世界のニュースあれこれ
  2008年1月入手情報


今回は、「歯科学における迷信と間違った考え」というタイトルの総説(S.L. Hoffman, D.J. Kressin and F.J.M. Verstraete, JAVMA 231, 1818 - 1824,2007) の紹介です。一般の方々と共に獣医師、動物病院関係者でも、ワンちゃんやネコちゃん、さらに他の小動物の歯科診療、治療でいろいろな間違った考えが広がっているようです。この論文では、多くの獣医師が信じていると思われる獣医歯科学の「言い伝え(迷信, myths)」や「間違った考え(misconceptions)」を矯正するために報告されたものです。

この論文で述べられている獣医歯科学領域における迷信・間違った考えの一部をあげてみると・・・・・

迷信: 獣医歯科治療は小手術なので、麻酔前の準備とか麻酔モニターは必要ない。
>>>>実際:
 お腹や胸を開く手術と同じように、安全な麻酔と麻酔モニターは必要です。人のように「お口を大きく開けて下さい」とはいきませんから、安全な全身麻酔なしで歯科治療は考えられません。

迷信: 抜歯後は、縫合しないでそのままにしておいた方が良い。
>>>>実際: できる限り、抜歯部分をきれいにして、縫合して閉じたほうが
痛みも少ないし、早く治る。

迷信:  目の下の顔面の腫脹や穴が開いている場合はいつでも, 上顎の第4前臼歯の抜歯をする。
>>>>実際: 他の原因で起こっている場合もあるので、検査を行ってから処置をする

迷信: 
骨折した歯はそのままようすを見ておく
>>>>実際 :  ワンちゃんやネコちゃんも痛いものは痛いですし、気になるものは気になります。できるだけ早く治療をスタートしてあげましょう。

迷信: 歯の膿瘍がある動物ではいつも抗生剤療法が必要です。
>>>>実際: 抗生剤療法は効果のないことが多いので、歯髄治療や抜歯処置が必要です。

   
迷信: 歯の表面についている歯肉の上の歯石の蓄積は歯周炎の重症度を表している
>>>>実際 そんなの関係ないというのが本当です。歯周病は、炎症、感染、そしてそれに続く歯周組織の破壊のことです。歯肉炎は結合組織の付着部分(歯周ポケット)が少なくならない歯肉の炎症のことです。そして、歯周炎は歯肉炎と歯周組織の破壊を含んでいます。

・・・・その他にもいろいろな獣医歯科学の誤った考え方が述べられています。人では以前から歯周病と他の病気の関係が指摘されています。たとえば、インシュリン耐性の増加、血糖値コントロールが不安定になる、心臓病、心筋梗塞、肺炎や他の全身の病気などです。動物の研究でも良く似た傾向があることが分かっています。ワンちゃんやネコちゃんの口の中をきれいにして病気の予防をしてあげましょう。

参考文献
S.L. Hoffman, D.J. Kressin and F.J.M. Verstraete (2007) Myths and misconceptions in veterinary dentistry. J. Am. Vet. Med. Assoc. 231(12), 1818 - 1824.

  [人と動物との絆のホームページ]へ戻る


   タカサクラガーヤ動物病院 
   
東京都世田谷区世田谷4−18−7