(小学校3年 旧課程「マヘンドラ・マーラー」(国語))
ある森の中にひとつの樹がありました。その樹にカラスとシラサギが巣を作っていました。シラサギは白い色をしていました。カラスは黒い色をしていました。シラサギはカラスをいつも「くろんぼ」と言ってからかっていました。1日だけではありません。2日だけではありません。こんなことが何日続くのでしょう? カラスはたいへん頭にきました。そこでカラスは、シラサギに仕返しをする方法を考えていました。
ある日カラスは、シラサギが巣の中にいないという機会をみつけました。その機会をとらえて、カラスは自分の卵とシラサギの卵を交換したのです。数日後、カラスとシラサギの両方とも、ひなをかえしました。シラサギのひなには黒いのが、カラスのひなには白いのが現れました。
シラサギは唖然ととしました。「こんなありえないことが、どうしておこったのだろう?」 シラサギは、「これは絶対に、カラスが何か悪いことをしたにちがいない」と確信しました。シラサギはカラスを呼び出し、ののしりました。このふたりの間にけんかが起こりました。結局、ケンカに決着をつけてもらうために、昼過ぎに村の役人のところに行くことに両者は合意しました。
カラスは抜け目がありませんでした。彼は先に役人のところに行って、話をすべてうまくもってゆくことを考えました。ですから、彼はシラサギに知られないように、すぐ後で、役人のところにひとりで行ったのです。カラスは役人に言いました――「お役人さん!私とシラサギの間にけんかが起こったのです。そこで私たちふたりは、あなたの判決に従うことにしました。あなたが私に勝たせてくれるのなら、私もあなたの先祖が埋めた財産を見つける方法を教えてあげますよ。」 この役人はたいへん欲張りでした。彼はすぐに言いました――「よしよし、わしはおまえを勝たせてあげよう。それよりも、その方法を言ってごらん。」
カラスはさらに利口でした。カラスは言いました――「その宝を埋めたところはあなたのひいおじいさんだけが知っています。あなたが私を訴訟で勝たせてくれたならば、私はあなたのひいおじいさんを教えてあげます。そして自分でたずねてください。」
役人はカラスの言うことを真に受けました。神話時代にカラスはアムリタ(訳注:不老不死が達せられる天上の食べ物)を盗み食いをしたので、カラスは不老不死になったと役人は聞いていました。ですから、カラスは自分のひいおじいさんを確かに知っていると役人には思えたのです。
その日の昼過ぎ、カラスとシラサギは役人のところに判決を受けにやってきました。両者はそれぞれ自分の言い分を言いました。シラサギの言い分が十分に言い終わっていないうちに、欲張り役人は判決を言い渡しました――「白い牛が黒い仔牛を生むこともありうる。黒い牛が白い仔牛を生むこともありうる。であるから、黒いカラスの白いひなと、白いシラサギの黒いひなもありうる。よって、カラスの勝ち、シラサギの負け。」 役人の判決を聞いて、シラサギは呆気にとられました。カラスはうれしくて、飛び跳ねだし、またそこら中を飛び回りもしました。
翌日その役人は、自分のひいおじいさんを教えてもらおうとカラスを探しながら、カラスのところに着きました。カラスは役人を陰気な感じのする河原まで案内しました。そこでカラスは近くにいる一匹のシギを見せました。シギは砂の中に頭を埋めてたたずんでいました。カラスは役人にシギの方を見せながら言いました――「やつがあなたのひいおじいさんです。やつは自分で埋めた財産を見張ってすわり続けているのですよ。」
カラスのこんなあざむきを見て、役人はたいへん怒りました。そして怒鳴りました――「そんなことあるもんか!」
カラスはさらに大声で答えました――「お役人さんよ!カラスが白いひなを、シラサギが黒いひなを生むこともありうるとあなたは判決でおっしゃりなさる。では、あなたのような人間のひいおじいさんも、シギであるとはなぜいえないのですかね。」 それだけ言って賢いカラスは、飛んでゆきました。
その欲張り役人は、われに返りました。彼はあやまちを犯していたのです。恥ずかしさで顔を赤くしながら、こっそりと彼は家に帰りました。欲望に目をくらませて、判決をおとしめたことを彼は後悔しました。
うその判決はする者は、決していいめをみないのです。
(終わり)
【練習1】 口頭で答えなさい。
(ア) シラサギに対して、カラスはなぜ怒ったのですか?
(イ) シラサギがいない機会に、カラスは何をしたのですか?
(ウ) カラスとシラサギは、村の役人のところになぜ行ったのですか?
(エ) カラスは役人のところに行って、何を言ったのですか?
(オ) 役人はどんな判決を言い渡したのですか?
(カ) カラスは役人に、ひいおじいさんを教えにどこに連れていったのですか?
(キ) カラスは役人に、あなたのひいおじいさんはこれですと言って、誰を見せたのですか?
(ク) 役人はどうして後悔したのですか?
(ケ) うその判決をしたらどうなりますか?
【練習2】 書いて答えなさい。
(ア) カラスとシラサギはどんな色ですか?
(イ) シラサギはカラスに対して、何と言ってからかったのですか?
(ウ) カラスは誰と自分の卵を交換したのですか?
(エ) シラサギはどうして、唖然としたのですか?
(オ) シラサギとカラスは、けんかの決着をつけるのにどこに行くことになったのですか?
(カ) 役人はどんな人でしたか?
(キ) 役人はカラスに何を言ったのですか?
(ク) カラスは不老不死だということに関して、役人はどんな話を聞いていたのですか?
(ケ) カラスとシラサギのけんかでは、どちらが勝ったのですか?
(コ) シギは砂の上に、どんなふうにたたずんでいたのですか?
(サ) 欲にくらんで判決をすると、どうなりますか?
【練習3】
賢いカラスと欲張り役人の話を簡潔にして、自分の友達に聞かせましょう。
[教師への助言] (国語)
(ア) 教師は生徒をグループに分けて、グループごとに順番に、賢いカラスと欲張り役人の話を、少なくともふたつずつの段落ごとに音読させる。
(イ) 教師は生徒に、カラスとシラサギの内面の性格について、生徒の興味を引きながら、説明をおこなう。
(ウ) 教師は生徒に、カラスとシラサギのけんかについて欲張り役人がおこなった判決を、宿題のかたちできれいな字で書いてくるように指示する。
(エ) 教師は、賢いカラスと欲張り役人のような他の物語を教室で紹介し、それについて質問をして、口頭で答えさせる。
[教師への助言] (社会)
(ア) 判決をする時、欲にくらむと決してよくないということについて、教師は欲張り役人の例を引いて、生徒に説明をする。
(イ) 教師は生徒に、この課で出てきた人の名前と鳥の名前を別々に、箇条書きにさせる。
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