世界のニュースあれこれ
  2007年12月入手情報


今月紹介の論文も、さすがUSAというものです。引用文献数は、183にもおよぶ大作で、アメリカ獣医師会雑誌に掲載されたミネソタ大学獣医学部のKustritz先生の総説です。

皆さんが動物病院に行かれて、ワンちゃんやネコちゃんの避妊や去勢について相談されたとします。複数の獣医師に確認していただければ、複数の答えが返ってくるのが、避妊・去勢手術の時期に関することです。5ヶ月以前、5−6ヶ月、6−9ヶ月、または、もっと遅くなどさまざまです。この問題に果敢に挑戦した総説が今回ご紹介するものです。

歴史的に見ると、1900年代前半には、避妊(女の子)は、3−6ヶ月、去勢(男の子)は4週齢だったそうです。その後、6−9ヶ月齢までというのが一般的になってきました。しかし、この6−9ヶ月齢というのは、科学的根拠に基づいていないというのがKustritz先生の主張です。

避妊や去勢の時期を決定するために考えることは以下の3点です。
1) ワンちゃんやネコちゃんが社会の一員として受け入れられるために避妊・去勢手術を行って、社会が望まない人口の増加を防ぐ努力。
2) 行動に悪影響を及ぼさない時期はいつか?
3) いろいろな病気の予防をしたり、反対に病気になりやすくなったりすることがあるかどうかの検討。

病気との関係では、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、その他の腫瘍、骨格の疾患、肥満、泌尿器系の疾患、副腎の疾患、子宮蓄膿症、非腫瘍性の前立腺疾患、内分泌疾患、寿命などについて、過去に発表された論文をもとに詳しく比較されています。

結論では、早期に避妊・去勢を行うことに対して、特にマイナス要因はないものの、個々の個体で、科学的根拠をもとに、いつがベストかということを考えてあげる必要があると述べています。

・・・・「いつ」という簡単な答えは出ていないのですが、この論文のすごいところは、誰もが疑問に思っていることに対して、徹底的に情報を収集して考察し、このような総説にまとめているところです。これから当分の間、この論文は、ワンちゃんやネコちゃんの避妊や去勢に関する論文の中で、一番引用される論文になると思います。楽しみです。

参考文献:
Kustritz, M.V.R. (2007) Determining the optimal age for gonadectomy of dogs and cats. J. Am. Vet. Med. Assoc. Vol. 231, No.1 (December 1), 1665-1675.

  [人と動物との絆のホームページ]へ戻る


   タカサクラガーヤ動物病院 
  
東京都世田谷区世田谷4−18−7