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  2008年7月入手情報


経験を積んだ外科医が手術をすると痛みが少ない?・・・・と言われている。外科技術や手術時間により痛みを軽減できる?

ということで、コロラド大学のグループがその真偽を確かめたというのが今回紹介する論文です。これまた、アメリカの大学らしいあまりたいしたことではないのに少し気になる点を徹底的に追求しようとするすばらしい内容です。

426頭のワンちゃんの精巣摘出または卵巣子宮摘出術を、経験ある外科医、または卒業前の学生(獣医学部4年生)が行いました。精巣摘出または卵巣子宮摘出術は、獣医学領域では、一般的に正常な動物で行う手術です。鎮痛剤を投与するグループと投与しないグループで痛みを比較しました。痛みのの評価は、術前、術後4時間、その後、一日一回で三日間行いました。

結論では、どんな経験ある外科医が手術をしても痛いものは痛いということだそうです。外科手術による痛みは、外科技術や手術時間に関係ないものです。というわけですから、外科手術では、常に、鎮痛処置を行わなくてはなりません。

参照論文
A.E. Wagner, G.A. Worland, J.C. Glawe and P.W.Hellyer (2008) Multicenter, randomized controlled trial of pain-related behaviors following routine neutering in dogs. J. Am. Vet. Med. Assoc. 233 (No.1), 109 - 115.

補足資料
今回の避妊・去勢手術を行ったワンちゃんの痛みを評価すために使われた分類

姿勢    0  正常(普通)
      1  硬直
      2  背中を丸める、緊張
      3  異常
      4  痛みの部分をかばう

快適さ   0  ゆっくり休む、気持ちがよさそう
      1  休むことができない
      2  気持ちが悪い
      3  ころげ回る、のたうち回る

瞳孔    0  正常(普通)
      1  散大

よだれ   0  なし
      1  あり

嘔吐    0  なし
      1  あり

声を出す  0  声を出さない
      1  吠える(何かを感じて)
      2  鳴く、クンクン鳴く
      3  うめく
      4  悲鳴をあげる

精神状態  0  変化がない
      1  変化がある

動き    0  異常なし
      1  なかなか動かない、運動失調
      2  ゆっくり、または、しぶしぶ立ち上がる、座る、足が不自由

触診に対する反応
      0  反応なし
      1  傷を見たり、不安な様子
      2  鳴く、たじろぐ
      3  ぱっと咬みつく、うなる、傷を守る

痛みの総合評価は、痛みに関連する行動の9つのそれぞれの分類の評価を加算して決定する。潜在的な痛みの点数は、0(痛みが少ない)から20(もっとも痛い)まで分ける。この痛みの評価のもとになる参文献は、次の二つです。

University of Melbourne Pain Scaleと呼ばれているもの
Firth, A.M, Haldane, S.L. (1999) Development of a scale to evaluate post-operative pain in dogs. J. Am. Vet. Med. Assoc. 214, 651-658.

Glasgow Composite Pain Toolと呼ばれているもの
Holton, L., Reid. J. Scott, E.M. et al. (2001) Development of a behaviour-based scale to measure acute pain in dogs. Vet. Rec. 148, 525-531.

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