備長炭

1000℃という想像を絶する温度で真っ赤に焼き上げられる
この灼熱の世界から生まれる最高級炭

〜紀州・備長炭〜

普通の炭とは違い表面は白っぽい

 炭素の純度が95%と極めて高く炭というより炭素の塊と呼ぶにふさわしい


備長炭は、うなぎやステーキの店でも一流店でしか使われない 最高級の燃料

料理には何よりも火加減が肝心、備長炭は火力が強く火持ちがよい
遠赤外線量が多い為 表面は香ばしく中はふっくらと焼き上げる
火加減の調節が団扇一本で自在にできる
又、食欲を誘うグルタミンサンを増加させる というおまけまでついてくる
他の炭ではこうはいかない  うるさい板前は だから備長炭にこだわる


カラス打てば澄んだ金属音 備長炭は鋼よりも硬い

最近では 水を綺麗にしたり 匂いを消したり  土壌改良材としても有効なことが解り中には家を建築の際に軒下に敷き詰めたり壁に埋め込む人もいて 益々注目を集めている
1000℃という灼熱の世界で繰り広げられる
凄まじい炭焼き作業
最高級の炭 
備長炭を生み出す男たちの技は 
炎との戦いの中にあった

備長炭の故郷は 紀伊半島の南部 和歌山県は
日本一の産地だ

和歌山県は良質な炭の産地

備長炭は江戸時代 元禄年間に備中屋長座衛門という
炭問屋が広めたことからその名が付いたと言われている


藁葺屋根山に分け入ると 何処からともなく炭焼きの匂いが漂ってくる

日本一の炭 備長炭の炭焼きは

焼きあがった炭を出し終わって 
釜の中がまだ熱いうちにすぐ次の炭焼きの準備が始まる
備長炭は 山から切り出した生木が乾燥しないうちに焼く
原木はウバメガシ 材質は緻密で硬く良質の炭に焼きあがる
釜の高さに合わせて切り揃えた原木を一本一本釜の中に並べていく
前に焼いた炭の余熱で中は未だほてっている 
又、原木の並べ方一つにも技がある
木と木の隙間を一定にしないと焼きあがりにバラツキが出て
綺麗な炭にはならない
2時間かけて400本余りの原木を詰め終わると 釜に薪をつけ火をつける
これから釜の温度を徐々に上げ原木の水分を抜いていくのだ
この時 石と泥を使って釜口の上半分をすばやくふさぐ
流れ込む空気の量が多いと生木が早く乾燥しすぎて
炭が割れやすくなってしまうからだ
そして、下半分だけを開けておき ここから薪を炊き続ける
生木の水分が抜け 原木に火がつくにはこれから2日間かかる


備長炭の炭焼きがいよいよ始まった

原木に火がつくかは釜の奥が見えない為 煙の匂いで判断する

「原木に火がついた瞬間に煙の匂いが変わる」達人にはそれが解る
そして、釜の中の原木に全て火が回った時点で
開けておいた釜の入り口下半分を泥と石を使って
ふさがなければならない・・・
それがどのタイミングなのか経験を積んだものしか解らない
ふさぐのが早すぎると火が消えてしまい 
遅れると燃えすぎてボロボロの炭になってしまう


このタイミングこそ炭焼きの最初の勝負所だ

釜口をふさぐと小さな通気口を開け空気を少しずつ送り込んで
原木をゆっくりと焼いていく
釜口を全部ふさいだ時点で焼きあがりの良し悪しがほぼ決まる
原木はこれから3日間かけてゆっくりと燃え続け
徐々に炭へと焼きあがっていくのだ


しかし 炭にはなるが未だ備長炭になるわけではない

釜口をふさいで3日間焼き続けると中の原木はほぼ炭にかわる
普通の炭ならこのまま自然に火が消え釜が冷えるのを待って取り出せばよいが

備長炭の場合はそれほど簡単にはいかない
これから先が炭焼きの真髄に触れる所だ


七輪中の火が消える直前に釜口を少し開け再び空気を送り込む
炭になった物を更にまた焼き始めるのだ
釜口を一気に開けると燃えすぎて炭が粉々になってしまう為半日かけて
少しずつ口を広げていく
炎の色を確めながらその頃合を計る

これからが備長炭を焼く技の本領


達人と炎の駆け引きが半日も続く

そして、半日後炭が黄金色に光り始め
 勢いを増した炎が釜の外にまで噴出す
木の皮の部分がはがれ燃え これから釜の温度は1000℃まで上昇していく

備長炭のカギを握る凄まじい作業が始まる時が来た


いよいよクライマックス1000℃に焼けた備長炭が外に出る

釜の中で絶えに絶え貯めに貯め込んだ熱のエネルギーが爆発する
かき出した炭に水て゛湿らせた灰をかけ一気に冷やす 
鋼の焼入れと同じでとてつもなく硬い炭になる
かき出しては灰をかけ、かき出しては灰をかけこれを何回も繰り返す
釜出しのタイミングが遅れると炭は燃え尽きて
灰になってしまう為気を抜く暇はない
釜の前は地面も焼け 厚さに悲鳴をあげる


凄まじい熱気の中この作業が6時間も続くのだ

1000℃の灼熱の中から生まれる備長炭 それは技というより
人間と炎の凄まじい格闘のようだ
全ての炭を出し終わって2時間もしないうちに又次の炭焼き作業が始まる
厳しい作業が一日として途切れることなく続けられる

備長炭は山の男の
熟練した技から
生み出される

それは 1000℃という
灼熱の世界で繰り広げられる

 正に男の仕事なのだ

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