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  2008年9月入手情報


メラミンとシアヌル酸入りのドライフードを食べた70匹のネコの臨床病理、組織学、中毒学の結果報告 (参考文献)

2008月9月に有害物質メラミンが混入した恐れのある外国産の牛乳を国内の食品メーカーが総菜などに使用していた問題が大きく報じられました。メラミンの混入の問題は、昨年、海外で製造されたペットフードでも同様の事件がありました。今回紹介する論文は、その問題の総括ともいうべき内容のものです。

ネコのブリーダーさんのところで、2007年3月にメラミンが混入したペットフードを食べて、健康状態が悪くなった70匹のネコちゃんの臨床病理、組織学、中毒学などの検査報告です。

43匹のネコちゃんに、食欲不振、嘔吐、多尿、元気がないなどの臨床症状が出ました。メラミンが混入した食事を食べて7−11日後に血液生化学検査を行ったところ、68匹中38匹が高窒素血症だということが分かりました。一匹のネコちゃんが亡くなり、13匹が安楽死になりました。13匹のネコちゃんの腎臓の組織学検査では、尿細管内の尿結晶の形成、尿細管の壊死、血管の炎症などがありました。ネコの食事、吐いたもの、尿、腎臓にメラミンとシアヌル酸を確認しました。今後、メラミンとシアヌル酸入りの食事を食べたネコちゃんたちにどんな影響があるか検討する必要があります。少し長い期間の人体への影響も気になるところです。

メラニンは小麦粉や質の悪い小麦のタンパク質(グルテン)の窒素量を増やすために入れられたのではないかと思われています(*1))。食品のタンパク質含量の測定は、ケルダール法と呼ばれる方法で総窒素を求め、それをもとに総タンパク質量を概算します。メラニンのような窒素を含む物質を加えることにより、窒素量を増やすことで、見かけ上、タンパク質含量が増え、食料品などの価値を高く見せかけることができます。シアヌル酸は、メラニンの類似物質で、メラニンの製造過程でできる副産物だと考えられています。メラミンとシアヌル酸は水溶液中で水素結合という強い結合をするため、今回の研究でいろいろなところにメラミンと同時にシアヌル酸が見つかったようです。シアヌル酸の毒性は不明です。

普通のペットの食事には、メラミンのようなものは入っていません。今までどおりサイエンスダイエット<PRO>などの良質なドライフードを食べることで、まったく心配することはありません。

参考文献:
R.E. Cianciolo, K. Bischoff, J.G. Ebel, T.J. Van Winkle, R.E. Goldstein and L.M. Serfilippi (2008) Clinicopathologic, histologic, and toxicologic findings in 70 cats inadvertently exposed to pet food contaminated with melamine and cyanuric acid. J.Am.Vet.Med.Assoc. 233 (No.5), 729-737.

(*1) FDA. Press conference on recall of contaminated animal feed. Available at: www.fda.gov/bbs/transcripts/transcript050807.pdf. Accessed July 26, 2007.


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