吹抜けの本棚 / 本好きな人の至福の空間

以前、荒川洋治という詩人が、本を読む人をいくつかに分類していた。それによると、趣味は読書の人、本好き、読書家、 読書人、 蔵書家、愛書家と分類している。好きな本を心を込めて読む愛書家に対して、蔵書家と呼ばれる人はたいてい書 庫を持ち、読むことより、 所有・所蔵に価値をみるらしい。私はといえば、本は比較的好きだけれど、仕事で必要な本以外 はすべて図書館を利用している。収納ス ペースがないというのが一番の理由だけれど、音楽の CD は増える一方なので、 あまり本の所有には興味がない、というほうが正確であるかもしれない。 本を購入する人は、それを捨てるかリサイクルに 出すかしない限り本は増える一方だ。なんとか効率よく整理しなければならなくなる。 そこで本棚が登場する。本棚とは本来、 本を整理・収納するためにあるが、本を見せるためのものでもあると言えないだろうか。それはひとつの空間をつく る上で大 きな要素となり得る。古くて大きな図書館などで、たまに周囲360度、床から天井までほとんどすべて本で埋めら れた空間に 出くわすと、一種の知的興奮と感動をおぼえる。同じ体積でも一つの大きな物体より、小さい ものが多く集まってできた物体 の方が視覚的に圧倒されてしまうように、本一冊一冊は小さいけれど、それが集積するとえも言われ ぬ力が空間を支配するの である。加えて、それらの本に各々思い入れがあるとなると、その空間には 10倍、100倍の 力が加わり、その所有者にとって かけがえのない至福の空間になるのではないだろうか。