプル数が少なすぎる。

人の健康や病気に関して実験する場合、個人差がかなりあるためになるべく人数を増やして、その結果が普遍的なものであることを示す必要があります。片手間に数人のボランティアを集めて実験してみても、かえって個人差の方が大きく、思い通りの結果がでないことが多いものです。かえって、予想通りの結果がでているようなとき、私はヤラセがあるのではないかと勘ぐってしまいます。何人かのボランティアに実験に参加してもらい、予想通りの結果が出たものだけ放映し、都合の悪い結果の出た人たちは放映しなければよいわけですから。健康番組に限らず、多くの番組でヤラセの問題は常につきまとうものです。


2)対照がない。

人や動物に何らかの治療や処置をした場合、必ずいろいろな因子がその結果に影響します。中でも結果に与える問題として、プラシーボ効果と時間経過があげられます。他のところでもプラシーボ効果ついて解説しましたが、このためにいかにも効果の出たような印象を与えることがあります。また、物事は時間経過にて徐々に変化するものです。対症がなければこれらの変化が単に時間がたったためなのか、そうでないのかを区別することはできません。ある健康食品と与えてよくなったからと言って、その健康食品の効果であるとは言い切れません。これらの因子を除外するためには、対照をもうけて、見た目には同じ様な健康食品と与え(実際には何の効果もないもの)、実際の健康食品を与えた場合と比較する必要があるのです。


3)客観的な指標を用いていない。あらかじめ、なにを評価するかについて決められていない。

その民間療法や健康食品などの効果を評価するためには、誰にでも納得できる客観的な指標が必要です。何となく良くなったとか、元気になったなどというきわめて主観的な指標では、きちんとした効果判定はできません。しかも、どんな効果ついて判定するのかをあらかじめ決めておかないと、何でもありになってしまいます。人の症状や状態は時々刻々と変化しています。単なる時間の経過でもいろいろなことが起こるわけです。ある人はたまたま便秘が良くなることもあるでしょうし、腰痛が改善することもあるでしょうし、風邪が治ることもあるでしょう。判定基準をあらかじめ決めておかなければ、これらの変化すべてそのときにとった健康食品のせいにされてしまいます。

 

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