板倉滑空場付近におけるウエーブの発生状況について(速報)

1998年6月3日  畠本 斉

2月1日にウエーブを経験し、そのダイナミックなフライトをいまだに興奮しながら思い出しています。

板倉滑空場付近における、ウエーブの発生状況を過去のデータを基に推定を試みました。気象に関する勉強不足のため充分な解析はできていませんが、今後の調査の足がかりになることを期待して報告します。

 

1.はじめに

 

  ウエーブの発生しやすい一般的条件は Meteorology and flightによると、

風 向  低層から高層までなるべく風向がそろっている事(25度以内)

風 速  ウエーブの発生源となる山の高さで風速が10m/s以上有る事

     高度が1000m上がる毎に1.5m/sから3.5m/s以上風速が増加している事

安定層  ウエーブの発生源となる山の高さ以上に、安定層(気温の逆転層)がある事

     安定層が厚いほどウエーブのパターンが安定する。

 

2.板倉の条件

 

 板倉におけるウエーブの派生原は赤城山と考えられていますが、前橋方面のウエーブを経験したパイロットからは榛名山やその先の山々の影響もあることが指摘されています。

過去板倉でウエーブが報告され、フライトレポートが発表されている日は

1991年 2月 3日(吉田)

1991年12月30日(吉田)

1998年 1月25日(田上)

1998年 2月 1日(畠本.島川)

それらの日の、館野の観測データを示します。

(なお1991年12月29日と1998年1月31日とは参考です)

縦軸は高度(M)

横軸の気温は摂氏、風速はM/S風向は真方位です。

 

1991年

1998年

それぞれの日の特徴は

風向・風速

安定層

備考
1991/02/03
290度から300度にそろっており、2000m以上で風速が直線的に増大している。
2000mから3000mにかけて明らかな逆転層あり
典型的なウエーブの条件がそろっている
Twin2が4500mまで上昇
1991/12/29 上空と地上とで風向が大きく異なり、前線が通過中と思われる。 低気圧通過直後
1991/12/30 1000Mから7000Mの間で290度から310度にそろっており、2000m以上で風速が直線的に増大している。 4000mから5000mにかけて明らかな逆転層あり 安定層が高く、低空での風速が弱いので、2000m程度まで上がらないとウエーブに当たらなかったのでは。Twin2は1500Mから5100mまで上がっている。8000m付近のウインドシヤーまで上がれたかも?
1998/01/25 280度から310度にそろっているが、2000m以上で風速が弱い。 3000M付近に弱い逆転層が見られる。
Discusが3000m
風速が弱いのでウエーブが弱い?3000mまでの低減率がすごい。強力なサーマルだったと思われるが、高度によって風向が変化しており、難しい条件だったのでは。
1998/01/31 2000m以上で風向がそろっているが西向き。 ほとんど観察されない 2000m付近で明らかなウインドシアー。前線か?
1998/02/01 4000m以上で280度にそろっている。風速も十分。 2000mから3000mにかけて明らかな逆転層あり
地上からも前線が見えた。前線の通過後に、ウエーブに入る
Twin3が5000m。前橋方面まで上昇風帯が観察された。

注)高層の風向観測データは、<<<真方位>>>です!!磁方位では有りません。まあ、7度しか違いませんが。

 

以上から、板倉のウエーブ条件をまとめると、以前から古川さん吉田さんたちが指摘されていたとうり、

 
  • 850hpa以上で風向が280度から310度以内にそろっている
  • 850hpaで風速が15m以上・以後高度とともに風速が増大する
  • 850hpa以上に逆転層がある

なお、850hpaより低層の風向・風速については、前線やウエーブ?その他の影響があるものと思われます。観測データについてあまり神経質になる必要はないようです。ただし、サーマル状況の予測には大変参考になると思います。

 

3.板倉における発生確率

 

 1996年1月から3月と12月の館野の高層観測データから、ウエーブが出そうな気象条件を探して見ました。

気象協会が売ってる最新の「気象データひまわり」CDROMのデータを元にしましたので、データが850,700,500HPしか有りません。すべての高度で風向が25度以内にそろっている日は

 1/04,05,06,09,10,11,17,19,21,25,29,31

 2/01,03,04,09,12,16,17,23,27,29

 3/05,09,12,23,26,31

12/01,03,07,08,10,20,21,26,30

 

風向が280度から320度以内となると

 1/04,05,06,09, 17,21,25,31

 2/01,03,04

 3/05,12,23,26,31

12/03,08,30

となります。

 

風向以外の条件を満たしているのはその3割程度ではないかと推測します。だいたい、シーズンに数回のウエーブデイは期待できるのでは無いでしょうか。参考までに1/05日のデータを添付します。典型的なウエーブデイでは無かったのでしょうか。当日のログを見てみたいものです。

4.今後の宿題

 

風向データのみに基づいてウエーブの可能性を検討しました。それ以外の条件についても検討する必要があります。

ウエーブの予測のためには、地上・高層天気図に基づき気圧配置やジェット気流の位置についても検討を加える必要があります。

 

5.各種資料入手先

 

広島地方気象台

財団法人気象業務支援センター 千代田区神田錦町3−17 03−5281−0440

館野気象台 0298−51−4125(総務部)