イメージをドローイングにする / 無心に鉛筆を走らせる

設計をする際、最初に浮かんだイメージが大きな影響力を持つことが多い。イメージはまず具体的な形にしなければならない。 近くにある紙切れに鉛筆で走り書きしたり、スチレンボード(数ミリ厚の発泡スチレンの両面に白い紙を貼った板)をカッター で切り貼りして工作したり、また事務所に転がっている木や棒の切れ端、小さい空き缶、アルミサッシの型材などを縦に重ねたり、 横に並べたりして形を模索する。とにかく、イメージが進展してゆくスピードに負けず、次から次へとこの目で形を確認していく のだ。最近はCAD(キャド/ Computer Aided Design 設計を支援するコンピュータ)を使うことも多い。3次元の図形の加工や着色 などで、いろんな角度からイメージを刺激してくれるのでありがたい。CADに比べて、鉛筆で描いたり工作したりして身体を使うこ とは一見昔風だけれど、身体の運動は頭脳や五感、そして心や気分というものにまで強く働きかけ、それがまた次のイメージの進 展につながっていくのでわたしは好きだ。大まかに方針が決まった段階で設計図を描き始める。平面図を描き、次に立面図、そし て詳細図、というように順を追って仕上ていくのではなく、すべての図面が同時進行していくことになる。当然、頭の中は混沌と しているし、はたしてまとまるのか不安だ。部屋の配置や窓の位置・大きさ、屋根の形、仕上材等、あるいは技術的なことなど、 決めなければならないことはたくさんある。これらを決めるための「よりどころ」として、最初のイメージが大きくかかわってい るように思う。なにも初めから決めてかかるのではないのだけれど、終わって振り返ると、その最初のイメージがずっとつきまと っていたことに気付くことが多い。それだけ最初に浮かんだイメージというのは大切なものだ。