第3章 回天編


註 以下「原稿」とあるのは、すべてノヴァQ原稿の略です。

●9月3日。おかあさんは毎日点滴を受けている。扁桃炎(重傷)。締切だというのに、取り立てにいけないなあ。

●9月4日。青井美香から手紙、来週中には送るとのこと。写真ありがとうございます。
 KTからくらーい電話。なんでも、DAICON6準備委員会にでかけたが、どいつもこいつも目的意識をもっておらず、絶望したのだそうだ。でも、初めはそんなもんですぜ。大会があるから、大会をするのだ。目的なんてない。
 長男がミキサーを破壊する。こまったやつめ。

●9月5日。TOMONに電話。大森望も牧眞司もいない。かわりに女性がでてきたが、正体を明さない。小浜に原稿催促。来週には送ると約束。
 大森宅にはFAX。堀さんにはMAILで催促。大野先生からは、「ははは……」という返事(パソ通)、ざけんじゃねーぜ。

●9月6日。喜多哲士から原稿拝受。ありがたいことである。とはいえ、このワープロ原稿は、縦と横との比率をまちがえておる。おもわず、横に読んでしまった。

●9月7日。牧眞司は留守。

●9月8日。津田文夫から原稿拝受。ありがたいことである。これまでの中で、いちばんのエッセイ風──というより、ざった風だな、これは。他の人にくらべれば、ちょっと、やわらかすぎるかもしれない。牧眞司は留守。一家夜逃げしたのだろうか。

●9月9日。牧眞司に電話。明日中に書くと約束。ワールドコンから帰国直後だった。今村徹に電話。九月いっぱい旅行と、その後学会だとか。なんとか書くよう、努力するとのこと。書かないと不幸になるぜ。
 あと二十人くらい電話がいる。マンスリーの住所録は、五十音順、電話番号完備で便利だ。しかし、SFA原稿を書くので、なかなか電話ができぬ。(SFA原稿は、夜中にファックスする。オートダイヤル、自動転送。コンピュータ直結は便利)。

●9月10日。大阪例会にて水鏡子先生、村上純平、川合小百合さん、大野万紀先生に催促。ファーサイト(六三号)のグラント『オクスラン・ステーション』翻訳批判(川合小百合著)を読む。グラントは、アメリカでは(その筋の人から)高い評価を受けているのに、日本ではさっぱり理解されない。翻訳では、どれを読んでも、小説のできがよいとはいえない。そんなに難しい作家なのだろうか。同書でも、たしかに、読んで意味が通じないところはあったがなあ。
 水鏡子は、NOVAQ連載のかわりに、花婿修業に書いている書き下ろし評論(青心社刊行予定)から、一章分をのせたらどうかという。それに対して、「そんなもん誰も買わへんわ」(真木久美子)という説得力ある意見もだされた。そのとーりです。やっぱり、まじめに原稿を書きなさい。(註 この意見は水鏡子が、大野家長男と『ペット・セマタリー』ごっこをしたために、出たものであろう)。
 古沢と佐脇は、今月中にバットマンのアンソロジイを訳すとのこと。プロは大変だねえ。でも、原稿も書かないと、きっと不幸になるぜ。
 志村は、すでに原稿を書いていたとのこと。そんなら、さっさと送らんか。

●9月11日。菊池夫婦留守。小林祥郎さん(二、三日中に書く)、ワールドコンから帰国したばかり、時代のコアにとりのこされた、うらぶれた作家たちがおもしろかった旨。二才児をともなっての参加。山岸真(来週中に書く)、雑誌の締切に追われてかけなかった旨。寺尾編集長は、十五周年記念パーティ(京都フェス協賛)の話をしてごまかそうとする。ゆるせん。

●9月12日。帰りがおそかったので、なにもせず。こんなことではいけない。原稿を書いていないものどもを、眠らせてはならぬのだ。菊池夫婦留守。一家離散したのだろうか。

●9月13日。菅浩江からファックス。相性がわるいのか、何度やってもエラーになる。しかたがないので、郵送してもらう。もうしわけございません。菊池夫婦留守。一家亡命したのだろうか。

●9月14日。寺さんから電話、米村先生が一時帰国するらしい。日曜にはあえるだろう。原稿は──書いてないだろうな、やっぱり。
 ところで、寺さんは、原稿は自分をさらけだしそうで、気はずかしいという。しかし、近代日本SF史四〇年、個人SF暦(だいたい)二十年以上という今こそ、SFに対する立場を、再確認する意味があるのでは。要は、ベストSFの年というのは、自己の、あるいは時代の転回点なのだ。それをどういう観点から評価するかで、書く内容がきまってくる。

●9月15日。堀晃さんから原稿拝受(パソ通、のち郵送で補綴)。ありがたいことである。菅浩江から原稿拝受。ありがたいことである。作家系の人は、ちゃんと書いてくれる。内容もおもしろい。東西KSFAは、なにをしておるのか。
 今村君、ご結婚おめでとう。えーと、しつこいようですが、原稿を書かないと、不幸になります。佐脇夫婦は、結婚式出席で留守。
 中村融は「意図がよくわからん。俺のベストは現在だ。今がもっとも大切だ」とのこと。そう言いきれるところは立派だね。今村徹は「青年の主張」評論家と呼ばれたことがあったが、中村融は「熱血瞬間」評論家であるなあ。まあ、しかたがないから、このまま電話取材記事としよう。かんちがいしてる人もいるので、念のためにいっておくと、今回の原稿はベストSFの<アンケート>ではありません。従って、どの年がベストだったかの、数値的な多数決なんか採りませんぜ。
 村山裕は、鋭意製作中フロッピーで送ります旨。青木社長は、忘れていたがとにかく書きます旨。古沢は、バットマンで死んでいるが予定には入れます、とのこと。えーと、ノベルズありがとうございます。菊池夫婦留守。一家絶滅したのだろうか。

●9月16日。以下すべて電話。谷甲州さんは来週中に送る(大野万紀経由のパソ通)、巽夫妻は来週中に送る(13日帰国したばかり)、渡辺兄弟も来週中に送る(ばたばたしていて書けていない)、みんな来週中に送る。本当だろうか。牧眞司だけは明日書くとのこと、うそつきめ。そうそう、小浜夫妻もうそつきめ。大森夫妻は結婚式で留守。宮城博はまだ帰国していない。なんてやつだ。それぞれ伝言を依頼。米村先生が帰国していた。ひまだった、とのこと。それなら、原稿くらい書いてほしい。
 YHから電話、さ来年の大会実行委員長になれという。いったい何を考えとるんじゃと断る。十五年たったら、長男にやらせよう。だいたい、人材不足を、いまから真剣になやむ必要はあるまい。YH、T氏や小浜(+章子)がダイコン5をやろうとしていた頃(五年も前の話だけど)よりは、よっぽどましだと思うがなぁ。なんのかんのいっても大会中毒症だね、山根は。あんまり口をはさむんじゃないよ。
 最近、長男が本を読めとうるさい。今日は「新少年」をもってきたので、SF雑誌記者匿名座談会を読んでやる。
「××××××」
「しゃー」
「××××××」
「しゃー」
「××××××」
「しゃー」
「××××××」
「けけけけけ」──と笑う。

●9月17日。米村先生は、昔より、こぎれいになったように見える。メイドさんが、まわりの世話をしてくれる生活だったせいだろうか。そんな生活では、帰国したら、結婚しないと死にますぜ。あー、でもSFファンとではだめかな。来週まで、滞在する。
 菊池家は、電話がこわれているらしい。かけられるけど、かからない。つごうのいい電話だ。

●9月18日。青井美香から原稿拝受。ありがたいことである。

●9月19日。原稿を待つ。

●9月20日。原稿を待つ。ダイコン6のA総務(こういう部門名はやめてほしかった)局長から、先輩方のご意見をうかがう会を開くとのお知らせ。残念ながら、この日はでられない。ただ、先輩を会議室に集めて話をきくなんて、時間のむだじゃないのか。個別に本音をきいた方がいいぜ。だいいち、ダイコン5と同じ手順を踏むというのは、まちがっている。要は、5でやらなくてよかったこと(失敗)を、やらないことである。

●9月21日。浅倉久志さんから原稿拝受。ありがたいことである。まだ間にあいますか、とのことですが、充分に間にあいます。東西KSFAのXXXXXXX(7字抹消)皆様方が、原稿を送ってXXXXXX(6字抹消)送ってくださらないからです。編集人の不徳と致すところでございます。

●9月22日。牧眞司から原稿拝受。ありがたいことである。それほどひどい嘘つきではなかった。

●9月23日。山岸真から原稿拝受。ありがたいことである。お忙しいところ、ごくろうさまです。
 小浜宅に電話する。小浜徹也(世帯主)がでてくる。資料集めてる、書いている、早く送るとのこと。NOVAQ原稿狩が、世間で話題になっているという。
 次に大森望宅に電話する。小浜章子(前述の妻、自称秘書)がでてくる。小浜(世帯主)の原稿は、八割できているから、たぶん、あと一ヵ月かかるとのこと。なんだとー。てんぷら★なんたらの、アンソロジー・ベスト(創刊号についてたやつ)明日朝までに送れだって。自分は原稿パスしたくせに、ずるいやつだ。大森望は、明日にはファックスするとのこと。さすが、パワーの人だ。現在マンスリー編集中。目玉は、水鏡子「みだれ殺法」五回分(大会で三回分、そのあと二回分送ってきた)一挙掲載。なるほど、休筆すると書けますねえ。ということは、とーぜん、NOVAQ原稿も書けますねえ。ついでに、「インサイド&アウト」(=KSFA関西版の近況ニュース)を、次号から書けといわれる。
 うちの奥さんの説によると、大森望はこびとのミクルを百匹飼っていて、寝ているあいだに翻訳をさせ、マンスリー編集をさせ、靴を磨かせ、猫の世話をさせるのだという。二、三匹わけてほしい。

●原稿回収率(原稿数/依頼数)60パーセント以上をめざします。
 9月23日時点では、14篇(人)、70枚となっております。


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