明るい陽光の中で行きかう人の群れに、銛のような言葉が投げ入れられる。
「――先生!」
 その声に応じて、色とりどりの人々の中から、黒い帽子をかぶった洒落た初老の男がくるりと振り向く。
 鼻の上に眼鏡を乗せたその男はネコ。
 雑踏の中にいて銛を手繰ろうと息を止めたのは、ガニアだった。


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