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私 の 好 き な 音 楽 の 話
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   デビューアルバムが好きだ


   Bruce Springsteen のデビューアルバム 「アズベリーパークからの挨拶」

なんであれ、デビュー作品が好きだ。地道に活動していたアーティストが、はれて自身の作品を広く社会に問う機会を得た第一作がデビュ ー作品である。初めてつくったものが 必ずしもデビュー作品となるわけではない。デビュー(debut)とはフランス語で「最初」という意味らしいが、陽のあたるところに華々し く登場するイメージがあり、ひとの心を高揚させる。一般的にアーティストと呼ばれるひとは、自分の表現行為がひとの注目を浴びること に喜びを覚える「目立ちたがり屋」である。それゆえ、彼らの「デビュー」に対する憧れは強い。デビューした暁には「あれもしたい、こ れもしたい」という、ほとんど妄想に近い願望や欲望だけが、彼らに不遇な状況を忍ばせている。名を成しても、無名時代の作品の方がよ かった、などと言われるアーティストは多いが、これはまさしく、その不遇時代の欲求不満が作品に「力」を与えていたと言えるだろう。 だからデビュー作品には、闇をくぐり抜け、明るい世界に飛び出す、あるいは閉塞状況を抜け出す時の「力」がみなぎっている。しかし、 「あれもしたい、これもしたい」とはやる気持ちが空回りしたり、的が絞れず作品が散漫になったりすることも多い。また知識や技術が未 熟なため、思い描いていたような作品にまとまらない場合もある。あるいは、意に反して体制側の言い分を聞かなければならないこともあ るだろう。だからアーティスト自身にとっても、デビュー作品は不本意な結果に終わることが多い。世に言う「傑作」や「名盤」は生まれ にくいのだ。それでもぼくは、デビュー作品を愛する。そこには、それ以後の作品には決して見出すことができない、過去の鬱憤を一気に 晴らそうとする、無垢で初々しい「力」がみなぎっているからだ。



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