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  2009年1月入手情報


ワンちゃんやネコちゃんがなぜ草を食べるのか?

この質問は、ワンちゃんやネコちゃんと生活されておられる方であればよく話題になることです。教科書レベルでは論議されることは少ないことですが、一般的には以下のように考えられています。
 1)草を食べるワンちゃんやネコちゃんは何らかの病気で、嘔吐する必要がある
 2)何らかの栄養を補給するために行なっている

Benjamin Hart先生らのグループは、この問題を解決するため、アンケート調査を行い、ある程度の結論を導き出しました(文献1,2)。

イヌ科やネコ科の野生動物の胃内容や排便の中に含まれる草や植物の割合は2−74%と過去の研究で報告されています。

今回の研究では、まず、獣医学専攻の学生といっしょに生活している25頭のワンちゃんでアンケート調査をしました。すべてのワンちゃんが草を食べていることが分かりました。病気の兆候はまったくありませんでした。また、草を食べた後で定期的に吐くワンちゃんは8%しかいませんでした。

次に、大学の動物病院へ来院した47頭のワンちゃんへアンケート調査を行いました。79%のワンちゃんが草を食べることが分かりました。草を食べるワンちゃんの中の33頭で 草を食べた前後で何か病気の兆候があったかどうか質問をしたところ、4頭でYes, 時々吐くワンちゃんは6頭のみでした。

ワンちゃんが植物を食べることと病気または吐くことに特別な関係がないことを証明するため、さらにインターネットによるアンケート調査を行いました。それで分かったことは、
●68%のワンちゃんが、毎日また週一回は植物を食べている
●8%のワンちゃんが植物を食べる前に何か病気の兆候がある
●22%のワンちゃんが植物を食べた後で吐いている
植物を食べているワンちゃんの中で、若い子の方が年取ったワンちゃんより植物を食べる傾向ですが、食べる前に病気の兆候が現れていることも、食べた後で吐くことも少ないことが分かりました。

調査に参加していただいたワンちゃんの食事はいろいろでしたが、草を食べる食べないにはまったく影響していませんでした。

今回の研究とは別にこのグループは、ネコちゃんでの研究も行っています。ネコちゃんの方がワンちゃんよりも植物を食べることが少ないようです。ワンちゃんと同様に、病気の兆候とか草を食べた後で定期的に吐くとの関係は見られません。ネコは草以外の植物を食べる傾向があるようです。

研究から導き出された仮説は、「ワンちゃんやネコちゃんは普通の行動として植物を食べている」で、特別な意味を持たないとしています。少なくとも、病気とか何か栄養が足らないとかには関係なく、ワンちゃんやネコちゃんの祖先から受け継いだものだと考えています。野生のイヌ科やネコ科の動物は、草を食べて、消化管内の寄生虫を排除しているという説明もされていますが、このような説明が私たちと一緒に生活しているペットにも適用できるのか今後の研究が必要になります。

結論:
●ワンちゃんやネコちゃんが植物を食べるのは普通の行動です
●植物を食べる行動と消化器系の病気とは関係ありません。
●植物を食べる行動は、祖先から受け継いでいるものです。
●化学物質が付いた植物や中毒物質を含む植物がありますから注意してください。

参考文献
1) Sueda, K.L.C., Hart, B.L. and Cliff, K.D. (2008) Characterisation of plant eating in dogs. Appl. Anim. Behav. Sci. 111, 120-132.

2) Hart, B.L. (2008) Why do dogs and cats eat grass? Veterinary Medicine (December), 648-649.

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