浴室と洗面を透明に仕切る

最近あまり行かなくなったが、たまに銭湯へ行くと気分が良い。広くて天井が高いということだけでなく、たっぷりある湯につかり、両手両足を思い っきり伸ばしてリラックスできることがなにより嬉しいし、そうすることで身体だけでなく心まで温まるような気がするのだ。また、脱衣所の床はた いがい籐(とう)の敷物だし、浴室は石が敷いてあったりして、そのざらついた自然な肌触りが心地よい。家の風呂ではめったに味わえない「やすら ぎ」と「開放感」が得られる。家の風呂ばかり入っていては人間が小粒になる、などとあらぬことを思ったりしてしまうこともあるほどだ。 いまの家の風呂は単に「身 体を洗う場所」に成り下がってしまったため、床や壁・天井の仕上は「やすらぎ」よりも掃除のしやすさ第一に選ばれるのが現状だ。加えて、水漏れ や湿気による建物への影響から、一層のことプラスチックの箱にしてしまえば、というのがユニットバスの原点である。味気ないけれど、工業技術の 粋を集めて開発・改良されてきたため、今では性能や機能面では完璧に近いといえるだろう。しかし、わたしたちが風呂に望むのはそれだけで良いのだろう か。あの銭湯での「やすらぎ」や「開放感」は家の風呂では到底かなわぬものなのだろうか。狭さが致命的だと決めつけないで欲しい。仕上材の選択、 外に面する窓の位置や大きさ、脱衣所や洗面との関係、照明の効果、浴槽の材質・色、水栓などの金具等々、工夫できる要素はいくらでもあるはずだ。 なにも生活の中心に据えることはないと思うが、残業や家事で疲れた身体を風呂でゆっくり癒したい、と思えるような、そういう風呂が出来ないだろうか 、と考えているのである。