力積の学習をする際、教科書では一定の力×はたらいた時間という形で学習をする。
しかし、実際の衝突においては一定の力がはたらくということはほとんど無く、大抵は時間と共に変化する力がはたらく。教科書にはその様子がグラフなどで表されていることが多いが、教室で手軽に測定ができないものか、という考えから平成10年度に栃木県総合教育センターが行った「高校教育改善充実に関する調査研究」において筆者がその装置の開発を担当した。それから4年余りが経過したわけだが、遅ればせながらその成果をまとめて報告する。
使用した装置の外観は以下の写真の通りである。
小さくて見えづらいかもしれないが、中央の力学台車が、右のBeeSpiの向こうにある注射器に衝突する。注射器内の空気の圧力変化をセンサーで測定する。右の写真は衝突部の拡大写真である。
更に拡大するには写真をクリックしてください。
圧力センサーは秋月電商で購入したもの。圧力センサーからの出力をOPアンプで反転増幅し、ADコンバーターを経由してデータとしてコンピュータに取り込んでいる。そのデータをグラフ化し、衝突の仕方の違いを比較することで力積の理解を深めることを目的としている。
3.作成プログラムについて
プログラムはVisual Basic 5.0で作成した。当時は資料が少なく、Windowsからの制御が困難であった。最近は様々な文献があるようだ。
4.作成したハードウェアについて
使用した圧力センサーの出力が負電位であったため、それをPCで測定できるように反転増幅OPアンプ回路を作成した。
5.測定結果
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図1(図をクリックすると大きな図が見られます)
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図2(図をクリックすると大きな図が見られます)
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左の図1は衝突の仕方が異なる場合である。鋭いピークが見られる衝突は、注射器に直接力学台車を衝突させたもので、もう一つのなだらかなピークのほうは、注射器と力学台車の間に板バネを入れたものである。その様子は下の写真で比較していただきたい。スピードはほぼ同じになるよう、斜面の同じ高さから手を離した。同時にBeeSpiで速さを測定したところ、それぞれほぼ1.3km/h(0.36m/s)であった。この図から同じ速さの衝突でも、衝突の仕方によってはたらく力の最大値が異なることがはっきりと見て取れる。残念なのはセンサーの特徴から最大値そのものが正確に測定できていないのでは?という疑問が残る点だ。力積がグラフの面積から求められることを考えると、ピークがもっと大きくても良いと思われる。ただ、ここでは定量的な測定が目的ではなく、同じ速さで衝突しても、衝突の仕方が異なるとはたらく力の変化が異なることが定性的に理解できれば良いと考えている。
次に図2であるが、こちらは衝突する速さを変えて、同じ衝突(板バネあり)を比較したものである。速さ1.5km/h(0.42m/s)で衝突したものが最大値の大きなグラフのほうで、速さ1.1km/h(0.31m/s)で衝突したものがもう片方のグラフである。こちらは予想通りのきれいなグラフが得られた。こちらは運動量の変化が異なるため、力積(=グラフの面積)が異なる結果となるが、グラフからそれも定性的であるが読みとれる。
5.まとめ
この研究を行ってから既に4年が経過している。この間にハードウェア・ソフトウェアで様々な進歩が見られた。現在では同様の研究がより簡単にできるようになっている。例えば北海道理科教育センターの大久保先生(平成13年度)はマイク端子を利用した測定を行うためのソフトを開発された。このソフトウェアについては授業でいろいろと活用させてもらっている。詳しいことは北海道理科教育センターのWebページで見ていただきたい。