箱の建築は開口のとり方に気を配る

採光・換気・通行・透視などの目的で、建築物の壁・屋根・床などを部分的に切り抜いたところを「開口部」と呼ぶ。一般的には、 窓や出入り口を考えてもらえばよい。自然光や風をどのように取り入れるかは、窓の大きさや位置・形状、あるいは開閉形式(引 き違い・上げ下げ等)と大きく関わる。その部屋の大きさや用途だけでなく、敷地周囲の状況を考えながらひとつひとつ窓を決め ていくことになる。建物が密集しているところは、道路に面した壁にしか大きな窓がとれないことが多い。しかし、風を通す には、入り口と出口の二つの窓が必要だ。この場合、隣接した建物の窓と向かい合わない位置に小さな窓を設けて風の道をつくる。 周囲の建物より後(あと)から建てると、いろいろ制約が増えるが、仕方が無い。部屋内から外を見る場合、窓を通し て見る。窓の大きさや形状、そして位置により、切り取られる風景の印象は異なったものになる。どのような窓をどこ に設けるか。建築家の腕の見せ所だ。和室によく用いられる雪見障子(下部を摺り上げて透視できる障子)は、見せたいと ころだけを切り取る手法で、この先人の知恵は今でも充分応用できる。建物の周囲環境がよく、四方の窓を大きく開け放ち、そこ からの眺望を楽しむというのは、今の日本の市街地ではまず無理だ。どうしても他所からの、あるいはこちらの視線をどのように 遮るかということが、開口部を決めるひとつの要素になってしまう。開口部は建築の外観にも大きな影響を与える。大きな開口部 で構成されていれば開放的で明るい建築に見えるし、逆に開口部が小さければ閉鎖的だけれど堅牢な印象になる。また同じ大きさ の窓を幾つか並べれば、外観に気品と秩序をもたらし、逆に大きさの違う窓を(一見)無作為に配置すると、外観に変化が生じ躍 動感をもたらす。このように開口部は、機能面だけでなく、いろいろな面から検討しなければならない。そのとり方ひとつで、建 築家のセンスが問われるぐらい、なかなか奥が深いのである。