世界のニュースあれこれ
  2010年10月入手情報


狂犬病の話題

2008年2月2009年10月の情報で、アメリカの狂犬病の統計を紹介してきました。今回は、2009年のデータ(文献1)が発表されましたので、その概要を見ていきましょう。

2009年の間に、アメリカの49の州とプエルト・リコ(説明1を参照)で確認された狂犬病に感染した動物は6,690例、そして人は4人でした(2008年は、動物が6,841で、人が2人)。感染した動物の92%は野生のものでした。動物の種類ではアライグマが一番多く 2,327例、以下コウモリ 1,625、スカンク 1,603、キツネ 504、ネコ 300、イヌ 81、ウシ 74ということでした。

日本では、犬(イヌ)ちゃんに毎年の狂犬病ワクチン接種が法律で義務付けられています。アメリカでは、日本と同じように狂犬病ワクチンの接種を犬(イヌ)ちゃんだけの州、犬(イヌ)ちゃんもネコちゃんも一緒に接種するように決めている州、そして、ちょっと驚くのはワクチン接種を義務付けていない州もあることです。。ワクチン接種を義務付けていない州は、ワシントン、アイダホ、モンタナ、ワイオミング、コロラド、ノースダコタ、サウスダコタ、カンザス、ミネソタ、ミズーリ、オハイオ、ハワイ州、そしてプエルトリコです。これらの州では、州レベルの法律で規制されていないだけで、地域・地方のレベルで法整備されている場合が多いと思われます。いろいろな国や地域の事情はどうであれ、犬(イヌ)ちゃんにもネコちゃんといっしょに生活している場合は、狂犬病ワクチン接種が必要です。

アメリカの隣にあるカナダとメキシコの狂犬病の発生も明らかになっています。カナダでは、145例、そしてメキシコでは171例の狂犬病に感染した動物が確認されています。人では、カナダがゼロ、メキシコでは4人でした。

アメリカのヒトの感染症例の一例では、驚くべきことが起こりました。テキサスで救急病院に入院した17歳の少女は、狂犬病ウイルスに対する抗体価を確認し、狂犬病と診断されました。狂犬病の典型的な症状が表れ入院したものの、集中治療なしで回復した初めてのケースになりました。ウイルス量、感染経路、ウイルス株によって、今までの死亡例と何か違いがあったのではないかと推測されています。実験動物では、狂犬病ウイルスの感染、臨床症状が発症した後で、回復した例は報告(文献2)されていますが、人では始めてのことです。集中治療を施された場合に一命をとりとめた症例は2004年に報告されています(文献3、2008年2月の情報「狂犬病のはなし」)。

参考文献:
1) Blanton, J.D., Palmer, D. and Rupprecht, C.E. (2010) Rabies surveillance in the United States during 2009. J.Am.Vet.Med.Assoc. 237, 646-657.

2) Bell, J.F. (1964) Abortive rabies infection. I. Experimental production in white mice and general discussion. J.Infect.Dis. 114, 249-257.

3) Willoughby, R.E. et al. (2005) Survival after treatment of rabies with induction of coma. N. Engl. J. Med. 352, 2508-2514.

説明:
1)プエルト・リコはフロリダ州の南東にあるカリブ海の島で、住民はアメリカ国籍です。16−19世紀の間は、スペインの植民地だったため、スペイン語圏の地域です。多くの住民はアメリカで生活したり労働をしています。現在は、アメリカ政府が関与しない独自の自治が行われています("LONGMAN Dictionary of Contemporary English"による)

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