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  2012年10月入手情報


ブルセラ・アボータス(Brucella abortus)を発見した獣医師: バーナード・バング先生

ブルセラ病(動物のブルセラ症)といってもほとんどの方がご存じないかもしれませんが、今回は、この病気の原因菌を発見したデンマークの獣医師、バーナード・バング先生の登場です(参考文献1)

バング先生は、人獣共通伝染病の研究を行いました。1897年には、ブルセラ・アボータス(Brucella abortus)が牛のブルセラ病の原因菌で、この細菌によって人でも発熱の繰り返えす病気が起こることを突き止めました。この細菌は、バング桿菌として知られています。

バング先生のその他の研究は、天然痘ワクチン、豚の壊死桿菌の分離、多くのヨーロッパ各国で採用された牛結核の蔓延を防ぐ方法などでした。デンマーク政府の獣医アドバイザーをして活躍しました。

デンマークのシーランド島で1848年生まれました。コペンハーゲン大学で医学を学んだ後で、獣医学の道へ入りました。勉強するにつれて研究が好きになり、微生物学と病理解剖学を統合した分野に興味を持つようになりました。動物解剖学と動物の病気を研究すること決心しました。1872年に医学士を受けた後、王立獣医学校に入学し、1873年に卒業しました。獣医学校の先生として職を得ることを希望していましたが、残念ながらポジションがなく、コペンハーゲン市立病院の病理部の勤務医として働くことになり、1877年には副内科医となりました。

1879年に王立獣医学校の学長が死亡し、バング先生に外科学と産科学の教授、そして、付属病院の院長としての迎え入れる申し入れがありました。医学の分野で博士号を取るための論文も提出しました。この年、ドイツ、オーストリア、フランスの獣医学校の教育を視察する旅行をしました。

病理学総論、病理学各論、治療学、薬理学(薬力学)の講義を受け持っていました。家畜病院長、そして、大動物病院の院長、そして微生物学科の実験動物学施設の施設長として活躍しました。獣医外科学の分野で滅菌の使用を最初に提唱した一人でした。

牛の感染性の流産の原因菌が不明でしたが、流産の初期兆候を示す妊娠している牛の子宮からグラム陰性桿菌のブルセラ・アボータスを分離しました。また、結核に感染している牛のミルクから結核菌を取だし、ミルクに熱をかけることでその細菌を殺すことを実証しました。

19世紀後半、発展途上の世界のほとんどの地域で、牛結核が家畜の生産に悪影響を与え、猛威をふるっていました。牛結核菌は牛の集団に感染しますが、感染を制御することはかなり難しいものです。バングの感染予防策は、分離して殺処分というもので、生産者に大切な遺伝資源の損失を防ぐことの重要性を説くものです。彼の予防策は、農家に牛の群れをツベルクリン反応陽性とそうでない健康な牛に分けることをすすめました。そして、子牛は出産後、親から離して、ミルクを滅菌してあげること。さらにと殺時は、群れを分割して、肉の食品衛生官に検査してもらうというものでした。この方法によって、結核に感染している牛の数を徐々に減らすことができます。そのため、ヨーロッパの多くの国でこの方法を採用しました。残念ながら、アメリカでは、群れを分割することで費用がかかるため、バングの予防策の採用はあまり一般的ではありませんでした(補足2)。

バングは、動物の健康と公衆衛生へ多大な貢献に対して、オランダでも海外でも賞賛されています。現在、私たちが健康に生活できるのもバング先生のような方がいたからです。感謝感謝です。

バング先生の座右の銘: “Make yourself as useful as you can.”

参考文献
1)    Nolen, S. (2011) Dutch veterinarian credited with Brucella abortus discovery: Dr. Bernhard Bang also devised popular model for bovine TB eradication. J. Am. Vet. Med. Associ. 239 (7), 912-913.

補足
1)“横浜市衛生研究所:ブルセラ症について”のホームページを参照(ブルセラ症に関して多くのホームページがありますが、素晴らしい内容の一つで大変参考になります)
http//:www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease.brucellosis1.html

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