集まったときの”かたち”や”色”を考える

ゴスペル音楽には、あるひとが歌って呼びかけると他のひとがそれに応えたフレーズをすぐに歌って返す call & response コール・アンド・レスポンス(呼びかけと応答)という形式がある。 各々が別々に歌うより、この「掛け合い」の応酬が会場全体に迫力ある一体感を生むため、ゴスペル音楽の大きな魅力になっている。 ぼくは時々ゴスペルを聴きながら、この call & response を建築に応用できないか考えたりする。 インターネットが既存メディアと大きく違うところは、送り手からの一方的な情報発信だけでなく受け手からも情報の発信ができることである。 それは interactive インタラクティブ(双方向的、相互に作用する)という言葉で表現されている。 call & response 同様これもいわば「掛け合い」であり、この概念の建築への応用がぼくの関心だ。 たとえば、これから建てようとする建築とその周囲にある建築との間に interactive な関係をもたせることが、調和のある街並や良好な地域社会を形成することになるのではないかと考える。 隣近所が軒を寄せ合う日本の土地事情において、そのことはより重要な課題になるはずだ。 "かたち"や"色"といった外観だけのことではない。 たとえば道路から玄関に至るアプローチのとり方は、周囲の建築やその配置に大きく影響されるわけだけれど、逆にそのアプローチが周囲の日常に少なからぬ影響を及ぼしたりもする。 家を建て替えたために隣近所との関係が悪化したひとを知っているが、それはあながち建て替えに対する"ひがみ"という心の問題だけでなく、互いの建築に interactive な関係が構築できていなかったことが大きな理由ではないかと思うのだ。 主張が余りにも強引であったり、周囲にお構いなしの建築は、そこに住むひとの孤立を招いてしまい、結果として快適な居住環境を得ることがむずかしくなる。 建築を社会的なものとしてとらえ、周囲と interactive な関係であるように仕掛けるのもぼくたち建築家の役割なのだと思う。