「LEDを用いたプランク定数の測定実験」に関する研究

1.はじめに

 ここ数年LEDを用いたプランク定数測定実験が様々な場所で行われ、それに対する追試なども行われている。
筆者は2年ほど前にYPCの例会の記録ではじめてその存在を知り、更に物理教育vol.47において詳細な追試
の記事を読んで、なんとか生徒実験に取り入れられないかと考えた。ここではそのための準備段階で気づいた
点と、生徒実験を行った際のデータや反省点などについてまとめてみる。

2.実験の原理
 
 プランク定数とは 年にMax Plankによって提唱された放射された光の振動数とエネルギーの関係における比例定数のことである。この関係はE=hνという形で表現されることが多い。ここでEは光のエネルギー、νは光の振動数、hがプランク定数である。
 発光ダイオードについては現在様々な場面で見ることができるものであるが、単純に電気エネルギーを光エネルギーに変換するものであると考えると(実際はこう簡単では無いと考えられるが・・)その放出される光の振動数と、発光ダイオードに与えられる電気エネルギー(実際には加えられる電圧から計算する)の間に上式の関係が成立するものと考えられる。そこで、今回は数種類の発光ダイオードを利用してそれぞれのLEDが光り始める電圧を測定し、横軸に振動数、縦軸にエネルギーをとったグラフを作成する。上式の関係が成立しているならば、これらのデータは一直線上に並んでいるはずである。そしてその直線の傾きは振動数とエネルギーの比例定数、すなわちプランク定数となるはずである。

図1

 

3.予備実験について

 今回の予備実験をするために秋葉原へ出かけ、データシートが添付されているLEDを探したところ、TAIWAN製の赤色LED、豊田合成製の緑、青色LEDが見つかった。購入して早速試してみたところ、次のようなデータが取れた。

測定データ

波長[nm] 光った電圧[V]
635 1.44
525 2.08
470 2.33

グラフの横軸は光の振動数[Hz]、縦軸には与えたエネルギー[eV]をとってある。

グラフを見ると完全な直線上には乗っていないことがわかる。この原因として幾つか考えられることを列挙する。

 1.LEDが光ったとの判断は目で確認しただけであったため、実際には光っているのにまだ光っていないと判断していた。これにより光り始めた電圧の値に誤差が発生した。
 2.赤のLEDと緑・青のLEDの製造メーカーが異なるため、発光のメカニズムが一部異なっているかもしれない。よく観察してみると赤のLEDは電圧がかかっていない状態で発光部分にオレンジ色のような着色が見られる。

4.生徒実験

 生徒は光った瞬間を確認するために、学生服を脱いでかぶるものや、班員みんなで手で隠すところなど工夫をしていた。実験結果については、筆者が行った予備実験とほとんど同じような値となった。

5.今後の展望

 秋月で買ったフルカラー発光ダイオードを利用すると、直線性はかなりよくなった。3色とも同じメーカーが作成しているせいであろうか。プランク定数の精度を上げることが今後の研究課題である。

6.まとめ

 物理教育に掲載されている根本氏の実験ではLEDが光ったという客観的な基準を設けるために、回路に数μAが流れたときを「光った」としていた。わずかな測定値の誤差が定数決定には大きく影響することを考えると、精度を上げていくためにはこのあたりをもう少し検討してみる必要があるだろう。今後はフルカラー発光ダイオードを活用して精度の高い実験に取り組んでいきたい。


Written by Shinichi TAKAGI
Feb 13,2003