純正調のお話

さて今月号は先月号に引き続き音程のことについて書いてみることにします。ところでどうですか?自分のクラリネットの音程の癖や音が合うことがどういうことかわかってきましたか?今月号はもう少し進んだ音程のことをお話しします。ちょっと難しいかもしれないので、混乱してかえって逆効果になってしまうかもしれないと思った人はただ「音程にはこんなこともあるんだなー」程度にとどめておいてください。そしてもっと自分が上達したときにでも思い出せるようにしておいてくださいね。みなさんは音楽会やCDなどでプロの演奏を聞いたことがあると思います。そして上手な演奏に出会ったときほんとうに感動したことでしょう。「すばらしい響きだなー」と。どうしたらあんなにすばらしい響きを出せるのか不思議に思わずはいられなかったに違いありません。ぼくも中学時代、自分たちとどこが違うのだろう?と不思議でなりませんでした。やがて高校へ進み音楽のことについて少し勉強を始めた頃、西洋音楽には二つの音程の取り方があるのだと言うことを知ったのです。その音程とは「平均律音階」と「純正律音階」における音程のことです。平均律というのはピアノやオルガンなどの楽器のように1オクターブを12に分割して作られたものです。それに対して純正律とは響きを主体にしてできている音階のことで同じ音名でも曲の調子や和音によって音程を変えながら演奏していくものなのです。したがって単純に1オクターブを12で割ることはできません。そしてどうしてあんなにすばらしい響きが出るのだろうと言う疑問の答えがここにあった分けなのです。すなわち、和音を響かせる場合、純正律に近づけて吹けばすばらしい響きとなって聞こえるのです。管楽器はトーンホールや指使いによって基本的にはピアノなどの鍵盤楽器の平均律の楽器のように思われがちなのですが、実は純正律で音程をとっていける要素も十分に持ち合わせている楽器なのです。弦楽器などはあまり意識せずに常に純正律で音程をとっていますが、管楽器は特に木管族は意識して音程を変えなければならないかもしれません。では具体的に純正律を体験してみましょう。クラリネット3本でドミソの和音を使って実験することにします。まずチューナーで正確に三人のそれぞれの音を合わせてみてください。そうしたらその和音を三人で吹いてみます。良く聞いてみてください、先月号でお話ししたうなりが聞こえますよね。正確にチューナーで合わせたはずなのに。ではまずドとソを吹いている人だけで吹いてみます。ほとんどうなりは聞こえないでしょ?そこでミを参加させてみてください。音が濁ってしまうはずですね。そうしたら思い切ってミの音を下げてみてください。どんどん下げてみてください。口をゆるめたり、楽器を抜いたりして、思い切って下げてみましょう。どうですか?うなりが聞こえなくなりましたか?どうしてでしょう?チューナーで針が真ん中に行くように合わせると言うことは実は平均律で音程を合わせていることになるのです。しかし平均律では和音はきれいには響かないのですね。では今度はドとミ♭とソの音で同じように試してみてください。今度はミ♭の音程はチューナーで合わせた音程よりかなり高くとってみてください。最初のドミソを長三和音、ドミ♭ソを短三和音と言います。基本的にクラシックはこの二つの和音が組合わさってできているのです。今の実験でわかるように長三和音の第三音は下げ、短三和音の第三音は上げると覚えておいてください。混乱をしてはいけない点は純正律の音程は主に和音を作るときに役に立つのです。メロディーなどを吹くときにはあまり考えなくてもいいかもしれませんね。最初のうちは吹きのばしの箇所を見つけてその音はどんな和音のどこの音かを調べて純正律のことを思い出して練習してみるのも良いかもしれません。しかし今回のテクニックは少し難しいかもしれません。もしもまだ実感できないようでしたら飛ばして考えても良いでしょう。まずユニゾを合わせることが基本ですから、そっちを重点的に練習してください。「音が合っていないと気持ちが悪い。」と感じることがまず大切なことです。いつも耳を澄ませて他の人の音を聞きながらアンサンブルをしていってください。


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