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興 味 を も っ た こ と な ど ・ ・ ・
  

   Winter Book  冬の本


   舟越 桂の彫刻は見る者の心を射る

不意にクスノキの大木に出会うと、得も言われぬ生命力に圧倒されることがある。神社などで「神木」として崇められたりするのは、たいがい この手の大木だ。クスノキは常緑樹の高木で、枝を大きく張るため樹形がすこぶる良い。また、その枝を覆いつくした無数の小さい葉の間からこぼれ 落ちる光がキラキラと美しい。彫刻家・舟越 桂(1,951〜、岩手県)は、ブロンズや石ではなく、このクスノキの原木と対峙することを決め、 ひたすら半身像を彫っている。彼の名を一躍有名にしたのは、5年前に出版された「永遠の仔」(天童荒太・著)の装丁ではないだろうか。無表 情だけれど、真摯に何かを訴えかけようとしているような、そんな人物像が見るひとの目を、そして心を釘付けにする。クスノキという素材の 温かみと、燃えれば消えて無くなってしまう果敢(はか)なさに加え、まるで時間が止まったかのような静謐でクールな人物像が相まって、一 気に心の中に飛び込んでくるのだ。彫刻の対象は現代の市井に生きる無名のひとである。街を歩いていて、あるいは美術館でこれはと思うひと に声をかけ、モデルになってもらうそうだ。そういうカジュアルさもあってか、こちらも感情移入がしやすく、像を見つめながら忘我の時を楽 しむことができる。彼の彫刻に、思慮深くて大人しく、どちらかいうと富裕層という、いわば「舟越好み」を見て取ることもできるが、いたっ て都会的で知性を感じさるのが良い。製作の最後に大理石の目を入れるそうだけれど、その眼差しは外界の何を見るでもなく、冷めている。焦 点は「永遠」にあるような、また見る者の心の内にもあるような、そんな気がする舟越桂の彫刻である。

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