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 外に走り出て、兵隊の多さに驚いた。旧兵舎は、普段ここにいるのとは違う、完全武装の隊によって包囲されていた。首都防衛の任を負う第一師団の兵達らしかった。
 新兵舎の前庭に至ると、そこにもどっさり兵士がいて、白い砂利を黒く埋め尽くしていた。めいめい銃を担ぎ、既に先頭は門から外へと出始めている。
 ――大仰なことになったものだ。身内から火が出たのだから当然だが。自分達で消し止めないことには、アクタードは公室に面子が立たない。
 それにしても、『親父や伯父達には相当恨まれる』とこぼしたヴィリアム・ペーターの気持ちがよく分かった。
 彼自身はまったく権限を持っていないのに、この現場の責任を負っているのだ。どれほど正しい処置をしているという確信があっても、身震いが起きないほうがどうかしている。
「まるで戦争だな」
 ヴィリアム・ペーターはそうこぼし、馬に騎乗した。俺の馬もちゃんと用意されていた。久しぶりでちょっと怯んだが、それを無視して金具をつかみ、鞍の上へ何とか駆け上った。
「――補充しておけ」
 小袋に入った銃弾まで放ってくれる。俺は腿に力を込めて一生懸命体勢を維持しながら、馬上で拳銃に弾ごめをした。
 動いていく兵士たちを見ていたヴィリアムがぽつりと呟く。
「この有り様を、フランツ・フェルディナンド様がお知りになったらなんと言うか」
「――」
 フランツ・フェルディナンド?
 ……ハプスブルク帝國の?
「お知り合いなんですか」
「陛下のお供で大陸に行った時、お会いしたんだ。見どころがあると、ずいぶん目を掛けて頂いた。ヴェリテイジは平和でいい、よく治まっていると仰って頂いたものだが。――なんという恥だ。陛下も心を痛めておいでになる。早急に事を収めねばならん。市民に不安を与えたり、地下でうごめく共産主義者どもにいらぬ材料を与えることになる。行くぞ」
「は、はい!」
 前の全ての兵達が出終わって、俺達の番になった。
 兵舎の前のなだらかな坂道を馬でぽくぽくと下って行く。
 既に夜は明けて、街は明るかった。目を上げると、起きぬけの市民達が驚愕した顔で窓に貼りつき、俺達の行軍を眺めている。
 何が起きているのか全然分からないといった顔だった。不安が、剥きだしに表現されていた。小さな子どもと偶然目が合った時、俺の心が、きしりと鳴った。
 俺は、別に感傷的な気持ちに陥ったのではないと思う。
 ただ、彼等の、あまりの無力さに触れ、傷ついたのだ。
 街頭にうずくまり、孤立無援の、病気の乞食を見た時に感じる痛みと同じ。
 なんと、彼等は、小さくて無防備なのだろう。
 何も知らない。武器も持たない。朝起きて、戦争が始まろうが、クーデターが起きようが、革命が起きようが、なす術もないのだ。
 不思議な感覚が体の底から湧きあがってきた。
 いったい、俺達は幸福か。俺達は自由か。文明の花が咲く王国の首都に体面を保って生きながら、その前提が崩壊すればこんなにも無力で、小さいのだ。
 俺達は平和な年月を営んできた。皆、節度を保ち、規則に従って、気を遣って、励ましあいながら、生きてきた。
 それでも。
 一旦、事が起これば、人はただ、刈り取られるばかりの麦でしかない。困惑することしかできない。まるでそれ以外の機能は備わっていないかのようだ。
 一体、なんなのだろう。俺達は。これでいいのだろうか。
 昔から、人というのは、こんな頼りないものなのだろうか。もしそうでないとしたら、いつからこんな希薄で、あっけない存在になってしまったのだろう。
 美しい街に住んで、きれいな服を着て、おいしい食べ物を食べて、清潔で、そして無実で。無名で。無力で。
 どうすることもできないのだ。


 なんなんだ。これは? ほんとうに、おきていることなのか?
 いったいなにが、おきたんだ?
 どうしてこんなことが、おきたんだ?


 行く先々の窓にそう言いたげな家族の姿が見えた。実際に今、馬に跨って行軍しているというのに、その光景はひどく非現実的だった。夢の中にいるようだった。
 窓の中の人々も同じ事を考えているのが分かった。
 俺と彼等はお互いに、深く戸惑った眼差しを交わしあった。
 人々は窓に貼り付いていた。外には出てこなかった。まるで大きな収容所の中に閉じ込められたひとつの民族のようだった。
 程なく、ホロン少将宅に着いた。既に兵士達がそのぐるりを取り囲んでいる。先に着いていた司令官が仏頂面でヴィリアム・ペーターを出迎えた。馬を寄せて、彼に書類を手渡す。
 それを読んだヴィリアム・ペーターの横顔が、首筋から耳にかけてさっと赤くなった。
「……なんですか?」
「少将からの、申し開きだ。彼は何も知らんそうだ。全ては、秘書官が行ったことだと」
「――は?!」
「秘書官が無断で行った事で、彼は一切関知もしていないし、イェルセンとの友情も記憶にもございませんそうだ」
「み、見せて下さい!」
 手を伸ばし、なんとかその書類を受け取って読む。ヴィリアムと同じように、多分俺の顔も真っ赤になっただろう。
 厚顔無恥、としか言いようのない内容がそこにはあった。
 そして、悪い予感の通り、全ての責任を被せられ、主犯として名指しされているのは、秘書官ヨルゲン・タイユバンだった。
「まあ、いわば恒例行事ですな。侍従長代理殿」
 第一師団の司令官の声が遠くに聞こえる。
「海千山千の軍人を、そう簡単に捕縛できるものではない。だから兵を動かすのは嫌だったのです。これでは我等がいい面の皮だ。いかがなさいますかな。ホロン少将には軍内に、多数の縁故がある。それが犯人は別にいると言えば、無視して身柄を拘束するというわけには参りませんぞ」
 ヴィリアムは俺よりも冷静だった。美しい顔を険しく曇らせながらも、相手の言葉に不敵に頷く。
「まさに、そうですね。蛇を狩るには私もまだまだ、修行が足りぬようだ。
 ……とりあえず、この屋敷をこのまま封鎖状態にお願いいたします。我々は、この『逃走した』という秘書官を探しましょう。騎馬隊を、お借りいたします。もとより、逮捕それ自体は懲罰ではない。全ての事実認定は法廷で行われねばなりません。少将がこれ以上の証拠隠滅を行わないよう、ご注意願います」
「結構ですとも。しかし、秘書官がどこに逃げたか、侍従長代理殿にお分かりですかな?」
「――報告いたします!」
 その時、警察の制服を来た男が兵隊をかき分けてやって来て、ヴィリアムに対して敬礼した。
「今より……えー、十五分前、東の聖ヨナス大通りの封鎖を、四五名の軍人が自動車で突破いたしました! 現在、警官隊が追跡しております!」
「と、いうわけです。コンムより外へ出る各道路を予め押さえてありました。――こういうことも、予想されましたので」
 最後の一文はやや浮ついて聞こえた。聞いていた俺も、多分司令官も、そこは嘘かもしれぬと思った。
 それはともかく、ヴィリアムは、俺と、借り受けた騎馬の一連隊とを伴ってコンムの東西を貫くヨナス大通りへと急いで進んだ。
 その途中で彼が言う。
「……ザンダーの入れ知恵だ」
「大尉の?」
「先に警官隊に道路を封鎖させろと。そして、軍隊は多めに動員せねばならないと。俺は、正直そこまでする必要があるかと訝ったのだが。……さすがに、慣れているな、この国に」
 少し悔しそうなヴィリアムに俺は言った。馬の揺れで舌を噛みそうになりながら。
「――馬鹿げていますよ、こんなこと! 俺もあなたも、誰だって、こんな言い逃れは嘘だと分かっている! それを、額面どおりに受け取って、ヨルゲンを逮捕しなくてはいけないなんて!」
「ヨルゲン?」
「秘書官の名前です! 俺の親友です!」
「旧友とはそいつのことか。――運命だな」
 ヴィリアムの横顔が震動の中でちらりと笑った。
「そうだ。准尉。俺達はみじめだ」
「え?」
「そうだろう。目の前であからさまな不正が行われている。なのにそれを指摘できない。一方では、隠し事なく、正直に誠実に振舞えとお題目が掲げられている。ところが、一方では事実はたびたび隠され、不正直で不誠実な振る舞いが堂々と行われている。我々はそれを知ってる。なのにそれを飲み込まされる。何度でも繰り返し飲み込まされ、それに耐え、それどころかその継続に対する協力と犠牲を要求される。俺達は馬鹿にされた、実に哀れな国民だ。そう思わんか?」
「…………」
 俺の脳裏に、さっき往来で見た、こどもや市民等のうろたえた眼差しが蘇る。
 且つまた、例の猥褻な歌が蘇る。ヴィリアム・ペーターは、父親の不貞を、毎日その目に見せつけられている。
「――こんな簡単な事さえ、大きな声では言えぬ。この世には、自分達が恒常的に罪を犯しているということを決して認めたがらぬ連中が実に多い。
 お前はそれが嫌か? この茶番に加担したくないと思うか?」
 十代の少年の鋭い目が針のように俺を射抜いた。
「だったら、その秘書官を死なせるな」
「……」
「そいつの証言が全てだ。ホロンを法廷に引きずり出せるかどうかは。――分かるだろう。ヤヌオス・ローだ。秘書官は全ての罪を被って死ぬつもりだ。それを許せば全てが終わる。なにもかも、ずるい奴等の目論見どおりになる。そしてヤヌオス・ローは、我等が先祖の尊い知恵は、またしてもただの都合のいい、支配の道具に成り下がる」
 ぞうっとして、全身の毛が逆立った。
 そうだ。分かっていた。罪を着せられたヨルゲンが、投降して事情を説明しないのは、自動車で検問を突破したのは、そのせいだ。
 あいつは、ヤヌオス・ローの体現者のような男だから。自らの任務と義務をまっとうしようとしているのだ。
 分かってはいたが、改めて言われると悪夢だった。
 俺はどうしたって奴と話さなくてはならなかった。
 俺達はやがて聖ヨナス大通りを走り抜けて、出門し、市外へと到った。次々と警官達が報告に駆けつけ、その情報が隊を、緑地帯にある、一軒の田舎屋敷へと導く。
 既にその前には数名の騎馬警官がいて、俺達の到着を待っていた。他に、平服を着た中年の男女が五名、乗り捨てられた車の傍でおろおろしながら固まっていた。
 彼等はその田舎屋敷の管理人だった。素性を聞いて拍子抜けする。その屋敷は、ホロン少将の所有する、郊外の別邸だったのだ。




 俺達がそうやって、馬鹿馬鹿しいと憤りながら最悪の事態を食い止めるために必死で追いかけっこをしていたその頃、ヴァルクは――公子のオオイヌは、修道院へと、たどりついていた。
 言うまでもない。公子の非公式の奥方に、最後の手紙を、届けるためだ。
 夫人は、半ば以上諦め、それよりもヴァルク本人の身の上を案じていたらしい。疲れきった様子で現れた彼を、驚き、労いながら迎えた。
 ヴァルクはろくにものも言わぬまま、夫人に手紙を渡す。
 多分その時、彼は少し笑っていたのではないかと思う。
 夫人は、すぐに解読してくるから、どこにも行くな、そこで休んでいるようにと繰り返し念を押して、私室へ消えた。
 ヴァルクは言われた通り、大人しく、簡素な修道院の一室で待っていた。視線は夫人の私室へ通じるドアではなく、遠くへ放り出されていた。
 彼にとって、手紙の内容は意識の外だった。これまでもずっと、それを届けることだけが彼の使命だったからだ。
 だから、夫人が出てきて、挨拶を終えることが出来たら、もうその後は、立ち上がり、消え去るつもりでいた。
 確かな考えはなかったが、魂の命じる場所に、行こうと思っていた。どこになるかは、精霊がきっと、決めてくれるだろう。
 彼は、その時俺がいたのとは正反対の、ひどく静かな、清浄な場所にいて、十年ごしで義務を果たしたことに対する安らかな気分を、味わっていた。





「警官隊は周囲を警戒せよ。出てくるものがあれば取り逃すな。連隊は屋敷内を捜索。彼等はおそらく武装している。攻撃、自殺ともに警戒せよ。また彼等は重要な情報を握る被疑者である。可能な限り殺さず、生存状態のまま捕獲を志せ!」
 ヴィリアムの意を汲んだ連隊長が号令を発し、兵士達が一斉に下馬する。
 馬をつなぎ、銃器を点検した後、完全に臨戦態勢で身を屈め、じりじりと屋敷へ近づいて行った。
 俺も、その中に混じって屋敷の中に入る。見覚えのある黒塗りの車の傍を通った。心臓が痛くうごめいたが、それでなくとも、緊張と焦りのあまりに心拍数は上がっていた。
 ヨルゲン。
 死ぬな。――こんな茶番のために死ぬなんて馬鹿げている。
 馬鹿げているのもここまで行けば悲劇だ。
 俺はこんな下らん悲劇を飲むのはごめんだ。
 屋敷は広かった。一階には台所などを別にして、客間が六室ほどもあった。
 東の一間で、自殺した軍人が一人見つかった。周囲に兵士が集まり、介抱し移送を準備するが、俺はそれを見るのも嫌だった。
「ここに遺書があるぞ」
「見事な死に様だ……」
 そんな呟きを背後に振り捨てながら、邸内の捜索を続ける。
 と、どこかで派手な爆発音が起き、周囲にいた全員が驚いて高くなっていた腰を再びかがめた。
「――まさか、ダイナマイトか?!」
「大変だ! 巻き添えが出たぞ!」
 廊下をつたって煙と怒声が流れてきて、兵士達があわただしく走り回った。
 俺は、寒くなってきた。
 心底恐ろしいと思った。
 背筋がぞくぞくして寒気がするのに、額には汗がびっしり貼りついて、動く度にひやりとした。
 震える足で階段を踏みしめ、一人、二階へ向かった。
 兵士達の姿がまったく見えなかった。奥へ進むと、まだ誰も開けていないドアが幾つも見えた。
 俺は、群れから離れてしまったのだ。
 ――危ない。
 本能的にそう思いながら、停まるきっかけを持てぬまま、廊下を進んだ。
 次第に明るくなってきた。廊下の奥に窓があって、そこから朝の光が二階廊下を穏やかに照らしている。
 ことり、と靴音がした。
 白い、明るい日光に、人の影が紛れ込む。
 僅かな逆光だったが、見誤りはしなかった。
 一室から廊下へと現れたのは、制服姿の、ヨルゲン・タイユバンだった。




 今まで、彼のことを、こんなふうな目で眺めたことはなかった。
 自分は彼に対して無批判で、自分には及びもつかない落ち着きを持ち、常識的で、俺には見えない風景を見ている優れた男と思っていたからだ。
 初めて、彼をただ一人の個人として突き離して眺めた気がした。
 怒りは湧かなかった。何時間か前には撃たれたし、露骨な言葉で非難されたことも聞いていたが、だからと言って、腹は立たなかった。
 なんだか、それをしたのは彼でないような気がした。
 今、要人殺害の陰謀の首謀者として狩られている彼が、本当は何もしていないのと同じように、彼自身は依然としてひどく無垢であるかのような、不思議な印象を抱いた。
 そしてそれは錯覚ではなかったのかもしれない。
 俺は、分かっていた。どうして彼が俺を撃ったのか。
 任務だったからだ。俺が任務の遂行に於いて、危険で邪魔だと判断したからだ。彼の個人的な好悪の感情は全然別のところにある。
 彼はヤヌオス・ローに従い、上官に従うのだ。
 俺はヤヌオス・ローを蹴飛ばし、自分の感情を採る。
 それだけのことだ。
 だから、今も、彼が、素に戻れば、彼は死ななくていいのだ。
 何も難しいことはない。『こんなこと、やってられるか』。そう言って、両手を上げて投降すればそれで済む。俺なら迷わずそうする。
 俺はそれだからここへ来た。
 だが。一目彼を見た時、俺の体を打ったのは、敗北の予感だった。
 美しくも、醜くもない。ごく当たり前の、平均的なヴェリテイジ人の顔をしたヨルゲンは、静かな顔をしていた。その美しい立ち居振る舞いを見ただけで、彼が覚悟を決めていることが分かった。俺にとっては、たまらない覚悟を。
 震えに襲われそうになった俺は、両足を踏みしめて我慢した。諦めてはいけない。彼には、両親も弟もある。俺は知っている。
「ヨルゲン。今すぐ、投降しろ」
「立場が逆転してしまったようだな」
 彼はうっすらと微笑んでそう言った。彼は武装していたが、剣も拳銃も腰にあるままで、右手に何か、書類を持っていた。
 ヨルゲンがそれを床に置き、滑らせて寄越す。
 ……なんだ?
「遺書だ。弟に渡してくれるように頼む」
 あの中尉に頬を張られた時のように視界が横に揺らいだ。
「……馬鹿なことを言うな! 誰もがお前の無実を知っている。身代わりになっただけだと分かっている。何故馬鹿正直に汚名を被る? お前にかけられている罪状は国家反逆罪なんだぞ?!」
「では、君は俺にそれ以上の汚名を引き受けろというのか? 不心得で無能な、性根の腐った軍人という」
「なんだって?」
「もしここで少将を裏切り、投降すれば、それは結果として少将への告発と同義になる。俺は取調べを受け、少将に不利になることを自白するよう強いられるだろう。そうなれば、俺にはもう、その後寄る辺はなくなる。軍にはいられなくなる。弟も両親も恥ずかしい思いをする。関係者が多数いる親戚の全員に恥をかかせることになる。それはできない。俺は自分の役割に殉じなければ許されない。君とは違う」
「……ヨルゲン」
 俺は、絶望に押しつぶされそうになりながら、まだ信じられずに、言った。
「本気で、言ってるのか? こんな茶番のために、命を捧げると。つまらん野心に駆られた男が、復讐心にとりつかれた男の尻馬に乗って、偉くなろうとして失敗した。そんなケチな陰謀の後始末のために、その命を捧げるなんて、本気で言ってるのか?!」
「俺こそ、君に聞きたいよ。どうしてそんなに自分を採り続けられる? ――怖くないのか?」
「え?」
 俺は耳を疑った。
 ヨルゲンの口から『怖い』などという単語が出てくるのは、聞いたことがなかった。
「最初の、トルデリゼ・ヘルタの一件から、君は失い続けている。地位も失った。名誉も失った。未来の展望も。大勢の友人も。やりがいのある仕事も。それなのに何故、尚も自分を採り続けられる? 馬鹿なのか? 今や君はすっかり孤立している。この先、どうやって生きてゆくつもりだ?」
「……確かに、俺は、同僚達とのつながりはごっそり失った。でも、失ってばかりじゃない。新しく……ザンダー大尉とか、ゼルマさんとか、ヴァルクとか。トルデリゼも……、戻ってきてくれた。俺達は、永遠に、友達だ」
 ふ。と、ヨルゲンが苦笑した。
 少しの皮肉が、水に流れる墨のようにその口調に滑りこむ。
「出世の望みのない傷モノの軍人と、女達と、北ロマ人と。そんな下らない連中と馴れ合って、一体どうしようというんだ」
「――ヨルゲン?!」
 俺は、ナイフを首筋に突きつけられたように驚愕した。
 礼儀正しく慎みのある彼が、見えない心の底に抱いている差別感情が初めてさらけ出されたのだ。
「その新たな友達のことを、親に話せるのか? ――第一、女など友達にはならない。あれは男とは作りが違う。愛人にしたり妻にするのはいい。だが、友情など望むべくもない。そんな高等な機能は備わっていない。知っているか? 男と女では脳の容量が違うんだ。学者が証明していることだ。北ロマの劣等性も科学的に証明されている。あれは、あと百年のうちに、滅びるさだめの劣等民族だ」
「ヨルゲン。やめろ!」
「事実を述べたまでだ。君は、破滅した。女や少数派としかつき合えないような、絶望的な存在になった。それでもまだ、生きるのか? 日毎に、恥をさらしながら?」
「…………どうしてだ」
 明るい廊下。
 ところが、不思議に真っ暗になった意識の底から、一つの言葉が、物凄い強さで、湧き上がってきた。
「どうして生きてはいけないんだ。なあ、ヨルゲン。どうしてそうやって生きてはいけないんだ?!
 お前が、前に言ったことがあったな。少しずつ分かってきたよ。俺は確かに、変わった人間であるらしい。社会から浮き上がっている。規律を無視する。しかもその自覚がなかった。だから、当然そうなるべき場所へ追い立てられた。それはいい。
 でも、まだ分からないことがある。どうして、俺は逸脱してはいけないんだ。……違う、そうじゃない。俺は逸脱する。俺の中に疑問はない。俺のことはどうでもいい。
 ――どうしてお前は逸脱しない? この期に及んでも! 何故、自分の生命や、人生や尊厳を傷つけられて尚、抵抗しない?! 俺なら、言うぞ。はっきりと! 相手が一体誰であれ、どんな義務や理由を突きつけられようと!」
 『やっだぴょーん』。
 と。
「死ねと言われて、死んでたまるか!! お前はどうして、そんなに大人しく、素直に、自分を明け渡してしまうんだ?!」
「そうしないと生きていけないからだ」
「矛盾してるぞ。分かってるだろう! ――生きるために死ぬというのか?!」
「そうだ。それが分からないなら。本当にそれが分からないというのなら」
 ヨルゲンは青い目で俺を見つめてはっきりと言った。
「君は、現代人ではない」
「…………」
「今この世界では、誰もが皆、このさだめを受け入れている。もっとも重要な部分を明け渡さなくては、俺達は生きていけなくなっている。それを理解しないのは狂人と未開人。そして、女子どもだ。だから、お前が連中と馴れ合うのも、不思議じゃない」
「……現代人だから、最高に有能で進歩した人間だからこそ、死ぬってのか?」
「そうだよ」
「最高に進歩した人間ってのは、最高に自分を殺す人間なのか?!」
「その通りだ。やっと分かったらしいな。
 そうでなければ、誰が、高度な責任を伴い、十時間以上も平気で続く過酷な頭脳労働に耐えられる? 女に手も出さず、華美に陥ることもなく、贅沢に耽ることもない。一切の私情を差し挟まず、常に思考を冷静に保ち、厳密に任務を遂行する。そういう人間だけが、『使える人間』として選別されて生存を許される。そのためには『自分』は邪魔だ。管理し、制御し、時には、殺さねばならない。
 そう出来ない、君のような役立たずは、過程で随時排除される。軍でも、政府でも、最も重要な役割を荷う者は厳しく選別されたエリートだけになる。国家の運命や世界の運命、経済の運命はそこで決められる。後の人間は振り回されるだけになる。今は、そういう世界への過渡期――いや、もう、すっかりそうなっているのかもしれない。
 ある日、いきなり宣戦布告がなされ、街に軍隊が入ってくる。ある日突然貨幣価値が下落して何百万という人間の財産が無為になる。ある日突然、政府の命令によってある行動が罪となり、逮捕され拷問される。そんな地獄のような目に遭いたくなければ、選別される側になるしかない。そして選別される側になるためには、命を投げ出さなくてはならない。選考は厳密だ。理解に足らぬ者はすぐに見破られる。君のようにな。
 俺は勝利者の側にいる。君は敗者の側にいる。年若くして死が訪れてもなんの問題もない。評価は歴史が決定するだろう。お前がいかに泣き喚こうと、この流れが逆行することは、もはやない」
「…………」
「黙ったな。……とうとう分かったか? エイナル」
 俺は、真っ白い廊下の半ばで、いきなり自分の胸倉をつかんだ。
 そこには鼓動する心臓があった。
 俺は震えていた。怖かった。自分が消し飛ばされてしまいそうで、怖かった。
 心臓の鼓動にすがった。
 分かる。分からない。
 ヨルゲンの予言した世界の到来が、分かる。けれども、それに対して、もろ手を上げて降伏することは――ショールと、コートごと胸の肉をつかむ――分からない。分からない。涙が出た。
「お前の胸に、心臓はないのか」
 俺は言った。本気で、泣きながら。
 ヨルゲンは眉をひそめる。
「?」
「そいつは、生きたいと言っていないのか」
「…………」
「お前の頭脳がなんと言おうが、お前の体は血を嫌い、お前の心臓は鼓動を望み、お前の感情は暴れ回るように出来てる! 俺もお前も、男も女も、ヴェリテイジ人もハルチ人もフランス人も誰だってそうだ!!
 俺達の体は、ヤヌオス・ローなんかよりもずっとずっと古い! 太古の、水と、大地につながってるんだ。そいつは、どこにも行かないぞ!! そうやって頭で考えて、理詰めで動物の生理を抑えつけても、それはお前の体の中に蠢いている。
 頭ではな、俺は、お前の言うことが分かってしまいそうだよ。でもな、何かが――俺が、俺という人間それ自体が、お前の考えを全霊で拒否している! それは何か、体に悪い思想だ。薬の体裁をした毒だ。俺はそれを飲み込まない!! 俺は現代人だ。だが別の道を探す!!」
「別の道などない!!」
「かもしれん!! だったら、……社会と火花を散らして、迷惑をかけまくって、霧散することを選ぶさ」
 ヨルゲンの口が開いた。
 そして、気後れしたような笑いを形作る。
 呆れたのだ。本気で。
「これだけ言ってまだ分からないのか」
「……分からないさ。分かってたまるか。ヨルゲン、お前だって、本当は何も分かってはいないんだ」
「なに?」
「そうだろう?! お前は俺と同じ年だ。確かめてみたわけでもないくせに! ……世の中には、頭で予想するよりも、もっとすごいことが起きることだってあるんだぜ。信じられない時、信じられないほど、大きな許しが与えられることだって、あるんだぜ。俺は実際にそれで命をつないだ。そこには理屈は関係しない!
 自分で確かめてみるさ。本当に、俺はダメなのか。この世界は俺を拒むのか。俺のような人間に、生きる余地は無いのか。自分自身で、確かめに行く。その答えが否だったら、俺は、その時始めて分かるだろう。それまでは分からん。お前がなんと言おうが、俺は分からん。そしてお前の達観も認めない! ヨルゲン。俺はお前を死なせない!」
 俺はヨルゲンに向けて拳銃を構えた。
「動くな! 大人しく投降しろ!」
 瞬間、ヨルゲンの目に、強い怒りと苛立ちが掠めた。
 あっと思う間に彼は腰の拳銃を抜き、なんのためらいもなく俺の拳銃を撃ち飛ばした。
 俺は衝撃に悲鳴を上げて骨の軋む手を押さえ、身をひねる。
 ヨルゲンは表情一つ変えぬまま、顔を上げた俺の目と目の間に、ぴたりと次の狙いを定めた。
「……お前のような怠惰な愚か者が、俺にかなうと思うのか。救いようのない馬鹿だな。邪魔をするなら、排除する」
「……ッ……」
 そして、ヨルゲンが自分が死ぬために、ただそのために、機械のように正確に俺の頭を撃ち抜こうとしたその瞬間、すぐ下で別の爆発が起き、震動と爆風が俺達をもろともに吹き飛ばした。





「ヴァルク」
 どれくらい、ぼうっとしたのだろう。扉が開いて、隣室から夫人が出てきた。
 ヴァルクははっとして立ち上がり、放心していた自分を気恥ずかしく思いながら、別れの挨拶をしようとした。
 夫人は、それを白い、細い手で押しとどめ、彼に紙片を渡した。
 新しいものだった。夫人の手書きの文章が並んでいる。
 夫人は、高いところにあるヴァルクの顔をまっすぐ見上げながら、一語一語を、噛み締めるように語った。
「この手紙を、捜し出してくれて、本当に、よかったわ。私はね、今、アクタードの者どもにも、あの人の名を騙ったイェルセンに対してさえ、感謝してもいいくらいの気持ちよ。
 でも、いいこと。ヴァルク。これは、あなたが見つけ出したのよ。あなたがいなければ、永遠に私のところには届かなかったのよ。解読されることもなかったのよ。あなたが自分で見つけ出したの。いいわね」
「? は。はい」
「私はこれから礼拝です。お前はここでこれを読んで、そして、あとは、お前の、自由になさい」
「え。ええ。はい」
 ヴァルクは、まだ、事態がよく飲みこめず、念を押される理由が分からなかった。
 言われなくとも彼は、自発的に次の行動に移るつもりだったのだから。
 謎めいた力強さで謎めいた言葉を残し、夫人は、建物の奥へ去って行った。
 ヴァルクは、窓と窓の間にぽつねんと残されて、それから、手を持ち上げて、渡された紙片の文章を、読み始めた。何故読まねばならぬのだろうと思いながら。
 ――ずっとずっと後になって、俺は、その内容を特別に教えてもらった。
 公にすれば奴が怒る。
 こっそり、あなた方にだけ、教えて差し上げる。


『愛しい我が妻へ。最後の挨拶が、手紙になってしまったことを、謝りたい。そしてあなたには大事なことをお願いする。この手紙を、きっとヴァルクが直接あなたに届けるだろう。そうしたら、内容を彼に教えてやって欲しい』
 ヴァルクへ』


 その文字が現れた時、ヴァルクは、目が焼けるかと思ったそうだ。
 まさか手紙が、自分に宛てて書かれるなどということは、生まれて以来、想像したこともなかったのだそうだ。


『ヴァルクへ。
 最後の命令を与える。
 お前ことだから、殉死などということを考えていることと思う。
 私はもうお前からもらえるものは全て受け取った。これ以上は拒絶する。お前は本当に私を甘やかした。私はお前にお前を返し、その鎖を解放する。
 私はひとりで行く。着いてくることは許さない。
 お前は自由になるのだ。そして、生きて生きて生きよ。お前の優しい心が赴くまま、関わる者を愛し、つながり、共生せよ。その心臓が止まる時まで、倒れることは許さぬ。
 私は来世など信じない。けれども私がお前の言うように白夜の君であるなら、毎夜が明けるその度に、私はお前に会うだろう。

ジークフリード・カルマン』






 俺は、その場面を見ていないわけだし、ヴァルクも何も言わない。
 でも、俺は、その時、ヴァルクは泣いたと思う。
 最初は音もなく。その後は、めちゃくちゃに。天を仰ぎ、犬のように主を呼んで、大きな声で、吼えたと思う。








 ぱらぱらと落ちてくる天井の漆喰と、妙なにおいのする煙の中で薄目を開けると、ヨルゲンが立っていた背後の廊下がひび割れ小さな穴が開いていた。
 階下で爆発があって、その天上と直上の廊下が崩落したものらしい。
「くそ……」
 うめき声に首を返すと、壁に叩きつけられたヨルゲンが舌打ちしていた。その視線を辿ると、彼が持っていた拳銃が弾みで転がり、俺のすぐ傍に落ちていた。
 咄嗟にそれを拾い上げ、力を振り絞って立ち上がると、悔しそうな顔をしている彼に、その銃口を突きつけた。
 死なせないために、銃で威嚇するなんて、あべこべな話だ。
 案の定、この威嚇は効かなかった。
 ヨルゲンは、破片で切った額からの血で片目を潰しながら、残った方の目で俺を睨んだ。
 そして腰からナイフを抜くと、いきなり自分の腹に突きたてたのである。
「!!」
 二度、三度と、ためらいもなく冗談のように続くそれを止めるために、俺はその体に飛びついた。
 死に物狂いで格闘したが、彼は少しも怯まない。
「誰か来てくれ!! 誰か来てくれ!!」
 叫びながら、無我夢中でその腕にしがみついた。まるで、何時間もの長い間そうやって争っていたような気がする。
 実際には、数分だっただろう。ようやく兵士達が駆けつけてくれて、四五人がかりでヨルゲンを押さえつけ、その手からナイフを奪うことが出来た。
 その頃には、辺りは血だらけで、ヨルゲンの意識も混濁した状態になっていた。
「病院に搬送しろ!! 軍医に殺すなと伝えろ!! こいつらが死んだら、一番卑怯な人間を取り逃がすことになるぞ!!」
 ヴェリアム・ペーターの怒気に煽られながら、自殺を遂げたヨルゲンとその仲間達が大急ぎで搬送されて行ったが、爆発もあったし、もう完全にこと切れているように見える者もいた。
 ヨルゲンは、最後に見た時にはまだ生きていた。
 だが、このまま死んでしまうのか、命をつなぐのか、俺には、もはや予測のつかないことだった。





 獲りものは、こうして終わった。
 ひどい結末だった。
 だが、周りの人間は意外に慣れている様子だった。
 考えてみれば、確かに思いあたることがある。この国では昔から、軍人の自殺が多い。偽装とか、強制されたっぽい事例も、わんさとある。
 自分はその一端に、初めて触れたのだ。欧州一、生真面目と言われる、この国の、現実に。
 ヴィリアム・ペーターも既に生存者なしの場合の方策を色々練り始めている様子だった。
 時刻が進み、正午に到るまでには、コンムはいつもどおりの平穏を取り戻していた。
 王宮ではアクタード一族が緊急会議を開き、新旧兵舎にも軍人が慌しく出たり入ったりしてはいたが、そういった中枢と関係のない多くの市民達は、今朝の非常事態はなんだったのかと訝りながらも、どこか必死に、何かを隠すように、日常生活を続けていた。
 馬を返した俺は、ヨルゲン達が運び込まれた病院へ行った後、徒歩で旧兵舎裏の第三支部へと戻ってきた。
 長い任務が終わったことは分かっていたが、家に帰る気にはなれなかった。気分がひどく落ち込み、鬱々としていた。制服のポケットにあるヨルゲンの血に汚れた遺書も、一体どうしたらいいのかまるで分からない。
 表を歩くのも気が引けた。誰に会うのも怖かった。
 兵舎内は殺気立ち、敵意に満ちていた。少なくとも俺はそう感じた。
 自分で選んだ道とは言え、神が俺に用意した『ふさわしい位置』は、本当に孤独で危険なものだった。




「エイナル君。大丈夫ですか」
 例のガラクタ部屋に閉じこもっていたら、昼過ぎに、若旦那が植木鉢を手に現れた。
「ひどい顔ですねえ。昼ごはんも食べていないとゼルマさんが」
「……血と煙の匂いが鼻についていて」
「無理もないですね。えーっと。お疲れのところ申し訳ないのですが、ヴァルク君の身柄を引き取りに行ってもらえないでしょうかね」
「――」
 俺はその時、ずいぶん不興な顔をしたと思う。
 相手がザンダーでもなければ、多分殴られるくらいの。
 でも考えてもらいたい。俺はその時、ヴァルクは死んだと思っていたのだ。
「今ね、修道院から連絡があったのです。引き取りに来てもらいたいと」
「……あいつ、あそこで?」
「そうなのでしょうね。頼みます、エイナル君。私は造園で忙しくて」
「…………」
 若旦那は、庭仕事に戻れて本当に幸せそうだった。
 庭仕事が邪魔されることさえなかったら、陰謀も放置だったんじゃないかと思うくらいだ。
 イェルセンも、この支部に手さえ出さなきゃよかったのにな。
「交換条件があります」
「おや、なんですか」
「この手紙……どうしたらいいか、考えてくれませんか。俺はもう、頭がダメで」
「……タイユバン秘書官から家族への遺書、ですか。病院で発見されたことにしましょう。アクタード家から家族に渡るよう、ヴィリアム様にお願いしておきますよ」
「ありがとうございます」
 俺は立ち上がった。
 これくらいのこと。耐えられないで。この先どうする。
 最後の後始末だ。これで本当に、この一件は終わる。
 あ。コートないんだった。――洗濯中だ。
「車を使っていいですからね」
 ザンダーの親切な申し出に手を上げて、俺は制服のまま、支部を出た。
 いい天気だった。いつの間にか、本格的に春が始まっていた。
 木々は芽吹き、空は青く、太陽が明るく輝いている。
 俺は動物だから、材料が揃ったら、命は勝手に動き始めてしまう。
 ゼルマさんが、菜園の野菜を摘んでいた。手を振ってくるので、軽く手を振って挨拶を返す。
 その弾みにショールが落ちた。気がついたら俺は、上着の上にショールを巻くのがくせになっていた。さぞ妙な印象を与えるだろうが、はみだし者にはふさわしい出で立ちかもしれない。
 十字架の傍を通り過ぎて、旧兵舎を抜け、新兵舎前広場を経て、外へ、出る。
 眼下に街があった。俺達の生きる街が。
 この場が、どんなに自分とは違った精神性で営まれていようと、どんな未来を孕んでいようと、俺はここから出て行くことは出来ない。
 俺はただ、俺であり続けよう。俺であることに、真摯でいよう。
 そしてその他のことは、……任せよう。
 もし俺が長生きできないなら、それは仕方がない。
 俺は自分を明け渡さず今を生きることを選んだ。そのために未来がなくなっても、文句は言うまい。
 ――それでも、俺はまだ怖かった。誰かが俺を見つけるかもしれない。ヨルゲンの知り合いや家族が、俺を恨んでいるかもしれない。
 親はなんと思うだろう? 母は。父は。親戚は。
 それでも、それらをぐいと奥歯で噛み締め、俺は歩き出した。
 さらにダメになっていくであろう俺の人生に向けて。
 これから始まる、長い孤独な道程のことを、心に描きながら。




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