世界のニュースあれこれ
  2008年5月入手情報


ペットから人へ感染する細菌の話題二つです(文献1)。

まず、最初は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)という細菌(ばい菌)がネコから人へ感染したという報告です(文献2)。あるご家庭で、普通に生活されているお母さんが膿瘍(多発性深部膿瘍、皮膚の下に膿がたまる病気)を繰り返し患っておられました。細菌の培養検査で、ご主人とお二人のお子様からMRSAが検出されました。その後、ご家族は抗生剤と消毒液で処置され、MRSA陰性となりましたが、奥様だけはMRSA陽性のままでした。何か他の感染源があるのではと考え、一緒に同居しているネコ3匹の検査をしたところ、その一匹から、お母さんと同一のMRSAが分離されました。MRSA陽性のネコを抗生剤で処置し、4週間後に家族全員がMRSA陰性になり、お母さんの膿瘍も完全に治ったそうです。MRSAのペットから人への感染や再感染の可能性には今後注意が必要です。この問題は小動物獣医療の抗生剤使用に責任がありそうです。

用語説明:
MRSA: メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 methicillin resistant Staphyloccus aureusの略称。メチシリンという抗生物質が効かないブドウ球菌という細菌のことで、医学の進歩と共に、抗生物質の開発に対抗したブドウ球菌の耐性化した結果生まれたものです。


もう一つのニュースは、カメからのサルモネラ菌という細菌感染に注意という内容です(文献1,3)。最近アメリカで、ペットとして飼育されているカメからの感染するサルモネラ菌(サルモネラ症)の広がりが問題になっています。日本でも十分な注意が必要です。サルモネラ菌は、胃腸管に感染する大変重い病気になります。症状は、下痢が主なものですが、発熱、頭痛、吐き気、嘔吐などが起こります。新生児、小さい子供、老人、免疫機能が低下している人では致命的な病気になることもあります(文献3)。

1975年以降、アメリカでは、4インチ(約10cm)以下のカメの販売や分与が法律で禁止されています。その理由は、小さなカメの場合、幼い子供たちがカメをオモチャのように扱って、口に入れたりするのを防ぐ目的です。このような法律があるにもかかわらず、小さな子供たちが野生のカメをペットとして飼育したり、違法に売買されています。小さなお子様(5歳以下)のおられるご家庭では、カメと一緒の生活はしないように注意してください。カメから人へのサルモネラ症は日本でも問題ですから、何らかの対策が必要なようです。

カメに関連したサルモネラ症を予防するためにどうすればよいか(文献3)
   カメはかわいいのですが、サルモネラ菌を持っていることを忘れないで下さい。
   カメに触った後は、必ず、手を石鹸と水でよく洗ってください。手を洗う前に、顔や他の人や物に触らないで下さい
   カメが触れたところは洗い流してください。
   5歳以下のお子様やお年寄り、感染に対する免疫機能低下の方がおられるご家庭では、カメと一緒に生活しないようにしましょう。
   お子様が誕生されるご家庭では、できるだけカメや爬虫類と一緒に生活しないようにして下さい。
   食べ物のところにカメを近づけないで下さい。カメを家庭内で自由に歩かせたりし、台所に入れないで下さい。
・・・・・など注意することがたくさんあります。よろしくお願いいたします。

参考文献:
1)  J.Am.Vet.Med.Assoc. 232, No.9, pg.1284. “Cats transmits MRSA to owner” “Turtles connected to salmonellosis outbreak”
2)  Sing, A., Tuschak, C. and Hormansdorfer, S. (2008) Methicillin-resistant Staphylococcus aureus in a family and its pet cat.  N.Engl J.Med. 358, 1200-1.
3) Centers for Disease Control and Prevention ? Your Online Source for Credible Health Information “Turtles and Salmonella” on the CDC Web site at www.cdc.gov/Features/TurtlesSalmonella

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