[POSレジスタを使っていますか]

 POSレジスタのイメージは「ピッ」と言う音がして商品に付いて

いるバーコードが読み取られ、さっと代金が表示される。簡単で正

確なレジスタと言った所ではないか。

 ところでPOSレジスタからレポートされるデータは利用されて

いるのだろうか。否だろう。どの商品がいくつ売れたかは単品デー

タがレポートされるが、一読するだけだろう。それ以上には進んで

いないユーザーが大部分ではなかろうか。読むだけましでそれもし

ばらくすると飽きてきて何もしなくなる店が多い。

 特に食料品関係の店舗ではもともと商品管理をするためではなく従

業員の教育が楽(特別にレジスタの操作を教えなくてもよいし、値

段を覚えなくてもよい)だと言う理由で導入した店舗が多いのだか

ら、最初からデータの利用など頭にはないのは無理もない。

 もうひとつの理由はPOSレジスタを販売する側の問題である。

スーパーが登場した頃、レジスタはとても高価で、あるメーカーの

レジスタなどはステータスシンボルがあり、それを置くだけでお店

の品格を引き上げたものだ。

 こうした事情から当然利益が多い機械であった。それゆえ、ユーザ

ーに対するアフターサービスについては機械の保守は言うに及ばず

利用方法まで教授したのである。

 利用方法の研究を専門に行う部門まであった。もっとも後にはそこ

からの利用方法をソフトウエアとしてまとめて販売していく事業を

立ち上げた。

 その頃はそれだけお金と時間を掛けても会社も個人も儲かっていた。

しかし、電子レジスタが各メーカーから販売され、低価格競争が激

しくなるととてもお店に教える余裕がなくなってきたのである。

 こうした傾向はPOSレジスタにも引き継がれた。現状ではレジス

タとPOSレジスタを含めてその利用方法をレジスタメーカーの

社員に求めるのは難しい。

 そこでその利用方法は自社で開発するか、民間の専門会社に頼むし

かない。民間の会社では 中堅社員は元NCR社員や新聞の社会部

員で研究、研修を担当してきた人がほとんどのようだ。

 一番良いのは自社で各部署から担当者を募り、兼職でPOS利用研

究会をつくるのが最良と考えている。兼職で行うのは 大変でどっち

つかずになりがちの危険性もあるが、「POSの現場を知る人」が

その利用方法を考えることのメリットの方が大きい。

 現場の実情を無視した利用方法では成功はおぼつかない。他社の社

員ではさらに覚束無い。

 成功している例としてセブンイレブンのPOSの利用方法が挙げら

れている。お弁当や惣菜の数十分刻みの時間帯レポートから時間帯

毎の販売シュミレーションを行い、発注して販売ロスや在庫ロスを

なくしている。

 こうした現場の要求に応じたPOSデータの取り方は机の上から

は考え難い。

 この事情の基礎には次の事情があると推測している。

日本のセブンイレブンはまったくの素人集団で立ち上げられた。

本家アメリカのマニュアルはほとんど役に立たなかった。コンビニ

のイロハから体得して行く以外になかった。

 ある社員が自分の出来る仕事として毎日営業終了後全商品の在庫

棚卸を行った。在庫棚卸を行うと当然単品毎の売上個数が判明する。

そうして行く中に特定の商品の販売傾向が分かり始めた。傾向に応

じた品揃えをすると予想が的中。以後これの繰り返しをするように

なる。やがて顧客の要求を満たすコンビニになっていった。

 今日POSを使うと、誰でも簡単に単品の売上個数はわかる。

売上個数のグラフ化もされている場合もある。何もせずにすぐに目

の前に表示されてどんな感想があるだろうか

 人間の頭の構造はそんなに簡単ではないと思う。目の前の数字、

グラフがどんな意味を持つかイメージできるだろうか。それとそんな

データを見て感動するだろうか。

 商売には感動が必要だと思う。ただ売れたというより、自分の計画

した通りに売れたという方が面白いのではないか。

 某国の首相が土俵の上で「感動した」と言った言葉が国民に好意的

に受け止められたのはその欲求の現われではないか。