面の構成 / 仕上げをかえる

ユークリッド幾何学でいえば「面」は「点」や「線」と同じようにひとつの概念であり、「点」は部分を持たず、「線」は幅のない長さであるように、「面」は長さと幅だけで成り立つと定義されている。 その「面」と「面」が交差するところに「線」が生じることになる。(言われてみれば単純だけれど、なかなかこんな風に物事を定義するのは難しい) さて、昔ながらの日本建築は大雑把に言えば、「線」の建築であろう。壁面や天井面よりも柱や鴨居・梁という軸(線)が強調されている。 また「面」と「面」が出会うところ、いわゆる出隅や入隅の納まりに気を配った建築が多いのも特徴だ。 しかし、たとえそのような建築であっても、やはり空間は床や壁そして天井という「面」で構成されていることに変わりはない。 建築にとって「面」とは避けて通れない大切な要素なのだ。 そう言えば「面」をやたら強調して抽象化したのが 20世紀前半オランダで興った「デ・スティル」の運動である。 コンポジション(composition 構成)という言葉を一躍有名にした画家モンドリアン(Piet Mondrian 1,872〜1,944 蘭)がその運動の中心にいたのだが、赤・青・黄という三原色と無彩色だけを用い、水平と垂直という限られた方向性で「面」を構成した彼の抽象絵画は他の芸術にも多大な影響を及ぼした。 建築ではユネスコ世界遺産にも登録されているリートフェルト(Gerrit Rietveld 1,888〜1,964 蘭)の「シュレーダー邸」や「赤と青の椅子」が有名だ。 しかし建築や家具の構成要素は、長さと幅だけで成り立つ抽象的な「面」ではなく、厚さ(奥行)を伴う3次元の「直方体」である。 それを「面」として強調(還元)せざるを得ないところに、建築におけるこの運動の限界があったように思う。 面白いけれど、あざとさが見え隠れしているのだ。 ぼくたちはこのような先人たちの試行錯誤があって今あるわけだけれど、「面」をどのように構成するかという問題は、その構成でどのような「空間」をつくりたいのか、と問われているようで、いつもぼくの頭を悩ませる。